アルドステロン拮抗薬/カリウム保持性利尿薬

レニン-アンジオテンシン(RAAS系:昇圧システム)

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System, RAAS)

1)レニン

レニン・アンジオテンシン系は、血圧を上昇・維持して生体の機能を維持するために働いている。

そこで、血圧低下や交感神経興奮、あるいは血漿ナトリウム低下に伴う循環血液量の低下が起こると、腎臓(糸球体輸入血管壁)の傍糸球体細胞からレニン(タンパク質分解酵素)が血中に分泌される。

2)アンジオテンシノーゲン⇒アンジオテンシンⅠ

腎臓から分泌されたレニンは、主に肝臓で作られるアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠに作り替える。

3)アンジオテンシンⅠ⇒アンジオテンシンⅡ

血中から肺循環に入ったアンジオテンシンⅠは、主に肺の血管内皮表面に存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を受けて、活性型のアンジオテンシンⅡに変化する。

4)AT1受容体

アンジオテンシンⅡは、血管平滑筋に存在するAT1受容体と結合することによって、強力な末梢血管収縮作用を発揮する。その結果、血圧は上昇する。

5)アルドステロン

アンジオテンシンⅡは、副腎皮質から糖質グルココルチコイドであるアルドステロンの分泌を促進する。

「アルドステロンは、主に腎臓の遠位尿細管でナトリウム(Na)を再吸収することで水分を貯留し、血圧を高めて維持する働き」がある。(児島2017,p.30)

アルドステロン拮抗薬

アルドステロン拮抗薬の作用機序

アルダクトンAとセララについて教えてください(日本心臓財団)
https://www.jhf.or.jp/pro/hint/c5/hint011.html

アルドステロンは、「レニン・アンジオテンシン系」(昇圧システム)の最終産物であり、腎臓に存在するアルドステロン受容体を介して、ナトリウムや水分を体内に保持して昇圧作用を示す。

アルドステロン拮抗薬は、アルドステロンの働きを阻害することによって、利尿作用や降圧作用を示す。しかしながら、その作用はあまり強くはない。

最近の研究において、「アルドステロンは単なる電解質ホルモンではなく,血圧を介さない心臓,腎臓をはじめとした直接的臓器障害作用を持つ心血管系疾患のリスクホルモンであることが注目されるようになってきた」。
https://www.igaku.co.jp/pdf/resident1003-1.pdf

アルドステロン拮抗薬は、単独で降圧薬として使用されるよりも、臓器保護効果(主に心臓や腎臓)を期待して、ARBやACE阻害薬あるいはCa拮抗薬などと併用されることが多い。

また、カリウム保持性(ナトリウムのみ排泄しカリウムの排泄を抑える)であることから、サイアザイド系利尿剤やループ利尿剤などの使用によって生じる低カリウム血症を予防する併用剤として有用である。

アルドステロン拮抗薬は、「アルドステロン・ブレイクスルー」現象を阻止する作用のあることが報告されている。

アルドステロン・ブレイクスルーについて

「アルドステロン・ブレイクスルー」とは、ARBやACE阻害薬によってRAS系をブロックしているにもかかわらず、一旦低下していた血漿アルドステロン濃度が、再び上昇し始める現象のことをいう。

RAA系阻害薬を長期間(6か月以上)投与しているときに起こりやすい。ACE阻害薬を投与した患者の10~50%、ARBを投与した患者の40~50%に起こるとされている。

山本雄一郎
オルメテックがアルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくいのはなぜ?
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/yamamoto/201406/536696.html
「ARBがAT1受容体に結合すると、負のフィードバック機構が働いてレニン活性が高まり、血漿アンジオテンシンIIの濃度が上昇する。すると、過剰なAT2受容体の刺激、つまりアルドステロンの分泌が起こる」。

医薬品各種

アルダクトンA(一般名:スピロノラクトン)

アルダクトンAはアルドステロン受容体への選択性が低く、アンドロゲン(男性ホルモン)やプロゲステロン(女性ホルモン)といった性ホルモン受容体なども阻害するため、長期に服用すると女性化乳房(男性の場合)や月経不順(女性の場合)などの副作用が生じる場合がある。

セララ(一般名:エプレレノン)

セララは、アルダクトンAの副作用を減らした薬である。アルドステロン受容体への選択性が非常に高く、性ホルモン関連の副作用は非常に少ない。

糖質コルチコイドの受容体に対する親和性:1/20以下。
アンドロゲンの受容体に対する親和性:1/100以下。
プロゲステロンの受容体に対する親和性:1/100以下。

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1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
サリドマイド事件のあらまし(概要)
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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2019年5月(令和1)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)