腎排泄型薬物と肝消失型薬物あるいは胆汁排泄型薬物

2020年3月6日

薬物の代謝経路

薬物は、大きくは水溶性と脂溶性に分けられる。そしてそれぞれが、様々な経路を経て代謝され、体外に排泄される。

腎排泄型薬物

「水溶性薬剤の排泄は至ってシンプルで、そのまま腎臓から尿中へと排泄される。ほとんど代謝を受けないものも多い」。(実践薬学2017,p.163、表1:腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例)

腎排泄型薬物では、尿中未変化体の排泄率(fu)≧60%とされている。ジゴキシン、メトホルミンやシベンゾリンなどがある。p.164

アロプリノールの活性代謝物は高い割合で尿中から排泄される

活性代謝物の尿中排泄率(fu)=70%と非常に高い薬物がある。アロプリノールである。したがって、アロプリノールは腎排泄型薬物とみなすべきである。

すなわち、「アロプリノールは肝臓で代謝を受けるが、その代謝物は活性を失うことなく(肝臓で消失することなく)、腎臓から排泄される」。「アロプリノール本体のfuは約10%にすぎないが、肝臓で代謝されて生じる活性本体のオキシプリノールのfuは約70%にもなる」。

尿中未変化体排泄率(fu)の高い腎排泄型薬物は、全て水溶性かというとそうではない。腎排泄型薬物の中には、脂溶性が高い薬物も含まれている。アマンタジン、プラミペキソール、ミルナシプランなどである。

これらの薬物は、「尿細管分泌によって腎排泄されている。アマンタジンとプラミペキソールは有機カチオントランスポーター(OCT)の基質であり、ミルナシプランの輸送系は明らかになっていない」。p.165

つまり、腎排泄型薬物とは、未変化体であろうと活性代謝物であろうと、〈活性体〉の尿中排泄率(fu)が高い薬物をいう。そして、腎排泄型薬物には水溶性の薬物が多いが、中には脂溶性薬物も含まれる。

肝消失型薬物

肝排泄型(肝代謝型)薬物というものは存在しない。あるのは、肝消失型薬物である。

「脂溶性薬剤は腎臓で糸球体濾過されても、近位尿細管の刷子縁膜で速やかに再吸収されてしまうため、腎・尿中から排泄されることはない」。ただし、例外的に脂溶性薬物で腎排泄型の場合もある(上記、アマンタジン、プラミペキソール、ミルナシプランの場合)。(実践薬学2017,p.165)

それはともかく、脂溶性の高い薬物は肝臓で代謝や抱合を受け、活性を持たない代謝物や抱合体として、胆汁もしくは尿中から排泄される。肝臓における代謝によって活性が消失する(肝消失)タイプの薬物である。

この場合当然ながら、〈活性をもたない〉代謝物や抱合体が尿中に排泄されるからといって、腎機能に応じた減量の必要はない。

ニフェジピンは非常に脂溶性の高い薬物である

「ニフェジピンは脂溶性がとても高い。CYP3A4で代謝を受け、極性を高めることで、その約60%が代謝物として尿中に排泄される」。(実践薬学2017,p.165)

【吸収・排泄】(アダラートCR錠添付文書)
健康成人に20、40mgを単回経口投与したときの血中未変化体濃度の推移は図のとおりである。(図略)
尿中には未変化体は検出されず、投与後60時間までに約60%が代謝物として排泄された。

つまり、「尿中には未変化体は検出されず」とあることから、fu=0%であり、尿中に活性物質は存在しないことを示している。この場合、尿中の代謝物(回収率60%)は、薬物の投与設計には何ら寄与しない。

胆汁排泄型薬物

胆汁排泄型薬物の「ほとんどが代謝を受けることなく、つまり肝臓で消失することなく、胆汁から未変化体のまま排泄される」。(実践薬学2017,p.167)

胆汁排泄型持続性AT1受容体ブロッカー(テルミサルタン)ミカルディス
胆汁排泄型選択的DPP-4阻害剤(リナグリプチン)トラゼンタ、など

種類はそれほど多くはない。

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2019年5月(令和1)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)