SU薬(スルホニル尿素薬)インスリン分泌促進

2020年2月17日

SU薬(スルホニル尿素薬)は、インスリン分泌促進作用を有する

SU薬は「インスリンの基礎分泌・追加分泌をともに高める。安価である。低血糖に十分注意する」。(今日の治療薬2020,p.381)

SU薬は、血糖降下作用の強い薬物である

「(SU薬は)最も古くから用いられている薬剤であり、膵β細胞膜上のSU受容体に結合し、血糖非依存性にインスリン分泌を促進させ、空腹時血糖値も食後血糖値も低下させる」。(糖尿病診療ガイドライン2019,p.71-72)

「SU類は膵β細胞にあるSU受容体と結合し、アデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャネルを閉鎖して、β細胞の脱分極」を来す。その結果、「電位依存性Caチャネルより細胞外Caが流入してインスリンの分泌を起こす」。(今日の治療薬2019,p.361)

SU薬の「対象となるのは食事療法と運動療法を十分に行ってもコントロールが得られない非肥満2型糖尿病である」。つまり、「内因性インスリン分泌能が残っている症例」であり、「1型糖尿病や膵疾患に伴う糖尿病などではSU類は無効である」。(同上)

SU薬は、低血糖を起こしやすい

「SU薬はメトホルミンの約4~5倍、チアゾリジン薬の約4倍、低血糖を起こしやすいとされている」。(糖尿病診療ガイドライン,p.71)

重症低血糖においては、「病型は1型が約30%、2型が約60%を占めていた。また2型の治療薬では、インスリン使用が約60%、SU薬使用が約30%を占めていた」。(同上,p.334)
注)重症低血糖:回復に他者の援助を必要とする低血糖(意識障害を伴い経口投与が不可能な場合など)。

通常の低血糖症状は、ブドウ糖の服用で回復する。しかし、SU薬服用患者では遷延性低血糖(慢性的な低血糖状態)になりやすい。

「このような患者自身での対処により、通常5分以内に低血糖症状は消失する。糖質摂取により血糖値がいったん上昇しても30分ほどでふたたび低血糖が生じる場合もある。これを遷延性低血糖と呼び、スルホニル尿素薬による低血糖で起こりやすい」。(重篤副作用疾患別対応マニュアル(低血糖)/厚生労働省(平成30年6月改定)p.16)

医薬品各種(SU薬)

オイグルコン、ダオニール(一般名:グリベンクラミド)

SU薬の中で最も強力な血糖降下作用を有する。しかしながら、低血糖の発生頻度も高く、「米国糖尿病学会(ADA)や欧州糖尿病学会(EASD)のガイドライン」では、オイグルコン以外のSU薬を使うことを推奨している。(児島2017,p.48)

わが国での使用頻度も減少している。「最も強力で長時間作用するが、重症低血糖を起こすリスクもあり、わが国では使用頻度が減少」。(今日の治療薬2019,p.374)

グリミクロン(一般名:グリクラジド)

膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促すだけでなく、糖尿病性網膜症の進展抑制効果を有する。これには、抗血栓作用や血小板機能の抑制作用などが関係していると考えられている。

アマリール(一般名:グリメピリド)

「種々のRCTでSU類の代表薬として用いられている」。(今日の治療薬2019,p.374)

アマリールは、膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促すとともに、肝臓及び末梢組織でのインスリン感受性の改善作用も有している。

アマリールは、「強い血糖降下作用を示すにもかかわらず、そのインスリン分泌促進作用はグリベンクラミド、グリクラジドなどと比べてマイルドなものであった」。「この現象は、各種の動物実験から、肝臓および末梢組織でのインスリン感受性改善作用に基づくものであることが実証された」。(アマリール・インタビューフォーム)

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2019年5月(令和1)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)