痛風・高尿酸血症治療薬

2020年10月2日

痛風・高尿酸血症治療薬(概要)

尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬がある

尿酸生成抑制薬(アロプリノールなど)と尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)に分かれる。

尿酸排泄促進薬は、腎障害がある場合、腎臓(糸球体)の濾過機能が低下しているので使いにくい。
その場合には、尿酸生成抑制薬による治療が中心となる。
また、ベンズブロマロンでは、投与開始後少なくとも6か月間、定期的な肝機能検査が義務付けられている。

尿酸生成抑制薬(キサンチンオキシダーゼ阻害剤)のうち、ザイロリック(1日3回投与)はプリン骨格を有する腎排泄型薬物であり、腎機能低下時は減量が必要である。
プリン骨格を有しない肝消失型のフェブキソスタット(1日1回投与)、あるいはトピロキソスタット(1日2回投与)は、腎機能が多少低下していても用量調節の必要が無い。

フェブキソスタット、トピロキソスタットでは漸増法がとられる。
血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるためである。

フェブキソスタット:心血管疾患を有する痛風患者を対象とした海外臨床試験において、アロプリノール群に比較してフェブキソスタット群で心血管死の発現割合が高かったとの報告がある。

高尿酸血症治療と残余リスク

高尿酸血症治療について、益崎裕章・琉球大学医学部第二内科教授は、残余リスクという考え方を示しています。

「ACE阻害薬やARB、スタチンなどの優れた薬剤は、心血管イベントの発症抑制に大きく貢献していますが、それらの薬剤を用いても依然として心血管イベントを発症する例が少なくないのも事実です。
すなわち、それらの薬剤を用いても何らかのリスクは残っており、これを「残余リスク」と呼んでいます。
残余リスクの候補は種々ありますが、私たちは、高尿酸血症、とくに尿酸産生酵素XO(キサンチンオキシダーゼ)の活性に伴う過剰な酸化ストレスを提唱しています」。
(XOチャンネル|エキスパートに聞く! XOの最前線 第2回 「心血管イベント残余リスクとしてのXO」)

尿酸生成抑制薬3剤における結合様式の違い

  • アロプリノール(1969年発売)
    プリン骨格を持ち、XORの活性中心であるモリブデン(IV価)と共有結合して阻害作用を示す。
  • フェブキソスタット(2011年発売)
    非プリン骨格で、XORの基質結合ポケット内に入り込み、複数のアミノ酸残基との相互作用により結合し、XORを阻害する。
  • トピロキソスタット(2013年発売
    ハイブリッド結合。
    非プリン骨格を持つトピロキソスタットは、XOR のポケット内に入り込み、モリブデンに共有結合するとともに、複数のアミノ酸残基との相互作用により、XORを選択的に阻害し、尿酸産生を抑制する。
    (参考:「尿酸生成抑制薬3剤における3つの違い」株式会社三和化学研究所より)

ところで、高血圧治療薬(ARB)のロサルタンは、尿酸排泄促進作用(URAT1阻害作用)を有している。
尿酸を平均0.7mg/dL低下させる能力があり、プロベネシッドには引けを取らない。

尿酸産生・排泄の仕組み

(実践薬学2017,pp.307-308)

尿酸はプリン体から作られる

尿酸は、体内でプリン体などから作られる。
(プリン体→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸)
その反応過程には、キサンチンオキシダーゼ(XO:酸化酵素)が深く関わっている。

尿酸生成抑制薬(アロプリノールなど)は、このXOを阻害することによって、尿酸の生成を抑制する。

なお、キサンチンオキシダーゼ(XO)は、キサンチン酸化還元酵素(XOR:キサンチンオキシドレダクターゼ)のアイソフォームの一つである。

尿酸は腎臓(糸球体)から排泄される

最終産物である尿酸の排出経路は、腸管(1/3)と腎臓(2/3)である。

この尿酸の排泄にはトランスポーターの働きが必要である。
なぜならば、尿酸は親水性で、脂質でできた細胞膜を通過することができないからである。

「腎臓に運ばれた尿酸は糸球体濾過を受けた後、近位尿細管にて尿酸トランスポーターURAT1を介して管腔側から再吸収される。また同時に、尿酸トランスポーターURATv1を介して血管側へ分泌もされる。その結果、糸球体濾過量の約1割が尿中に排泄される」。

ベンズブロマロン(ユリノーム)は、近位尿細管における尿酸トランスポーターURAT1を阻害することによって、尿酸の再吸収を抑え、尿酸の排泄を促進する。
なお、in vitroではURATv1阻害作用も確認されている。

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表3.代表的腎排泄型薬剤(高尿酸血症治療薬

  • アロプリノール

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

CYP2C9

【基質】
ワルファリン(クマリン系薬、ワーファリン)
フェニトイン(抗てんかん薬(主にNaチャネル阻害)、アレビアチン、ヒダントール)
グリメピリド((スルホニル尿素(SU類)(第三世代)、アマリール)
グリベンクラミド(スルホニル尿素(SU類)(第二世代)、オイグルコン、ダオニール)
ナテグリニド(即効型インスリン分泌促進薬、ファスティック、スターシス)
ジクロフェナク(NSAIDs[アリール酢酸系(フェニル酢酸系)]、ボルタレン)
セレコキシブ(NSAIDs(コキシブ系)、セレコックス)
フルバスタチン(スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、ローコール)

【阻害薬】
ミコナゾール(深在性・表在性抗真菌薬(イミダゾール系)、フロリード)
フルコナゾール(深在性抗真菌薬(トリアゾール系)、ジフルカン)
アミオダロン(抗不整脈薬(クラスⅢ群)、アンカロン)
ブコローム(尿酸排泄促進薬、パラミヂン)

【誘導薬】
リファンピシン(抗結核薬、リファジン)

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。
    基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。
    一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。
    なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。
  • ベンゾジアゼピン系薬やCa拮抗薬は主にCYP3Aで代謝される薬物が多い。
    本リストでは、そのなかでもCYP3Aの寄与が高いことが良く知られている薬物を例示した。
  • 消化管吸収におけるCYP3A、P糖蛋白の寄与は不明瞭であることが多く、また両方が関与するケースもみられることに注意を要する。
    またCYP3Aの阻害薬については、P糖蛋白も阻害する場合が多い。

医薬品各種(痛風・高尿酸血症治療薬)

コルヒチン(一般名:コルヒチン)

痛風発作寛解・予防薬:
「痛風発作の特効薬。尿酸排泄作用なし」。(今日の治療薬,p.423)

腎機能低下時の用法・用量(コルヒチン)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1)痛風発作の緩解及び予防:1日3~4mgを分6~8。痛風発作の緩解には1日1.8mgまで。発病予防には1日0.5~1mg。発作予感時には1回0.5mg
    2)家族性地中海熱:1日0.5mgを分1~2。1日最大投与量は1.5mg
  • CCr(60mg/dL未満、透析患者を含む)
    連続投与は推奨できない。腎障害がありCYP3A4阻害薬(アタザナビル, クラリスロマイシン, インジナビル, イトラコナゾール, ネルフィナビル, リトナビル, サキナビル, ダルナビル, テラプレビル, コビシスタットなど)、P-gp阻害薬(シクロスポリン)併用患者は禁忌
    インジナビル販売中止(2017年7月)

コルヒチンは、CYP3A4の基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ザイロリック(一般名:アロプリノール)

尿酸生成抑制薬:
「キサンチンオキシダーゼを阻害し、尿酸生成を抑制(主代謝物のオキシプリノールも同作用」。(今日の治療薬,p.424)

【効能又は効果】
下記の場合における高尿酸血症の是正
痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症

プリン骨格を有する腎排泄型薬物であり、腎機能低下時は減量が必要である。
過量投与によって、核酸代謝(プリン骨格を有する)に関与した重篤な副作用の発現リスクがある。
スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)などの重篤な皮膚障害や肝障害、血小板減少症などである。
(1日2~3回投与)

腎機能低下時の用法・用量(アロプリノール)

「腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例」(実践薬学2017,p.163)
尿中未変化体排泄率(活性代謝物70%)、減量法の記載無し。
下記のとおり、減量の基準はあるものの、それらの用量では「適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い」⇒ 元の用量まで増量となるケースが多い。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日200~300mgを分2~3、食後
  • CCr(30~60mg/dL未満)
    1日100mgを分1
    ただし、この用量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い
  • CCr(30mg/dL未満)
    1日50mgを分1
    ただし、この用量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い
  • HD(血液透析)・PD(腹膜透析)
    HD患者では1回100mgを週3回、毎HD後。
    CAPD患者では1日50mgを分1
    ただし、この用量では適正な尿酸値にコントロールできない場合が多い

アロプリノールは、CYP1A2阻害薬(弱い)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

フェブリク(一般名:フェブキソスタット)

尿酸生成抑制薬:(今日の治療薬2020,p.424)

【効能・効果】
1.痛風、高尿酸血症
2.がん化学療法に伴う高尿酸血症

「通常、成人にはフェブキソスタットとして1日10mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1日1回40mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回60mgとする」。(フェブリク錠添付文書)

非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤(1日1回投与)である。
非プリン骨格を有する肝消失型薬物であり、腎機能に応じた用量調節の必要が無い。
アロプリノールの欠点を改良している。

【重要な基本的注意】
「心血管疾患を有する痛風患者を対象とした海外臨床試験において、アロプリノール群に比較してフェブキソ
スタット群で心血管死の発現割合が高かったとの報告がある。本剤を投与する場合には心血管疾患の増悪や
新たな発現に注意すること」。(フェブリク錠添付文書)

トピロリック、ウリアデック(一般名:トピロキソスタット)

尿酸生成抑制薬:(今日の治療薬2020,p.425)

【効能又は効果】
痛風、高尿酸血症

【用法・用量】
「通常、成人にはトピロキソスタットとして1回20mgより開始し、1日2回朝夕に経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1回60mgを1日2回とし、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1回80mgを1日2回とする」。(トピロリック錠添付文書)

非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤(1日2回投与)である。
投与回数が1回より2回の方が尿酸濃度の低下が大きく、かつ日内変動が少ない。
つまり、痛風関節炎を起こす可能性がより低い。
非プリン骨格を有する肝消失型薬物であり、腎機能に応じた用量調節の必要が無い。
アロプリノールの欠点を改良している。

ユリノーム(一般名:ベンズブロマロン)

尿酸排泄促進薬:
「尿細管での尿酸の再吸収を特異的に抑制」。(今日の治療薬,p.424)

【警告】
「劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行うこと。また、患者の状態を十分観察し、肝機能検査値の異常、黄疸が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと」。(ユリノーム錠添付文書)

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
「腎結石を伴う患者、高度の腎機能障害のある患者
[尿中尿酸排泄量の増大により、これらの症状を悪化させるおそれがある。また、効果が期待できないことがある。]」。(ユリノーム錠添付文書)

ベネシッド(一般名:プロベネシド)

尿酸排泄促進薬:
「尿細管における尿酸の再吸収を抑制して尿中排泄を促進」。(今日の治療薬,p.423)

パラミヂン(一般名:ブコローム)

尿酸排泄促進薬:
「尿酸排泄促進作用をもつNSAIDs」。(今日の治療薬,p.423)

ブコロームは、CYP2C9阻害薬(中程度)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

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サリドマイド事件のあらまし(概要)
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2019年10月12日(第3版発行)
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本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)