副腎皮質ステロイド(全身投与用)

2020年11月6日

副腎皮質ステロイド(概要)

ステロイド内服薬の作用時間

短時間型(生物学的半減期:8~12時間)
コートン(一般名:コルチゾン)
コートリル(一般名:ヒドロコルチゾン)

中間型(生物学的半減期:12~26時間)
プレドニン(一般名:プレドニゾロン)
メドロール(一般名:メチルプレドニゾロン)

長時間型(生物学的半減期:36~54時間)
リンデロン(一般名:ベタメタゾン)
デカドロン(一般名:デキサメタゾン)

ステロイド内服薬の抗炎症作用

コートン(一般名:コルチゾン)・・・・・・・・・0.8
コートリル(一般名:ヒドロコルチゾン)・・・・・1.0
プレドニン(一般名:プレドニゾロン)・・・・・・4.0
メドロール(一般名:メチルプレドニゾロン)・・・5.0
リンデロン(一般名:ベタメタゾン)・・・・・・25.0~30.0
デカドロン(一般名:デキサメタゾン)・・・・・25.0~30.0

ステロイド内服薬の電解質(鉱質コルチコイド)作用

コートン(一般名:コルチゾン)・・・・・・・・・0.8
コートリル(一般名:ヒドロコルチゾン)・・・・・1.0
プレドニン(一般名:プレドニゾロン)・・・・・・0.8
メドロール(一般名:メチルプレドニゾロン)・・<0.01
リンデロン(一般名:ベタメタゾン)・・・・・・<0.01
デカドロン(一般名:デキサメタゾン)・・・・・<0.01

ステロイド内服薬の胎盤通過性

胎盤には、ステロイドを分解・不活性化する「11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(2型)」が多く存在している。
したがって、内服されたステロイドは、胎盤を通じて胎児へ移行しにくくなっている。
ただし、移行率(不活化率)はステロイドによって異なっている。

例えば、以下のとおりである。
プレドニゾロンは、豪州ADEC基準(妊娠中の安全性評価)で、カテゴリー【A】である。
ベタメタゾンは、カテゴリー【B1】である。

以下、参考まで:
フェキソフェナジン(第2世代抗ヒスタミン薬)、カテゴリー【B2】
ロキソプロフェン(NSAIDs)、カテゴリー【C】⇒記載無しに変更

(児島2017,pp165-169)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(副腎皮質ステロイド)

特に副腎皮質ステロイドの項はないものの、NSAIDsとの併用に関する注意がなされている。

  • 抗血小板薬や抗凝固薬、糖質ステロイドの併用患者ではNSAIDs潰瘍のリスクが上昇するため、これらの薬剤を使用する場合は、なるべくNSAIDsの変更・早期中止を検討する。(消炎鎮痛薬の項より引用)

別表2.その他の特に慎重な投与を要する薬物のリスト(経口ステロイド薬)

  • プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン[メドロール]、ベタメタゾン[リンデロン]など
  • 呼吸筋の筋力低下および呼吸不全の助長、消化性潰瘍の発生
  • 慢性安定期のCOPD患者には使用すべきでない。
    増悪時、Ⅲ期以上の症例や入院管理が必要な患者では、プレドニゾロン40mg/日を5日間投与が勧められる。

(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2005(日本老年医学会)、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015(日本老年医学会)より改変引用)

以下、児島(2017,pp.165,167)から引用。

  • ステロイドは胃を荒らすことがあるため食後に服用するのが一般的です。特にNSAIDsと併用した場合は消化性潰瘍のリスクが約15倍に高まることが報告されています(Ann Intern Med,114:735-740,1991[PMID 2012355])。
  • 「プレドニン換算」で1日5㎎以上を服用していると、骨粗鬆症のリスクになるとされています(日本骨代謝学会「ステロイド骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン(2014)」)。

医薬品各種(副腎皮質ステロイド)

ステロイドは、決められた1日量を決められた時間に服用することが大切である

自己判断で飲む量を変えたり、途中で止めてしまったりすると、症状が悪化したり、別の副作用(離脱症状など)を起こす恐れがある。
ステロイドの副作用の大半は、ドーピングなどで過量摂取した場合に起こる副作用である。
ステロイドを過剰に恐れることはない。

ステロイドの全身投与は、体内に存在する「コルチゾール」を補い追加する療法である。
コルチゾールは、朝たくさん分泌され、夕方~夜になると分泌が減るという増減リズム(日内変動)を繰り返している。
こうした自然なリズムが乱れると、夜に目がさえて眠れなくなったり、「コルチゾール」を分泌している副腎に悪影響を与えるなど副作用の原因となることが分かっている。

ステロイドは、朝1回あるいは朝多めの量を服用するなど、日内変動に沿った服用方法がとられる。
その時々で、決められた用法・用量を守ることが大切である。

(児島2017,p.168)

プレドニン(一般名:プレドニゾロン)

副腎皮質ステロイド(主として全身投与用):
「ヒドロコルチゾンの4倍の抗炎症・抗リウマチ作用。電解質作用が比較的弱い」。(今日の治療薬,p.275)

作用時間(生物学的半減期)は中間型であり、適度に効き目が持続する。
そのため、副作用軽減のための工夫をしやすい。
例えば、隔日(1日おき)投与や1日の投与量調節(朝・多め、夕・少なめ)などである。

豪州ADEC基準(妊娠中の安全性評価)で、カテゴリー【A】(最も安全)である。
胎盤で90%近くが不活性化されるため、1日20mg以下であれば胎児にまで影響することはない。

リンデロン(一般名:ベタメタゾン)

副腎皮質ステロイド(主として全身投与用):
「デキサメタゾンと概ね同様の特徴」。(今日の治療薬,p.278)

抗炎症作用は、プレドニンの7~8倍強力である。
作用時間(生物学的半減期)は長時間型であり、強い効き目が長続きする。
電解質作用(鉱質コルチコイド)作用がないので、血圧上昇などの副作用が出にくい。
大量投与に適している。

豪州ADEC基準(妊娠中の安全性評価)で、カテゴリー【B1】である。
胎盤での不活性化率は約33%であり、プレドニゾロンよりも低くなっている。
妊娠中にステロイドが必要になった場合には、プレドニゾロンを使う。

デカドロン(一般名:デキサメタゾン)

副腎皮質ステロイド(主として全身投与用):
「ヒドロコルチゾンの25倍強力。半減期が長く、受容体親和性が強い。電解質作用は弱い。胎盤通過性はプレドニゾロンよりも高い」。(今日の治療薬,p.277)

ミクスonline:
「厚労省 ステロイド薬・デキサメタゾンを新型コロナ診療の手引きに追記」
公開日時 2020/07/22 04:51

「同剤について英国で実施されたランダム化試験「RECOVERY」の結果」を受けて、既に「米NIHは6月25日に治療ガイドラインを改訂し、人工呼吸や酸素投与を必要とする新型コロナ患者への同剤の使用を推奨している。なお、同剤以外のステロイド薬についての評価は確立していないとしている」。

メドロール(一般名:メチルプレドニゾロン)

副腎皮質ステロイド(主として全身投与用):
「ヒドロコルチゾンの5倍の抗炎症作用。電解質作用が弱い」。(今日の治療薬,p.278)

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1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
サリドマイド事件のあらまし(概要)
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本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)