SU薬(スルホニル尿素薬)インスリン分泌促進

2020年9月18日

SU薬(スルホニル尿素薬)は、インスリン分泌促進作用を有する

【参考資料】糖尿病診療ガイドライン2019/一般社団法人日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4

「糖尿病診療ガイドライン2019」は、スルホニル尿素(SU)薬の特徴について、次のようにまとめている。

「膵β細胞からのインスリン分泌を促進させるため血糖降下作用は強く、微小血管症抑制のエビデンスもある。インスリン分泌の保たれている患者では効果を発揮しやすいが、その反面、低血糖を起こしやすい。また、食事療法、運動療法がおろそかになると体重増加が起こりやすい」。p.71

インスリン分泌促進作用には、「ATP感受性K+チャネル」(K-ATPチャネル)が関与している

「実践薬学2017」は、SU薬によるインスリン分泌促進作用には「ATP感受性K+チャネル」(K-ATPチャネル)が関与しているとして、次のようにまとめている。

通常、食事によって糖質が供給されると、生体内では次のような反応が起こる。

「膵β細胞膜にあるグルコーストランスポーター(GLUT2)によって、血糖依存的に細胞内に輸送されたブドウ糖(グルコース)は、解糖系でピルビン酸に。そして、ミトコンドリアでアデノシン三リン酸(ATP)が産生される。このATPの細胞内濃度が上昇すると、ATP感受性K+チャネル(K-ATPチャネル)が閉鎖する」。p.356

これによって「膵細胞膜は脱分極を引き起こし、電位依存性Ca2+チャンネルを開いて細胞内にCa2+を流入させる。これが引き金となって、インスリンが細胞外へ放出される」。p.356

「SU薬は、膵β細胞上のSU受容体(SUR1)に結合し、K-ATPチャネルを血糖非依存的に閉鎖する」ことによって、インスリン分泌を促進する。(「インスリンの分泌機序とSU薬の薬理作用」p.356)

注)ATP感受性K+チャネル(K-ATPチャネル)は、SU受容体(3つのサブタイプ有り、後述)とKir6.2またはKir6.1が組み合わさることによって構成されている。
(「K-ATPチャネル(SUR1/Kir6.2)への各薬剤の推定結合部位」pp.362,372)

そのほかでは、次のような記述がみられる

SU薬は「最も古くから用いられている薬剤であり、膵β細胞膜上のSU受容体に結合し、血糖非依存性にインスリン分泌を促進させ、空腹時血糖値も食後血糖値も低下させる」。(糖尿病診療ガイドライン2019,pp.71-72)

SU薬は「インスリンの基礎分泌・追加分泌をともに高める。安価である。低血糖に十分注意する」。(今日の治療薬2020,p.381)

「SU類は膵β細胞にあるSU受容体と結合し、アデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャネルを閉鎖して、β細胞の脱分極」を来す。その結果、「電位依存性Caチャネルより細胞外Caが流入してインスリンの分泌を起こす」。(同上,p.361)

SU薬の「対象となるのは食事療法と運動療法を十分に行ってもコントロールが得られない非肥満2型糖尿病である」。つまり、「内因性インスリン分泌能が残っている症例」であり、「1型糖尿病や膵疾患に伴う糖尿病などではSU類は無効である」。(同上,p.361)

SU薬の血糖降下作用は強く、低血糖を起こしやすい

「SU薬はメトホルミンの約4~5倍、チアゾリジン薬の約4倍、低血糖を起こしやすいとされている」。(糖尿病診療ガイドライン2019,p.71)

重症低血糖においては、「病型は1型が約30%、2型が約60%を占めていた。また2型の治療薬では、インスリン使用が約60%、SU薬使用が約30%を占めていた」。(ガイドライン,p.334)

注)重症低血糖:回復に他者の援助を必要とする低血糖(意識障害を伴い経口投与が不可能な場合など)。

なお、「重症低血糖の原因薬剤(2型糖尿病患者)」としては、インスリン製剤(28.1%)よりもSU薬(65.9%)が圧倒的に多いとするデータも存在する。(実践薬学2017,p.358)

SU薬は、血糖非依存性にインスリン分泌を促進する

SU薬は、ATP感受性Kチャネルを血糖非依存的に閉鎖する。
つまり、食事の摂取とは関係なく(血糖非依存的に)インスリン分泌を促進する。
従って低血糖のリスクが高まる。

SU薬は、血糖の質を改善しない

SU薬は、血糖の変動の幅(血糖の質)を改善しない。
したがって、例えHbA1cの値が良好に保たれていたとしても、一日の幅の中では、高血糖と低血糖の両方が存在する可能性がある。
つまり、低血糖のリスクがある。(実践薬学2017,p.358)

SU薬による低血糖は遷延化しやすい

(実践薬学2017,p.358)

「SU薬による低血糖は、インスリン製剤による低血糖に比べて遷延化する」。(以下、実践薬学2017,p.358)

その原因はSU薬の代謝物にあり、グリベンクラミド、グリメピリドでは代謝物が活性を持っている。

「血糖降下薬により低血糖を起こした患者がブドウ糖で一時的に回復したとしても、薬剤の代謝が進めば再び低血糖を起こしてしまう恐れがある」。

遷延性低血糖について、「重篤副作用疾患別対応マニュアル(低血糖)2018」では、SU薬による低血糖で起こりやすい、としている。

「このような患者自身での対処により、通常5分以内に低血糖症状は消失する。糖質摂取により血糖値がいったん上昇しても30分ほどでふたたび低血糖が生じる場合もある。これを遷延性低血糖と呼び、スルホニル尿素薬による低血糖で起こりやすい」。(重篤副作用疾患別対応マニュアル(低血糖)/厚生労働省(平成30年6月改定)p.16)

SU薬の作用時間は半減期だけでは説明できない

SU薬が結合する受容体(SUR)には三つのサブタイプがある。
そして、SU薬の化学的構造(側鎖の種類)によって結合するサブタイプは異なっている。p.363

  • SUR1:膵β細胞(細胞膜)に存在する
    トルブタミド結合部位、ベンズアミド結合部位の両方を有する
  • SUR2A:心筋細胞(細胞膜、ミトコンドリア膜)に存在する
    ベンズアミド結合部位のみを有する
  • SUR2B:血管平滑筋細胞に存在する
    ベンズアミド結合部位のみを有する

SU薬の作用時間は半減期だけでは説明できない。受容体との結合様式が関係してくる。p.370

  • グリベンクラミド:半減期2.7hr、作用時間12~24hr
    スルホニルウレア基、ベンズアミド類似骨格の両方を有する
  • グリクラジド:半減期12.3hr、作用時間12~24hr
    スルホニルウレア基のみを有する
  • グリメピリド:半減期1.5hr、作用時間12~24hr
    スルホニルウレア基、ベンズアミド類似骨格の両方を有する

グリベンクラミドとグリメピリドの半減期は、それぞれ2.7hrあるいは1.5hrと短いにもかかわらず、作用時間は共に12~24hrとなっている。

その理由について、「実践薬学2017」は以下のように述べている。

「グリベンクラミドとグリメピリドはSUR1への結合力が強いため、半減期が短くても、インスリン分泌を強力かつ持続的に促進する」。そして、その結合力の強さは化学構造式にあるとしている。p.370

グリベンクラミドとグリメピリドの化学構造式をみると、両者共、スルホニルウレア基、ベンズアミド類似骨格の二つを有していることが分かる。したがって、SUR1受容体とは、トルブタミド結合部位(スルホニルウレア基の結合部位)、ベンズアミド結合部位(ベンズアミド基及び類似骨格の結合部位)の2か所でしっかりと結合することができる。

グリクラジドの半減期は、半減期12.3hrと長くなっている(作用時間12~24hrは同じ)。

グリクラジドは、ベンズアミド基及び類似骨格を有しないので、SUR1受容体のトルブタミド結合部位(スルホニルウレア基の結合部位)でのみ結合している。
「グリクラジドは、結合力は弱いものの、長い半減期によって作用時間を持続させている」。p.370

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(糖尿病治療薬

高齢者糖尿病では安全性を十分に考慮した治療が求められる。特に75歳以上やフレイル・要介護では認知機能や日常生活動作(ADL)、サポート体制を確認したうえで、認知機能やADLごとに治療目標を設定※すべきである。
※2016年に日本糖尿病学会・日本老年医学会の合同委員会により高齢者の血糖コントロール目標(HbA1c値)が制定。(糖尿病治療薬)

  • 高齢者では、生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら、低用量から使用を開始するなど、慎重に投与する。
  • 高齢者はシックデイに陥りやすく、また低血糖を起こしやすいことに注意が必要である。
  • インスリン製剤も、高血糖性昏睡を含む急性病態を除き、可能な限り使用を控える。
  • SU薬(グリメピリド[アマリール]、グリクラジド[グリミクロン]、グリベンクラミド[オイグルコン、ダオニール]など)のうち、グリベンクラミドなどの血糖降下作用の強いものの投与は避けるべきであるが、他のSU薬についてもその使用はきわめて慎重になるべきで、低血糖が疑わしい場合には減量や中止を考慮する。
    SU薬は可能な限り、DPP-4阻害薬への代替を考慮する。
  • メトホルミン[グリコラン、メトグルコ]では低血糖、乳酸アシドーシス、下痢に注意を要する。
  • チアゾリジン誘導体(ピオグリタゾン[アクトス])は心不全等心臓系のリスクが高い患者への投与を避けるだけでなく、高齢患者では骨密度低下・骨折のリスクが高いため、患者によっては使用を控えたほうがよい。
  • α-グルコシダーゼ阻害薬(ミグリトール[セイブル]、ボグリボース[ベイスン]、アカルボース[グルコバイ])は、腸閉塞などの重篤な副作用に注意する。
  • SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン[スーグラ]、ダパグリフロジン[フォシーガ]、ルセオグリフロジン[ルセフィ]、トホグリフロジン[デベルザ、アプルウェイ]、カナグリフロジン[カナグル]、エンパグリフロジン[ジャディアンス])は心血管イベントの抑制作用があるが、脱水や過度の体重減少、ケトアシドーシスなど様々な副作用を起こす危険性があることに留意すべきである。
    高度腎機能障害患者では効果が期待できない。
    また、中等度腎機能障害患者では効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断する。
    尿路・性器感染のある患者には、SGLT2阻害薬の使用は避ける。
    発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
  • インスリン製剤やSU薬以外でも複数種の薬剤の使用により重症低血糖の危険性が増加することから、HbA1cや血糖値をモニターしながら減薬の必要性を常に念頭においておくべきである。
  • SU薬やナテグリニド[ファスティック、スターシス]は主にCYP2C9により代謝されるので、CYP2C9阻害薬との併用に注意する。
  • SGLT2阻害薬は脱水リスクの観点から利尿薬との併用は避けるべきである。

別表3.代表的腎排泄型薬剤(糖尿病治療薬

  • メトホルミン塩酸塩(ビグアナイド薬、メトグルコ)
  • シタグリプチンリン酸塩水和物(DPP-4阻害薬、グラクティブ、ジャヌビア)
    アログリプチン安息香酸塩(DPP-4阻害薬、ネシーナ) 他

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(CYP2C9)

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

【基質】
ワルファリン(クマリン系薬、ワーファリン)
フェニトイン(抗てんかん薬(主にNaチャネル阻害)、アレビアチン、ヒダントール)
グリメピリド((スルホニル尿素(SU類)(第三世代)、アマリール)
グリベンクラミド(スルホニル尿素(SU類)(第二世代)、オイグルコン、ダオニール)
ナテグリニド(即効型インスリン分泌促進薬、ファスティック、スターシス)
ジクロフェナク(NSAIDs[アリール酢酸系(フェニル酢酸系)]、ボルタレン)
セレコキシブ(NSAIDs(コキシブ系)、セレコックス)
フルバスタチン(スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、ローコール)

【阻害薬】
ミコナゾール(深在性・表在性抗真菌薬(イミダゾール系)、フロリード)
フルコナゾール(深在性抗真菌薬(トリアゾール系)、ジフルカン)
アミオダロン(抗不整脈薬(クラスⅢ群)、アンカロン)
ブコローム(尿酸排泄促進薬、パラミヂン)

【誘導薬】
リファンピシン(抗結核薬、リファジン)

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。
    基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。
    一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。
    なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。
  • ベンゾジアゼピン系薬やCa拮抗薬は主にCYP3Aで代謝される薬物が多い。
    本リストでは、そのなかでもCYP3Aの寄与が高いことが良く知られている薬物を例示した。
  • 消化管吸収におけるCYP3A、P糖蛋白の寄与は不明瞭であることが多く、また両方が関与するケースもみられることに注意を要する。
    またCYP3Aの阻害薬については、P糖蛋白も阻害する場合が多い。

SU薬(スルホニル尿素薬)とリファンピシンの相互作用

薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019/PharmaTribune

「リファンピシンは、OATP1B1の阻害剤でもあり、かつ誘導剤でもある。単回投与では、誘導は見られず阻害のみが起こることで、基質薬物の血中濃度が上昇するが、反復投与では、OATP1B1の誘導により肝取り込み能力が上昇することで、基質薬物の血中濃度が低下することが報告されている。従って、反復投与時に基質薬物を同時投与する場合は、阻害・誘導両方の作用が見られることから、その影響の予測は容易でないと考えられる」。(上記薬物相互作用2019)

参考)「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」厚生労働省2018

グリメピリドは、CYP2C9の基質薬(影響を強く受けやすい)である

リファンピシンは、CYPを誘導する作用を持つ。グリメピリドは主に肝代謝酵素CYP2C9により代謝される。
リファンピシンとグリメピリドを併用すると、CYP2C9誘導による肝代謝が促進されて、血糖降下作用が減弱することがある。

グリベンクラミドは、CYP2C9の基質でもありOATP1B1の基質でもある

1)リファンピシンは、トランスポーターOATP1B1の阻害剤(単回投与時)である。
そしてグリベンクラミドは、OATP1B1の基質である。

一般的に、「OATP1B1阻害作用は、初回服用後すぐ生じる」。

「グリベンクラミドは、OATP1B1によって肝臓に取り込まれ、主にCYP2C9によって代謝される。そこにリファンピシンを併用すると、OATP1B1が阻害され、グリベンクラミドが肝臓に取り込まれなくなる」。
その結果、グリベンクラミドの血中濃度が上昇して、低血糖を起こす恐れがある。

2)リファンピシンは、肝代謝酵素CYPの誘導剤でもある。
そしてグリベンクラミドは、CYP2C9の基質でもある。(グリメピリドの場合と同様である)

一般的に、CYPの「誘導効果が発現するまでには数日~数週間を要し、投与中止後も誘導効果が持続する場合が多い」。p.86

リファンピシンとグリベンクラミドを併用(反復投与)すると、徐々にCYP2C9誘導作用が高まり、肝代謝が促進されて、血糖降下作用が減弱するようになる。

なお、「薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019」には、リファンピシンは、OATP1B1の阻害剤(単回投与時)でもあり、かつ誘導剤(反復投与時)でもある、と記載されている。

追加)クラリスロマイシンもOATP1B1の阻害薬である。
グリベンクラミドと併用するとグリベンクラミドの血中濃度が上昇する恐れがある。p.87

医薬品各種(SU薬)

オイグルコン、ダオニール(一般名:グリベンクラミド)

重症低血糖を起こすリスクが一番高い

SU薬の中で最も強力な血糖降下作用を有する。
しかしながら、低血糖の発生頻度も高く、「米国糖尿病学会(ADA)や欧州糖尿病学会(EASD)のガイドライン」では、オイグルコン以外のSU薬を使うことを推奨している。(児島2017,p.48)

わが国での使用頻度も減少している。
「最も強力で長時間作用するが、重症低血糖を起こすリスクもあり、わが国では使用頻度が減少」。(今日の治療薬2019,p.374)

心血管死が多い

「グリベンクラミド投与群は、グリクラジドやグリメピリドと比較して心血管死が多いことが報告されている」。
その原因は、「心筋の虚血プレコンディショニングを抑制するK-ATPチャネル遮断薬にある」。(以下、実践薬学2017,p.360)

心筋の虚血プレコンディショニングとは、「生体の自己防御反応で、短時間の虚血により心筋の虚血耐性を増強し、その後の長時間虚血/再灌流による障害を軽減する現象」のことを言う。
「この心筋保護機構が働いていると、梗塞を起こした際に梗塞域が小さくなる」。p.361

グリベンクラミドの分子中のベンズアミド類似骨格は、心筋細胞のミトコンドリア膜に存在するSUR2Aと結合することによって、「K-ATPチャネルを遮断し、虚血プレコンディショニングという心筋保護機構を消失させてしまうと考えられる」。p.363-364

腎機能低下時の用法・用量(グリベンクラミド)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日2.5mg、投与方法は分1の場合は朝食前又は後、分2の場合は朝夕食前又は後、最大1日10mg
  • CCr(30~60mg/dL未満)
    慎重投与(SU薬共通)
  • CCr(30mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(SU剤は腎機能が低下すると一定の臨床効果が得られないうえ、低血糖などの副作用を起こしやすいため、重篤な腎機能障害患者はインスリン治療に切り替える)SU薬共通

グリベンクラミドは、CYP2C9の基質薬(影響を中程度に受けやすい)である

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
    表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

グリベンクラミドは、OATP1B1の基質でもある

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
    表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45

グリミクロン(一般名:グリクラジド)

糖尿病性網膜症の進展抑制効果がある

膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促すだけでなく、糖尿病性網膜症の進展抑制効果を有する。
これには、抗血栓作用や血小板機能の抑制作用などが関係していると考えられている。

グリクラジドの代謝物には活性がないため、そのほかのSU薬と比べて「低血糖の遷延化のリスクは低いといえる」。(以下、実践薬学2017,p.358)

「ベンズアミド基を持たないグリクラジドは、SUR1への特異性が高く、SUR2AとSUR2Bにはほとんど結合しないため」、虚血プレコンディショニングに対する影響は少ないと考えられる。p.363

アマリール(一般名:グリメピリド)

「種々のRCTでSU類の代表薬として用いられている」。(今日の治療薬2019,p.374)

Tmax:1.33(h)、Cmax:103.5±29.1(ng/mL)、t1/2:1.47(h)
1日1回1mg服用、24時間/1.47時間=16.3⇒定常状態がない薬物
1回1mg1日2回服用、12時間/1.47時間=8.2⇒定常状態がない薬物
(どんぐり2019,p.235)

インスリン抵抗性改善効果を有する

「(グリメピリドは)インスリン分泌が弱いにもかかわらず他のSU薬と同等の血糖降下作用を示し、従来のSU薬に比べ、低血糖や体重増加が少ないとされる」。(以下、実践薬学2017,p.359)

グリメピリドの強い血糖降下作用は、「肝からの糖放出抑制作用やインスリン抵抗性改善作用」を併せ持つためと考えられている。p.359

アマリールは、「強い血糖降下作用を示すにもかかわらず、そのインスリン分泌促進作用はグリベンクラミド、グリクラジドなどと比べてマイルドなものであった」。
「この現象は、各種の動物実験から、肝臓および末梢組織でのインスリン感受性改善作用に基づくものであることが実証された」。(アマリール・インタビューフォーム)

虚血プレコンディショニングに対する影響がない

グリメピリドは、グリベンクラミドと同様にベンズアミド類似骨格を有しており、SUR2Aに対する親和性が高いと考えられる。
しかしながら、実際臨床上では、グリベンクラミドと違って虚血プレコンディショニングに対する影響は否定されている。

これに関しては、次のような仮説がある。

「グリメピリドはSUR2Aに結合するにもかかわらずプレコンディショニングに対する影響は見られないが、同じ心筋でもミトコンドリアではなくサルコレンマSUR2Aとの結合のためといわれている」。(実践薬学2017,p.363)

腎機能低下時の用法・用量(グリメピリド)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日0.5~1mgを分1~2、朝又は朝夕食又は食後より開始、維持量1日1~4mg、最大1日6mg
  • CCr(30~60mg/dL未満)
    慎重投与(SU薬共通)
  • CCr(30mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(SU剤は腎機能が低下すると一定の臨床効果が得られないうえ、低血糖などの副作用を起こしやすいため、重篤な腎機能障害患者はインスリン治療に切り替える)SU薬共通

グリメピリドは、CYP2C9の基質薬(影響を強く受けやすい)である

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
    表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)