薬物動態学

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)

投稿日:2019年7月2日 更新日:

肝抽出率(E)|初回通過効果(FPE:first pass effect)

経口投与された薬物の多くは、小腸で体内に吸収(absorption)され、門脈を通って肝臓に入る。そして、そこから血中に入り全身循環をしていく。

肝抽出率とは、肝臓に入った薬物のうち、肝臓で代謝される薬物の割合をいう。つまり、肝消失型の薬物が最初に肝臓を通過するとき、どのくらい代謝されるか(消失するか)という割合のことである。

言い換えると、初回通過効果(FPE:first pass effect)のことである。この値が大きい薬物ほど、肝初回通過効果を受けやすく、したがって血中濃度は上がりにくい。

高肝抽出率、E>0.7
中間型、0.4<E<0.6
低抽出率、E<0.3

肝抽出率(E)=(肝に流入する血液中の薬物濃度-肝から流出する血液中の濃度)/肝に流入する血液中の薬物濃度、菅野p.7
肝抽出率=肝クリアランス/肝血流量、TDM学会

TDM学会 ⇒ 日本TDM学会Web(TDM、薬物動態関連の専門用語解説)
http://plaza.umin.ac.jp/~jstdm/yogo/yogo.html

肝疾患時や高齢者の場合は、肝抽出率の値によって、薬物の血中動態は大きく変わる。

つまり、肝抽出率が大きければ最高血中濃度は上昇し、肝抽出率が小さければ焼失半減期が延長する。必要に応じて、それぞれ投与薬物の減量あるいは投与間隔の延長を検討する。菅野p.7

プロプラノロール(β遮断薬)は、高肝抽出率の薬物に分類される。したがって、肝臓の悪い患者では血中濃度が上昇する恐れがある。

副作用として、徐脈や房室ブロックあるいは起立性低血圧の発現に注意する。場合によっては、腎排泄型のβ遮断薬であるアテノロールなどへの変薬を考える。

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サリドマイド事件のあらまし(概要)
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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)製薬メーカー入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2019年5月(令和1)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)

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