ARB(レニン・アンジオテンシン系)

2021年6月23日

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:Angiotensin Ⅱ Receptor Blocker)

ARBは、強力な昇圧物質であるアンジオテンシンⅡがアンジオテンシンⅡ1受容体(AT1受容体)に結合することを阻害する。その結果、降圧作用を示す。

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ARB(概説)

高血圧治療の目的は、血圧をコントロールして心筋梗塞などの心血管疾患を防ぐことにある。

ARBとACE阻害薬(共にレニン・アンジオテンシン系阻害薬)は、Ca拮抗薬や少量のサイアザイド系利尿薬と並んで高血圧治療の第一選択薬である。
ARBとACE阻害薬には、慢性心不全や糖尿病性腎症に適応のある薬物がある。
ACE阻害薬の副作用である空咳は、誤嚥性肺炎を防ぐために利用されることがある。

レニン-アンジオテンシン(RAAS系:昇圧システム)

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System, RAAS)

1)レニン

レニン・アンジオテンシン系は、血圧を上昇・維持して生体の機能を維持するために働いている。

そこで、血圧低下や交感神経興奮、あるいは血漿ナトリウム低下に伴う循環血液量の低下が起こると、腎臓(糸球体輸入血管壁)の傍糸球体細胞からレニン(タンパク質分解酵素)が血中に分泌される。

2)アンジオテンシノーゲン⇒アンジオテンシンⅠ

腎臓から分泌されたレニンは、主に肝臓で作られるアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠに作り替える。

3)アンジオテンシンⅠ⇒アンジオテンシンⅡ

血中から肺循環に入ったアンジオテンシンⅠは、主に肺の血管内皮表面に存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を受けて、活性型のアンジオテンシンⅡに変化する。

4)AT1受容体

アンジオテンシンⅡは、血管平滑筋に存在するAT1受容体と結合することによって、強力な末梢血管収縮作用を発揮する。その結果、血圧は上昇する。

5)アルドステロン

アンジオテンシンⅡは、副腎皮質から糖質コルチコイドであるアルドステロンの分泌を促進する。

「アルドステロンは、主に腎臓の遠位尿細管でナトリウム(Na)を再吸収することで水分を貯留し、血圧を高めて維持する働き」がある。(児島2017,p.30)

ARBの作用機序

  1. 血管平滑筋のAT1(アンジオテンシンⅡタイプ1)受容体に結合することによって、強力な末梢血管収縮作用を有するアンジオテンシンⅡの作用を阻害する。
    その結果、血管収縮が抑制され、血圧は下降する。
  2. 副腎のAT1受容体に結合し、アルドステロンの分泌を抑制する。
    その結果、Naと水の再吸収が抑制されて体液量が減少し、降圧作用を示す。

高カリウム血症に注意する

アルドステロンの分泌が低下することで、遠位尿細管のNa+/K+ATPaseが阻害される。
具体的には、Na+が排泄され、K+の排泄が抑制される。
その結果、血中K+濃度が上昇し、高カリウム血症を生じる。

高カリウム血症の初期では自覚症状は無い。
血液検査でカリウム値の推移をみる。

「カリウム値が高くなることがあります。初期では自覚症状はありませんが、進行すると、吐き気などの消化器症状や、四肢のしびれ、筋力低下、頻脈などの症状が現れます」。
(どんぐり2019,pp.50-51)

急性肝炎または劇症肝炎(重大な副作用)

薬物過敏症から生じる副作用である。

  1. 急激にALT、ASTが上昇する
  2. 投与開始後、数日~4週間くらいで起きる
  3. 初発症状:発熱、発疹、掻痒感など
    (どんぐり2019,p.29,230)

高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(高血圧治療薬)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」別表1「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」
(以下、引用)

高齢者においても降圧目標の達成が第一目標である。降圧薬の併用療法において薬剤数の上限は無いが、服薬アドヒアランス等を考慮して薬剤数はなるべく少なくすることが推奨される。
(高血圧治療薬)

  • Ca拮抗薬(アムロジピン[ノルバスク、アムロジン]、ニフェジピン [アダラートCR]、ベニジピン[コニール]、シルニジピン[アテレック]など)、ARB(オルメサルタン[オルメテック]、テルミサルタン [ミカルディス]、アジルサルタン[アジルバ]など)、ACE阻害薬(イミダプリル[タナトリル]、エナラプリル[レニベース]、ペリンドプリル[コバシル]など)、少量のサイアザイド系利尿薬(トリクロルメチアジド[フルイトラン]など)が、心血管疾患予防の観点から若年者と同様に第一選択薬であるが、高齢患者では合併症により降圧薬の選択を考慮することも重要である。
  • α遮断薬(ウラピジル[エブランチル]、ドキサゾシン[カルデナリン]など)は、起立性低血圧、転倒のリスクがあり、高齢者では可能な限り使用を控える。
  • β遮断薬(メトプロロール[セロケン]など)の使用は、心不全、頻脈、労作性狭心症、心筋梗塞後の高齢高血圧患者に対して考慮する。
  • Ca拮抗薬の多くは主にCYP3Aで代謝されるため、CYP3Aを阻害する薬剤との併用に十分に注意する。
  • ACE阻害薬は、誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者には誤嚥予防も含めて有用と考えられる。
  • サイアザイド系利尿薬の使用は、骨折リスクの高い高齢者で他に優先すべき降圧薬がない場合に特に考慮する。
  • 過降圧を予防可能な血圧値の設定は一律にはできないが、低用量(1/2量)からの投与を開始する他、降圧による臓器虚血症状が出現した場合や薬物有害事象が出現した場合に降圧薬の減量や中止、変更を考慮しなければならない。
  • レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ARBACE阻害薬など)、利尿薬(フロセミド[ラシックス]、アゾセミド[ダイアート]、スピロノラクトン[アルダクトン]、 トリクロルメチアジド[フルイトラン]など)とNSAIDsの併用により腎機能低下や低ナトリウム血症のリスクが高まるため、これらの併用はなるべく避けるべきである。(消炎鎮痛薬の項より引用)

アルドステロン・ブレイクスルーについて考える

アルドステロン・ブレイクスルーは、半年後にやってくる

RAAS阻害薬には、降圧及び臓器保護作用があり、心肥大や蛋白尿を改善する。
これらの効果は、アンジオテンシンⅡ及びアルドステロンが抑制されることによって、心拍出量や末梢血管抵抗が緩和され心血管系臓器障害が軽減されることによる。

ところが、治療開始後半年を過ぎるころから、血中アルドステロン濃度が治療前値を超えて上昇することがある。
これがアルドステロン・ブレイクスルーであり、一種の代償作用によるものと考えられている。
その結果、再び心肥大や蛋白尿(アルブミン尿)の悪化をみる。

「ACE阻害薬を投与した患者の10~50%、ARBを投与した患者の40~50%が、アルドステロン・ブレイクスルーを起こしているというデータがある」。
(実践薬学2017,p.325-331「アルドステロン・ブレイクスルーに関する報告の概要」p.326)

オルメサルタンはアルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくい

参考)「ACE2-Ang(1-7)-Mas受容体」系

最近の研究から、従来のRAAS系に拮抗するような別の系「ACE2-Ang(1-7)-Mas受容体系」の存在が明らかとなっている。
その特徴としては、血管拡張や臓器保護的に作用する可能性が示唆されてものの、詳細はまだ明らかではない。
(実践薬学2017,p.328「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の概略」)

「ACE2-Ang(1-7)-Mas受容体系」が活性化すると、従来RAAS系を流れていたアンジオテンシンⅡやアルドステロンがそちらの系に流れるようになる。
その結果、AT1受容体に結合するアルドステロンの量が減少するために、アルドステロン・ブレイクスルーが起こりにくくなると考えられている。

RAAS阻害薬(ACE阻害薬及びARB)の中で、ロサルタン、オルメサルタン、そしてアジルサルタンには、動物実験においてACE2活性あるいはAng(1-7)を増加させる作用があることが分かっている。
つまり、アルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくい可能性がある。

CHAOS試験(対照薬はアジルサルタン)によって、オルメサルタンは、臨床レベルでアルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくいことが確認された。

結果のみを示すと、試験開始1年後のRA系パラメータ(血漿レニン活性、アンジオテンシンⅡ、アルドステロン)及び同じく1年後の左室重量係数は、いずれもオルメサルタンの方がアジルサルタンよりも有意に低かった。

注)「循環器トライアルデータベース」に登録されているCHAOS(Cambridge Heart Antioxidant Study)は上記とは別の試験である。

【結論】ARBを長期投与中にアルドステロン・ブレイクスルーが疑われる状態になった場合、まず第一に選択的アルドステロン拮抗薬のエプレレノン(カリウム保持性利尿薬)などの併用を考慮する。
それができない場合、次善の策としてオルメサルタンへの変薬もあり得る。⇒「アルドステロン拮抗薬/カリウム保持性利尿薬」

血圧の日内変動に適した降圧薬と投与時期(時間降圧療法)

参考:実践薬学2017,p.319「各ARBの薬物動態パラメーターと排泄経路」

血圧には日内変動がある(dipper型/non-dipper型)

血圧には日内変動があり、通常、昼間(活動期)の血圧は高く、夜間(休息期)の血圧は低くなっている。ただし、個々人によってその状態は異なっており、次のように分類される。

  • dipper型(正常:夜間血圧の低下度、10~20%)
    正常血圧者の多くがこのタイプであり、臓器障害や心血管イベントなどのリスクは最も低い。
  • non-dipper型(夜間高血圧:夜間血圧の低下度、0~10%)
    昼間の血圧に比べて夜間血圧が下がりにくいタイプである。
  • extreme dipper型(夜間血圧が大きく下降する、20%以上)
  • riser型(夜間血圧の方が昼間よりも上昇する)

夜間高血圧(non-dipper型)にはRA活性が関与する

RA系の活性は、夜間から早朝にかけて上昇する。
したがって、RA系阻害薬(ARBやACE阻害薬)を夜間高血圧(non-dipper型)に用いる場合は、朝服用よりも夜服用の方が理にかなっている。

ちなみに、血中濃度半減期の長いテルミサルタン(21~38時間)でも、夜服用群の方が朝服用群よりも夜間の血圧を有意に下げることが報告されている。

なお、日内変動の測定には、ABPM(Ambulatory Blood Pressure Monitoring、24時間自由行動下血圧測定)が用いられる。

1日2回投与(朝・夕)を考える

例えば、カンデサルタンの場合、血中濃度半減期が短く(6~13時間)、AT1受容体とも解離しやすい。
つまり、朝1回投与では、夜間まで効果が持続せず、non-dipper型からdipper型への正常化は難しい。
1日2回朝・夕投与には意味がある。

サイアザイド系利尿薬の併用を考える

サイアザイド利尿薬には、食塩感受性を是正する作用がある。
そのことによって、夜間高血圧(non-dipper型)を是正してdipper型へと正常化させる。

例えば、カンデサルタンとヒドロクロロチアジド(サイアザイド系利尿薬)の配合薬(エカード配合錠)がある。
エカード配合錠は、サイアザイド系利尿薬を併用することによって、朝1回投与でも夜間高血圧(non-dipper型)や血圧の日内変動を考慮した降圧治療を可能にしている。

なお、従来懸念されていたサイアザイド利尿薬による耐糖能異常などの代謝系の副作用リスクは、現在の少量投与によってほぼ払拭されている。

既存薬の改良を考える

アジルサルタンは、カンデサルタンのテトラゾール基をオキサジアゾール基に置換した薬物である。
アジルサルタンは、カンデサルタンと比較して次のような特徴がある。

  • 脂溶性が3.8倍に高まった(分配係数2.09→7.94)
  • バイオアベイラビリティ(BA)や組織移行性の向上
  • AT1受容体から解離しにくくなった
  • 収縮期血圧、拡張期血圧のT/P比
    カンデサルタン(収縮期0.82、拡張期0.75)
    アジルサルタン(収縮期0.95、拡張期0.97)

ARBとバイオアイソスター

バイオアイソスター(生物学的等価体)とは何か

バイオアイソスター(生物学的等価体)について、Chem-Stationでは次のようにまとめている。
(Chem-Station:https://www.chem-station.com/chemglossary/2015/12/bioisostere.html)

「医薬分子において生物学的に同じ役割を果たす他の部分構造を生物学的等価体(bioisostere)と呼ぶ。薬物の主要生物活性に影響を与えることなく、医薬に含まれる官能基を他のもので置換えることで、医薬特性を改善させる目的に有効となる考え方」。

バイオアイソスターでは、一見すると全く異なる官能基(部分構造)同士が、実は立体的あるいは電子的性質が類似しており、生物学的類似性が認められる場合が多い。

ARB各剤でもそれぞれ工夫されている

例えば、ARBは、もともとカルボン酸を含む化合物を基に考えられていた。
それが、カルボキシル基をテトラゾール基で置換することによって、経口吸収性を改善している。
(実践薬学2017,p.322「各ARBの構造式」)

そうした中で、テルミサルタンだけがカルボン酸を含んだままの構造式を保ち、PPARγ活性化作用を獲得している。

オルメサルタンのアルドステロン・ブレイクスルー回避作用については、構造式の違いからは未だ説明できていない。

アジルサルタンはカンデサルタンを改良した薬物である。
カンデサルタンの側鎖を、ARB各剤で一般的なテトラゾール基からオキサジアゾール基に置換した形になっている。

なお、全てのARBにおいて、分子構造全体はよく似た分子式となっている。

医薬品各種(ARB)

「降圧薬が血清尿酸値に及ぼす影響」(実践薬学2017,p.309)
ロサルタンでは<下降>、ロサルタン以外のARBでは<不変>、ただしイルベサルタンの高用量では尿酸値低下の可能性有り。
ARB/サイアザイド系利尿薬配合薬が尿酸値に及ぼす影響は、<上昇ないしは不変>である。

実践薬学2017,p.316「片頭痛の予防薬(グループ別)」によれば、カンデサルタンが、「(片頭痛に)ある程度有効」としてリストアップされている(推奨用量まで示されている)。
ただし、これは「慢性疼痛の診療ガイドライン2013」(日本頭痛学会)からの引用であり、「慢性疼痛治療ガイドライン2018」では、カンデサルタンの名前はリストアップされていない。

テルミサルタンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γ活性化作用を有する。
また、イルベサルタンも、テルミサルタンとは異なる結合様式でPPARγ活性化作用を示す。

いずれも、PPAR活性化作用(インスリン抵抗性改善、肥満及びアテローム性動脈硬化症の進展抑制)を示している。
ただし、ARBの作用はAT1受容体を発現していない細胞においても発揮されており、選択的PPARモジュレーター(SPPARM)と呼ばれている。(実践薬学2017,pp.321-324)

ニューロタン(一般名:ロサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「初のARB。降圧やや弱い。臨床試験の成績豊富。尿酸排泄作用。2型糖尿病腎症に適応あり」。(今日の治療薬,p.631)

【効能・効果】
1. 高血圧症
2. 高血圧及び蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症

  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2C9のCRおよびIR値
    ロサルタン:CR(CYP2C9)0.40、(PISCS2021,p.52)、CYP2C9基質薬
    ロサルタン:IR(CYP2C9)0.00、(PISCS2021,p.53)、CYP2C9阻害作用

ロサルタンには、血清尿酸値を低下させる作用がある
つまり、尿酸排泄効果がある。(実践薬学2017,pp.306-309)⇒尿酸排泄の仕組み「近位尿細管におけるトランスポーターを介した尿酸輸送モデル」p.308
注)ニューロタンには、URAT1阻害による尿酸排泄促進作用がある。(児島2017,p.19こぼれ話)

  • プレミネント配合錠⇔ロサルタン/ヒドロクロロチアジド(ロサルヒド)

ブロプレス(一般名:カンデサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「プロドラッグ。適当な降圧効果と持続性。心不全に適応あり」。(今日の治療薬,p.631)

【効能・効果】
(ブロプレス錠2・4・8・12の場合)
高血圧症
腎実質性高血圧症
(ブロプレス錠2・4・8の場合)
下記の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合
慢性心不全(軽症〜中等症)
⇒ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)の空咳を想定している

カンデサルタンを基にして、エカード配合錠(サイアザイド利尿薬を配合)や、アジルサルタン(新たなARB)が開発されている。

なお、片頭痛予防薬としてのカンデサルタンは、「慢性疼痛の診療ガイドライン2018」には記載されていない。
注)児島(2017,p.18こぼれ話)などは、既に古い情報となっている。

  • エカード配合錠LD・HD⇔カンデサルタン4mg・8mg/ヒドロクロロチアジド6.25mg(カデチア)
  • ユニシア配合錠LD・HD⇔カンデサルタン8mg/アムロジピン2.5mg・5mg(カムシア)

ディオバン(一般名:バルサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「ATタイプ1受容体に選択性が高く、半減期は比較的短い」。(今日の治療薬,p.632)

【効能・効果】
高血圧症

  • コディオ配合錠MD・EX⇔バルサルタン80mg/ヒドロクロロチアジド6.25mg・12.5mg(バルヒディオ)
  • エックスフォージ配合錠⇔バルサルタン80mg/アムロジピン5mg(アムバロ)
  • アテディオ配合錠⇔バルサルタン80mg/シルニジピン10mg

オルメテック(一般名:オルメサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「プロドラッグ。AT受容体高親和性。降圧効果が強い」。(今日の治療薬,p.632)

【効能・効果】
高血圧症

アルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくい。

  • レザルタス配合錠LD・HD⇔オルメサルタン10mg/アゼルニジピン8mg・16mg

ミカルディス(一般名:テルミサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「胆汁排泄型。長時間作用型。PPARγ活性化作用」。(今日の治療薬,p.632)

【効能・効果】
高血圧症

胆汁排泄型持続性AT1受容体ブロッカー
「注)肝障害のある患者に投与する場合の最大投与量は 1日40mgである」。(ミカルディス添付文書)
肝硬変あるいは肝不全を伴う場合の1日最大投与量は、40mgまでと考えてよい。⇒Child-Pugh分類

「添付文書に「非線形型薬物である」と明記されている薬剤」(どんぐり2019,p.52)

添付文書に<非線形性>を示すことが記載されている。⇒「非線形性~肝クリアランス」
「健康成人及び患者において、40mg以上の投与量で用量比以上の曝露の上昇がみられ、Cmaxでその傾向は顕著であることが確認されている。その機序として、小腸壁での抱合能の飽和及び肝臓への分布の飽和の関与が考えられる」。(ミカルディス添付文書)

  • 投与量20mg、Cmax(ng/mL)33.84±17.37
  • 投与量40mg、Cmax(ng/mL)78.52±32.72(約2倍)
  • 投与量80mg、Cmax(ng/mL)365.81±253.08(約4.6倍)

そのほかのARBと異なり、分子中のテトラゾール基がカルボン酸基になっている(注:アジルバはオキサジアゾール基)。
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γ活性化作用を有し、インスリン抵抗性改善作用などを示す。⇒ピオグリタゾン

  • ミコンビ配合錠AP・BP⇔テルミサルタン40mg・80mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg(テルチア)
  • ミカムロ配合錠AP・BP⇔テルミサルタン40mg・80mg/アムロジピン5mg(テラムロ)
  • ミカトリオ配合錠⇔テルミサルタン80mg/アムロジピン5mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg

イルベタン、アバプロ(一般名:イルベサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「腎症に対し豊富な臨床試験成績あり」。(今日の治療薬,p.633)

【効能・効果】
高血圧症

イルベサルタンは、大規模臨床試験(IRMA2やIDNT)において、2型糖尿病性腎症の進展予防に有効であることが証明された。
なお、この効果はイルベサルタンの降圧効果とは独立したものとされている。
 
その作用機序として、AT1受容体を発現していない細胞におけるPPAR活性化作用(選択的PPARモジュレーター(SPPARM))が考えられている(テルミサルタンも同様)。
 
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2C9のCRおよびIR値
    イルベサルタン:CR(CYP2C9)0.84、(PISCS2021,p.52)、CYP2C9基質薬
    イルベサルタン:IR(CYP2C9)0.05、(PISCS2021,p.53)、CYP2C9阻害作用
  • イルトラ配合錠LD・HD⇔イルベサルタン100mg・200mg/トリクロルメチアジド1mg
  • アイミクス配合錠LD・HD⇔イルベサルタン100mg/アムロジピン5mg・10mg(イルアミクス)

アジルバ(一般名:アジルサルタン)

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬(ARB):
「強い降圧作用、長時間作用、夜間高血圧にも有効」。(今日の治療薬,p.633)

【効能・効果】
高血圧症

アジルサルタンは、カンデサルタンの改良薬である。⇒「既存薬の改良を考える」(上記)

カンデサルタンの側鎖を、テトラゾール基からオキサジアゾール基に置換した形になっている。
脂溶性を増して組織移行性を高め、AT1受容体との結合力も強くなっている。

  • ザクラス配合錠LD・HD⇔アジルサルタン20mg/アムロジピン2.5mg・5mg

プレミネント配合錠(ロサルタン/ヒドロクロロチアジド)、ロサルヒド

エカード配合錠(カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド)、カデチア

ユニシア配合錠(カンデサルタン/アムロジピン)、カムシア

コディオ配合錠(バルサルタン/ヒドロクロロチアジド)、バルヒディオ

エックスフォージ配合錠(バルサルタン/アムロジピン)、アムバロ

アテディオ配合錠(バルサルタン/シルニジピン)

レザルタス配合錠(オルメサルタン/アゼルニジピン)

ミコンビ配合錠(テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド)、テルチア

ミカムロ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン)、テラムロ

ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド)

イルトラ配合錠(イルベサルタン/トリクロルメチアジド)

アイミクス配合錠(イルベサルタン/アムロジピン)、イルアミクス

ザクラス配合錠(アジルサルタン/アムロジピン)

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2022年03月10日(第6版発行)
2023年02月20日(第7版発行)、最新刷(2023/02/25)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)