抗真菌薬(フルコナゾールなど)

2020年5月27日

経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌(ワーファリンの場合)

経口アゾール系抗真菌薬には、イミダゾール系のミコナゾール(MCZ)とトリアゾール系のフルコナゾール(FLCZ)、ボリコナゾール(VRCZ)そしてイトラコナゾール(ITCZ)の4種がある。

「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014」によれば、第一選択薬は、口腔咽頭カンジダ症や食道カンジダ症ならば、FLCZ(ジフルカン)かイトリゾール(ITCZ)、第二選択薬は、ブイフェンド(VRCZ)が適当である。

MCZ(フロリード)の適応症は上記2疾患であるが、口腔咽頭カンジダ症では第二選択薬になっているものの、食道カンジダ症では第二選択薬にも推奨されていない。

「2016年10月、ワーファリン(一般名ワルファリンカリウム)とフロリードゲル(ミコナゾール経口ゲル製剤)の添付文書が改訂され、両剤は併用禁忌となった」。その理由は、従来から併用注意であったが、「ミコナゾール(ゲル)とワルファリンとの併用中または併用中止後の重篤な出血傾向が多数集積」されたためである。p.154

ここで、併用禁忌の対象がフロリード(ゲル)であることは重要である。

「(フロリードゲル)2.5gおよび5g投与群では、いずれの被験者の血漿中にもミコナゾールは定量限界未満(0.1μg/mL)であった」(フロリードゲル経口用のインタビューフォームより)として「安全な抗真菌薬」とされていた。

しかし実際には、「経口miconazoleゲル製剤とwarfarinの併用は、入院治療を要するほどのINR値上昇を引き起こし、またINR値への影響が長期間に及ぶ」というデータが示されている。p.158

ワルファリン(WF)の薬効の本体はCYP2C9で代謝されるS-WFであり、経口アゾール系抗真菌薬はそれぞれCYP2C9そのほかの阻害薬である。したがって、ミコナゾール(MCZ)以外の経口アゾール系抗真菌薬をWFと併用するにしても、「INR測定やトロンボテストの回数を増やすなど慎重に投与する必要がある」。p.158

表S1:カンジダ症に対する薬物治療(実践薬学2017,p.157)

医薬品各種(抗真菌薬)

ラミシール(一般名:テルビナフィン)

テルビナフィンは、CYP2D6阻害薬(強い)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

イトリゾール(一般名:イトラコナゾール)

イトラコナゾールは、CYP2C8阻害薬(弱い)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

イトラコナゾールは、CYP2C19阻害薬(強い)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

イトラコナゾールは、CYP3A阻害薬(強い)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

イトラコナゾールは、P-gp阻害薬である

「薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019」/PharmaTribune

イトラコナゾールは、P糖蛋白(P-gp:排出トランスポーター)阻害薬である。
相互作用を受ける薬物(P-gpの基質):アリスキレン(ラジレス)、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、リオシグアト(アデムパス)、以上併用禁忌(上記CYP関連を含む禁忌薬参照)。

(P糖蛋白(P-gp)は)小腸の管腔側膜に発現し薬物の吸収を抑制する一方、肝臓の胆管側膜および腎臓の尿細管側膜に発現し、薬物の胆汁排泄・腎排泄を促進する。(主に消化管・脳からの排出に影響)

(P糖蛋白の)阻害により、一般には基質薬物の吸収促進・排泄抑制が起こり、血中濃度の上昇、薬効・副作用の増強が起こると考えられる。一方、脳内への移行抑制にも働ことから、その阻害は、薬物の脳内移行を上昇させる可能性がある。

経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌(イトラコナゾール)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)

  • 同系統薬共通
    睡眠薬・トリアゾラム、片頭痛薬・エルゴタミン(クリアミンに配合)、抗不整脈薬・キニジン
  • 脂質異常症薬・シンバスタチン
  • Ca拮抗薬・アゼルニジピン、ニソルジピン
  • 抗精神病薬・ブロナンセリン
  • 抗凝固薬・ダビガトラン、リバーロキサバン
  • 抗C型肝炎ウイルス薬・アスナプレビル
  • 抗不整脈薬・ベプリジル
  • 勃起不全改善薬・バルデナフィル、シルデナフィル
  • 血管拡張薬・タダラフィル
  • 降圧関連薬・エプレレノン、アリスキレン
  • 新しい睡眠薬・スボレキサント
  • 血管拡張薬・リオシグアト
  • 抗悪性腫瘍薬・イブルチニブ

ブイフェンド(一般名:ボリコナゾール)

ボリコナゾールは、CYP2C19阻害薬(強い)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ボリコナゾールは、CYP2C19の基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ボリコナゾールは、CYP3A阻害薬(強い)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌(ボリコナゾール)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)

  • 同系統薬共通
    睡眠薬・トリアゾラム、片頭痛薬・エルゴタミン(クリアミンに配合)、抗不整脈薬・キニジン
  • 抗結核薬・リファンピシン、リファブチン
  • 抗てんかん薬・カルバマゼピン、フェノバルビタール
  • 抗HIV薬・エファビレンツ、リトナビル(配合薬も有り)

ニゾラール(一般名:ケトコナゾール)

アスタット(一般名:ラノコナゾール)

ルリコン(一般名:ルリコナゾール)

ゼフナート(一般名:リラナフタート)

マイコスポール(一般名:ビホナゾール)

メンタックス(一般名:ブテナフィン)

ペキロン(一般名:アモロルフィン)

ルナコック(一般名:ルリコナゾール)

クレナフィン(一般名:エフィナコナゾール)

エンペシド(一般名:クロトリマゾール)

ジフルカン(一般名:フルコナゾール)

腎機能低下時の用法・用量(フルコナゾール)

「腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例」(実践薬学2017,p.163)
尿中未変化体排泄率(77~81%)、減量法の記載有り。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    50~400mg分1
  • CCr(15~60mg/dL未満)
    1 回50~200mgを24時間毎
  • CCr(15mg/dL未満、透析患者を含む)
    1 回50~200mgを週3回、HD患者では毎HD後

フルコナゾールは、CYP2C9(中程度)阻害薬である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

フルコナゾールは、CYP2C19阻害薬(強い)である

同上

フルコナゾールは、CYP3A阻害薬(中程度)である

同上

経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌(フルコナゾール)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)

  • 同系統薬共通
    睡眠薬・トリアゾラム、片頭痛薬・エルゴタミン(クリアミンに配合)、抗不整脈薬・キニジン

フロリード(一般名:ミコナゾール)

ミコナゾールは、CYP2C9阻害薬(中程度)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ミコナゾールは、CYP3A阻害薬(中程度)である

同上

経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌(ミコナゾール)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)

  • 同系統薬共通
    睡眠薬・トリアゾラム、片頭痛薬・エルゴタミン(クリアミンに配合)、抗不整脈薬・キニジン
  • 脂質異常症薬・シンバスタチン
  • Ca拮抗薬・アゼルニジピン、ニソルジピン
  • 抗精神病薬・ブロナンセリン
  • 抗血栓薬・リバーロキサバン、ワルファリン
  • 抗C型肝炎ウイルス薬・アスナプレビル

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)