脂質異常症治療薬:フィブラート系薬物(特に中性脂肪TGを下げる)

2020年1月17日

フィブラート系薬物

フィブラート系薬物は、脂質異常症の治療薬であり、核内受容体PPARαに作用して脂質代謝を改善する。

フィブラート系薬物は、「肝臓で核内受容体PPARα(eroxisome proliferator-activated recetor α)を活性化することで脂質代謝を改善し、主に中性脂肪(トリグリセライド:TG)を減らし、HDLコレステロール(HDL-C)を増やす効果を発揮」する。(児島2017,p.71)

腎機能低下患者では横紋筋融解症の頻度が高くなる

以下に注意事項を示す。

  • 自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現
  • CK(CPK)上昇
  • 血中及び尿中ミオグロビン上昇
  • 血清クレアチニン上昇など

スタチン系とフィブラート系の「原則併用禁忌」を解除へ

スタチンは、強力なLDLコレステロール低下作用を有している。それに対して、フィブラート系薬物は、中性脂肪(トリグリセライド:TG)を下げる効果が強い。

したがって、LDL-Cに加えてTGを同時に低下させたい場合、両剤の併用が考えられる。

しかしながら、従来の日本の添付文書では、腎機能に異常がある患者に対しては「原則併用禁忌」となっていた。その理由は腎機能に関する臨床検査値に異常がみられる患者では、どちらの薬物も横紋筋融解症が現れやすいとされているからである。

これに対して、2018年9月25日(平成30)、下記のような対応が取られることになった。

「薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会(五十嵐隆座長)は25日、スタチン系薬剤とフィブラート系薬剤の併用について、腎機能に異常がある患者に対する「原則禁忌」を解除する方向で一致した」。(日本医事新報,2018-09-26付け)

「臨床経験からも、海外のデータからも、併用によって横紋筋融解症は増えていない」(同日の調査会で、動脈硬化学会からの参考人として出席した上田之彦氏(枚方公済病院)ら)とする日本動脈硬化学会の要望を受けた対応となったものである。

そして例えば、リピディル錠の添付文書は、以下のように改訂された(2018年10月)。

腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に,本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場合には,治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること.急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい.やむを得ず併用する場合には,本剤を少量から投与開始するとともに,定期的に腎機能検査等を実施し,自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること.(リピディル錠添付文書より)

スタチン、フィブラート系薬物共に、ずっと使い続ける必要のある薬物である。その間には相互作用のある薬物(抗菌薬や抗真菌薬など)と併用する機会があるかもしれない。いつも変わらない薬でも、腎機能、横紋筋融解症あるいは併用薬など注意が必要である。

副作用まとめ

「フィブラート系では消化器症状が最も多く、次いで発疹や掻痒感などの皮膚症状が多い。横紋筋融解症、ミオパチー、肝障害などがみられる。腎機能低下時では蓄積された副作用が起こりやすい。ワルファリンやスルホニル尿素系血糖降下薬の作用を増強する」。(今日の治療薬2019,p.397)

フィブラート系薬各種

ベザトールSR(一般名:ベザフィブラート)

リピディル(一般名:フェノフィブラート)

相互作用が少ない(代謝酵素CYPの影響を受けないため)。

パルモディア(一般名:ペマフィブラート)

選択的PPARαモジュレーターであり、強力なTG低下作用を有する。

リピディルよりも副作用が少なく、軽度の肝機能障害では使用可(容量調節必要)。

ただし、薬物代謝酵素によって代謝・分解されたり、有機アニオントランスポーターの基質にもなるので、相互作用のある薬物が多い。

薬物代謝酵素:CYP2C8、CYP2C9、CYP3A
有機アニオントランスポーター:OATP1B1、OATP1B3

参考URL

横紋筋融解症⇒「動脈硬化のペニシリン:HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2019年5月(令和1)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)