抗C型肝炎ウイルス薬(ハーボニーなど)
抗C型肝炎ウイルス薬
HCVのライフサイクルとDAAの主な作用部位(実践薬学2020,p.133)
DAA:direct-acting-antiviral(直接作用型抗ウイルス薬)
- 翻訳、ウイルス蛋白産生(HCVが肝細胞内に侵入)
NSS/4Aプロテアーゼ阻害薬(いずれも蛋白阻害薬):テラプレビル(2017年11月中止)、シメプレビル、アスナプレビル、バニプレビル、パリタプレビル、グラゾプレビル - 複製複合体形成(HCVを増殖する)
NS5A阻害薬(いずれも蛋白阻害薬):ダクラタスビル、レジパスビル、オムビタスビル、エルバスビル - RNA複製、増殖(HCVを肝細胞外へ放出)
NS5Bポリメラーゼ阻害薬(核酸アナログ製剤):ソホスブビル
アスナプレビル、ダクラタスビル、2021年3月末経過措置期間満了
参考資料:
日本肝臓学会編『C型肝炎治療ガイドライン』の公表について/日本肝臓学会(2019年6月)
ガイドライン(PDF)、各剤併用禁忌一覧表(PDF)などへのリンク有り。
そのほか、別途、ガイドライン簡易版(PDF)も存在する。
医薬品各種(抗HCV薬)
レベトール(一般名:リバビリン)
抗C型肝炎ウイルス薬(RNAポリメラーゼ阻害):
「プリンヌクレオシド類似物質。DNA、RNAウイルス増殖抑制作用」。(今日の治療薬2021,p.828)
RNAポリメラーゼ阻害は、直接の抗ウイルス作用の他に免疫調節蛋白を誘導する。(同上,p.825)
グラジナ(一般名:グラゾプレビル)
抗C型肝炎ウイルス薬(NS3・4Aプロテアーゼ阻害):(今日の治療薬2021,p.829)
エルバスビルと併用。(エルバスビル+グラゾプレビル(EBR/GZR))
NS3・4Aプロテアーゼ阻害薬は、非構造蛋白3・4Aプロテアーゼを競合的に阻害する。(同上,p.825)
併用禁忌には、CYP3A誘導薬、P-gp誘導薬やOATP1B1阻害薬がある。
「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:CYP2C9、CYP3A阻害薬・ミコナゾール(フロリード)
併用禁忌:CYP3A、P-gp阻害薬・イトラコナゾール(イトリゾール)
エレルサ(一般名:エルバスビル)
抗C型肝炎ウイルス薬(NS5A阻害):(今日の治療薬2021,p.830)
グラゾプレビルと併用。(エルバスビル+グラゾプレビル(EBR/GZR))
NS5A阻害薬は、副作用が少なく、他の阻害薬と組み合わせて使われる。(同上,p.825)
併用禁忌には、CYP3A誘導薬、P-gp誘導薬やOATP1B1阻害薬がある。
ソバルディ(一般名:ソホスブビル)
抗C型肝炎ウイルス薬(NS5Bポリメラーゼ阻害):(今日の治療薬2021,p.830)
リバビリンと併用。(ソホスブビル+リバビリン(SOF/RBV)
NS5Bポリメラーゼ阻害薬は、HCV複製の中心的役割をもつポリメラーゼを阻害する。(同上,p.825)
腎機能低下時の用法・用量(ソホスブビル)
- 「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
ハーボニー配合(一般名:レジパスビル+ソホスブビル)
抗C型肝炎ウイルス薬(配合剤):(今日の治療薬2021,p.830)
一般名:ソホスブビル+レジパスビル(SOF/LDV)
アドヒアランスを高めるため配合剤にしている。(同上,p.825)
ハーボニー配合のソバルディ(ソホスブビル)は、核酸アナログ製剤でありC型肝炎治療のキードラッグと目されている。p.132
腎機能低下時の用法・用量(ハーボニー配合)
- 「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)または透析を必要とする腎不全の患者には禁忌である。
また、P-gp誘導薬の中に併用禁忌薬がある。
さらに、アミオダロンとの併用(機序不明)は添付文書上は併用注意であるが、併用は避けるべきである。p.135
エプクルーサ配合(一般名:ソホスブビル+ベルパタスビル)
抗C型肝炎ウイルス薬(配合剤):(今日の治療薬2021,p.831)
一般名:ソホスブビル+ベルパタスビル(SOF/VEL)
腎機能低下時の用法・用量(エプクルーサ配合)
- 「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
ヴィキラックス配合(販売中止)
一般名:オムビタスビル+パリタプレビル+リトナビル(OBV/PTV/r)
2018年5月販売中止、2019年3月末日経過措置期間満了
腎機能低下時の用法・用量(ヴィキラックス配合)
- 「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
ヴィキラックスは、ハーボニーとは異なり胆汁排泄型である。
ただし、強力なCYP3A4阻害薬であるリトナビル(抗HIV薬)が配合されているため、CYP3A4基質薬あるいはCYP3A4誘導薬とは併用禁忌となり、その対象薬は多くなる。p.133-135
そのほか、P-gp阻害薬、BCRP阻害薬やOATP阻害薬の中に併用禁忌薬がある。
そうした中で、Ca拮抗薬のアゼルニジピンが併用禁忌となっている。
添付文書上の禁忌はアゼルニジピンだけであるが、「その他のCa拮抗薬でも血中濃度上昇に伴う下肢浮腫や顔面浮腫、肺水腫、低血圧、無尿などが報告されて」いる。
「最小用量まで減量するか、できればアンジオテンシンⅡ受容体(ARB)などへの変更を考慮した方がいいだろう」。pp.134-135
なおここで、リトナビル(強力なCYP3A4阻害薬)の役目は、併用薬剤のPI(プロテアーゼ阻害薬:CYP3A4基質薬)の分解を阻止して血中濃度を高めるとともに、血中濃度半減期を延長させることにある。
つまり、ブースター効果を狙ったものである。
ちなみに、ヴィキラックス配合錠でのリトナビル含有量は100mg/日分である。
そして、抗HIV薬としてのリトナビルの1日量は1200mgである。
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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)
2021年08月25日(第5版発行)
2022年03月10日(第6版発行)
2023年02月20日(第7版発行)、最新刷(2023/02/25)本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。
Web管理人
山本明正(やまもと あきまさ)
1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)