経皮用薬(モーラステープ、モーラスパップなど)

モーラステープとパップの違い(ケトプロフェン貼付薬)

テープ(モーラス)、茶色

経皮吸収率が高く、1日1回の貼付でよい。
角質にも高い濃度で移行する。

粘着力が強くはがれにくい。
関節など動きの激しい部位に適している。
その反面、はがす時にかかる皮膚の負担が大きくなり、かぶれやすくなる。
(接触性皮膚炎の発生頻度が高い)

パップ(モーラス)、白色

1日2回貼付する(皮膚からの吸収率がやや弱いため)。
粘着力がやや弱いものの、かぶれにくい傾向にある。

背中や腰など、あまり動かずはがれる心配の少ない部位に適している。
皮膚が荒れやすい高齢者に適している。

モーラスパップXR

「モーラスパップXR」は、「貼付部位の皮膚刺激の低減を期待して、新たな添加剤を配合するとともに既存添加剤の配合量を調整」している。
https://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/news_release_200713-2.pdf
水分を多く含むため、皮膚表面温度の低下作用はモーラステープと比べて強い。

1日1回タイプ(eXtended Release:徐放性の意味)である。
皮膚への負担が少なく、貼り替える手間が減らせるため、高齢者の腰痛などに適している。
テープと同様に、「関節リウマチにおける関節局所の鎮痛」に適応がある。

光線過敏症に注意する

モーラスを貼付していた部分を直射日光に当てると、紫外線による皮膚炎(光線過敏症)を起こすことがある。
したがって、湿布をはがした後、できる限り直射日光を避ける必要がある。

  • はがした後、4週間は患部を遮光する。
  • 屋外での活動を避ける。
    なお、他人との使い回しによる事故が多い。

参考)医薬品・医療機器等安全性情報 No.276(2011)
「ケトプロフェン外用剤による光線過敏症に係る安全対策について」より(下記)

  • ケトプロフェン外用剤による光線過敏症は使用後数日から数ヵ月を経過して発現することもある。
  • 国内における医療用医薬品のケトプロフェン外用剤による光線過敏症の発現率は、類薬と大きな差異はなく、欧州での検討結果と比較して重篤症例の割合は少ないと考えられた。

そのほか

平成28年度の診療報酬改定で、湿布薬は処方1回につき70枚までの制限が付いた。

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本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)