チアゾリジン薬(インスリン感受性亢進)

2020年5月26日

チアゾリジン薬は、インスリン抵抗性を改善する

【参考資料】糖尿病診療ガイドライン2019/一般社団法人日本糖尿病学会
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4

糖尿病診療ガイドライン2019は、チアゾリジン薬の特徴について、次のようにまとめている。

「末梢組織でのインスリン感受性亢進、肝臓からのブドウ糖放出抑制作用により血糖を改善する。体液貯留作用と脂肪細胞の分化促進作用があるため、体重がしばしば増加する。ときに浮腫、心不全、骨折などをきたすことがあるため注意が必要である」。p.74

チアゾリジン薬は、核内受容体型転写因子(PPARγ)のアゴニストである

「脂肪細胞のPPARγを介してインスリン抵抗性を改善する」。(今日の治療薬2020,p.381)

「チアゾリジン薬はPPARγ(peroxisome proliferator-activated receptor γ)と呼ばれる核内受容体型転写因子のアゴニストである。脂肪細胞の分化を促して白色脂肪細胞における脂肪蓄積を促進させ、これにより、肥満に伴う骨格筋や肝臓の異所性脂肪蓄積を改善する。またPPARγの活性化は脂肪組織の質を改善して炎症性サイトカインの分泌を抑制し、アディポネクチンの分泌を促進して、インスリン抵抗性を改善させる」。(ガイドライン2019,p.74)

チアゾリジン薬の長所と短所

糖尿病診療マスター 9巻5号 (2011年11月)医学書院
特集 糖尿病の治療―見て,見つめて,見つめなおす
Ⅲ薬物療法の意義と有用性 1)経口糖尿病治療薬―薬剤の特性と治療における意義
チアゾリジン薬の意義と有用性
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1415101233?p=firstTab&englishFlg=2

チアゾリジン薬の長所:

  • 脂肪細胞をターゲットとした唯一のインスリン抵抗性改善薬である
  • 血糖降下作用が比較的強い一方で,低血糖のリスクが少ない
  • 抗動脈硬化作用があり,心血管疾患の二次予防のエビデンスがある
  • β細胞保護効果があり,長期の血糖コントロールに優れる

チアゾリジン薬の短所:

  • 体重増加の副作用がある
  • 体液貯留により浮腫をきたしやすく,心不全のリスクを高める
  • 特に女性において骨折リスクを高める
  • そのほか,発癌のリスクなど,まだ完全に解決していない問題がある

医薬品各種(チアゾリジン薬)

アクトス(一般名:ピオグリタゾン)

糖尿病自体が骨折リスクを高める。

「罹病期間が長くHbA1cが高くインスリンを必要とするような糖尿病では、骨質劣化が原因となって大腿骨近位部骨折のリスクが上昇する」。(ガイドライン,p.131)

そして、「チアゾリジン薬は、閉経後女性において骨量を減少させ骨折リスクを高める」。(ガイドライン,p.13)

「ピオグリタゾンを含むチアゾリジン薬の使用により、末梢骨を中心に骨折が閉経後女性で増加することが報告された。その一方で、男性での影響は少ないとされている。国内での検討でも、閉経後女性においてチアゾリジン薬服用者は有意に椎体骨折有病率が高いが、男性では差を認めなかった」。(ガイドライン,p.142)

「「いまどき、ピオグリタゾン?」、そんな声が聞こえてきそうです。僕が医師でも、そんなに使う機会はないように思います。でも実際には、糖尿病や循環器の医師から処方されてくるのですから、問題のある薬こそ、その処方箋を受け付けたときにどう対応すべきなのかをきちんと押さえておく必要があります」。(実践薬歴2018,p.18)

ピオグリタゾンは、CYP2C8の基質薬(影響を中程度に受けやすい)である

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

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サリドマイド事件のあらまし(概要)
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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)