動脈硬化のペニシリン:HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

2020年5月27日

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、脂質異常症(高脂血症)の治療薬であり、血中のLDLコレステロール濃度を強力に低下させる作用を持っている。

大規模臨床試験の結果、スタチン投与によって冠動脈疾患の発症率及び死亡率を有意に低下させることが証明されており、スタチンは、過去30年間に世界で最も多くの患者に使われた薬物となっている。

スタチンが血中LDL-Cを低下させるメカニズム

コレステロールは脂質の一種であり、真核生物の生体膜の構成成分の1つであるとともに、ステロイドホルモン、ビタミンDあるいは胆汁酸などの生合成原料として重要な化合物である。

コレステロールは、主に肝臓においてアセチルCoAからカスケード反応を経て合成される。その律速酵素が、HMG-CoA還元酵素、つまり、HMG-CoA(アセチルCoAから変換される)を次の段階であるメバロン酸に変換する酵素である。

  1. スタチンは、HMG-CoA還元酵素を阻害することによって、ステロイドの合成を抑制する。
    ⇒細胞内のコレステロール・プールが減少する。
  2. 減少したコレステロールを補うために、LDLレセプターが増加する。
    ⇒血中から細胞内へLDL-Cの取り込みが促進される。
  3. その結果、血中のLDL-Cが減少する。

ノーベル生理学・医学賞とコレステロール

  • 1964年、ブロッホ(アメリカ)・リュネン(ドイツ)
    コレステロール及び脂肪酸代謝の機構と調節に関する発見(ラット)
  • 1985年、ブラウン(アメリカ)・ゴールドスタイン(アメリカ)
    コレステロール代謝とその関与する疾患の研究(WHHLウサギ)

スタチンは、青カビから作られた第二のペニシリン(夢の新薬)とも称される。開発者の遠藤章氏(当時三共株式会社研究員)は、現在、“ノーベル賞に最も近い日本人”の1人と目されている。

m3臨床ニュース(シリーズ)【平成の医療史30年◆スタチン編】
平成の30年間に世界で一番使われた薬
遠藤章氏、開発までの道のり

過去30年間に世界で最も多くの患者に使われ、最も多くの人々の健康寿命を延ばしてきた薬といえば、スタチンをおいて他にないだろう。現代医療に多大な影響を与えたコトやモノの中心人物に取材しているm3.comの特集「平成の医療史30年」。今回は、スタチンを開発した遠藤章氏(東京農工大学特別栄誉教授、株式会社バイオファーム研究所代表取締役所長)にご登場いただく。

参考資料)遠藤章『新薬スタチンの発見 コレステロールに挑む』岩波科学ライブラリー 123(2006年)
Amazonオンディマンド版(2016年)がある。

脂質異常症とは

脂質異常症診断基準(空腹時採血)では、下記の各脂質の値を基準として診断を行う(境界域は省略した)。

  • LDLコレステロール(140mg/dL以上) ⇒ 高LDLコレステロール血症
  • HDLコレステロール(40mg/dL未満) ⇒ 低HDLコレステロール血症
  • トリグリセライド(150mg/dL以上) ⇒ 高トリグリセライド血症
  • non-HDLコレステロール(170mg/dL以上) ⇒ 高non-HDLコレステロール血症

「脂質異常症」とは、従来から言われていた「高脂血症」のことである。

脂質異常症診断基準には、高LDLコレステロール血症や高トリグリセライド血症などと共に、低HDLコレステロール血症が含まれている。つまり、脂質に異常をきたす疾患には、検査値の高くなる疾患だけでなく低くなる疾患も含まれている。

そうした疾患を一括して高脂血症とする従来の呼称には違和感があった。そこで、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」において、「高脂血症」から「脂質異常症」に変更された。

参考)日本動脈硬化学会
-脂質異常症治療のQ&A-
http://www.j-athero.org/qanda/q_and_A.html
参考)最新ガイドライン
日本動脈硬化学会(編): 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 日本動脈硬化学会, 2017
注)空腹時とは10時間以上の絶食のこと、ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可。

注)e-ヘルスネット(厚生労働省)のメタボリックシンドロームの診断基準では、“高トリグリセリド血症”。

LDLコレステロール値が最も大切(Friedewaldの式で求める)

LDLコレステロール値は、動脈硬化性疾患予防のために最も重要な指標である。

年齢が進むにつれて血管は硬くなり柔軟性がなくなっていく。こうした動脈硬化の進展に大きく関係しているのがコレステロール、特にLDLコレステロールである。 LDLコレステロールを低下させることで動脈硬化性疾患が減少することが確認されている。

LDL-コレステロール値を求める方法には、Friedewaldの式を用いる方法と直接測定法の二つがある。

LDLコレステロール値(Friedewaldの式で求める)
=総コレステロール値(TC)-HDLコレステロール値(HDL-C)-トリグリセライド値(TG:中性脂肪)×1/5

日本動脈硬化学会では、直接測定法ではなくFriedewaldの式を用いる方法が望ましいとしている。その理由あるは注意点は以下のとおりである。

  • 現在までのエビデンスが豊富である
  • 直接測定法はまだ十分に標準化されていない
    試薬メーカーごと(測定試薬ごと)のバラつきがある
  • なお、Friedewaldの式はトリグリセライド値400mg/dL未満の場合に使用できる

non HDL-コレステロールが注目されている

ガイドライン2017では、「non HDL-コレステロール」が新たな診断基準として採用された。

「non HDL-コレステロール」=総コレステロール値-HDL-コレステロール値

「non-HDL-CにはLDL-C以外の動脈硬化惹起性リポ蛋白、例えばトリグリセライド(TG) richなレムナントやLp(a)なども含まれていて、それらの高リスク病態を見つけるきっかけになるという利点があります。実際にLDL-Cよりもnon-HDL-Cのほうがイベント発症リスクとの相関が強いとの報告が増えています」。(Diabetic Complication Topics No.5 2018年2月20日発行)

総コレステロール値(TC)やHDL-コレステロール値は、〈非〉空腹時でも結果はあまり変わりない。したがって、no HDL-コレステロール値の測定は、空腹時でなくとも正確に測ることができるので便利である。
参考)Lipid Journal「採血時、食事の血清脂質への影響はどの程度ありますか?」

横紋筋融解症に注意する

「スタチンの副作用は消化器症状、横紋筋融解症、ミオパチー、肝障害などであるがその頻度は高くない」。(今日の治療薬p.396)

ミオパチー)筋疾患のこと。日本を含む多くの国では、慣習的に筋ジストロフィー以外の筋疾患のことをミオパチーと呼んでいる。

副作用疾患別対応マニュアル(横紋筋融解症)
厚生労働省(2006年11月)
https://www.pmda.go.jp/files/000143227.pdf

横紋筋融解症とは、骨格筋の細胞が融解・壊死することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じる疾患である。重篤な事態に陥った場合には生命に関わる。

したがって、頻度は高くないものの、次のような症状に気をつける。

  • 手足・肩・腰・そのほかの筋肉が痛む
  • 手足がしびれる
  • 手足に力がはいらない
  • こわばる
  • 全身がだるい
  • 尿の色が赤褐色になる

「ごく一部分の筋線維壊死は、日常的にも生じているが、広範囲に筋壊死が生じた場合には大量のミオグロビンなど筋細胞内成分が血中に流出して全身に影響が及ぶ。ミオグロビンは、尿細管内に沈着し、またミオグロビンから遊離したヘム構造体も直接作用して、腎尿細管障害を生じさせる。その結果、可逆性あるいは不可逆性の腎不全、DIC や多臓器不全などの重篤な全身症状も来しうる」。p.10

横紋筋壊死を生じる医薬品の種類は多岐にわたる。スタチンの場合が最も多く、そのほかではニューキノロン系に多い。なお、横紋筋融解症は、夏期には脱水や熱中症によりあらわれる場合がある。

「(スタチンの場合)服用開始後数ヶ月を経過して徐々に発症することが多い。筋痛が先行することが多く、また末梢神経障害の合併もしばしば認められることが知られている」。p.12

「横紋筋融解などの筋毒性は、すべてのスタチンで生じる。米国における調査ではスタチン服用者において筋肉痛は、2~7%で生じ、CK 上昇や筋力低下は 0.1%~1.0%で認められる。重篤な筋障害は 0.08%程度で生じ、100万人のスタチン服用者がいた場合には、0.15 名の横紋筋融解による死亡が出ていることになるという」。p.12

多彩な生理・薬理作用(pleiotropic effects)

遠藤章は、スタチンの多彩な生理・薬理作用について幾つかの事例を示している。(遠藤章2016,pp98-103)

  • 脳卒中の発症率を2/3に下げる
  • 骨形成(補修)を活性化する⇒骨量の増加⇒骨折の発症率を低下させる可能性
  • アルツハイマー病の予防につながる可能性
  • 抗炎症作用が有り、そのことが冠動脈疾患予防につながっている
  • 新しいタイプの免疫抑制剤としての可能性
  • 抗ガン活性がある(抗炎症作用も関係する)

 

なお、大規模臨床試験のメタ解析から、スタチンによって「糖尿病の新規発症がプラセボに比較して9%有意に上昇することが示された」。(今日の治療薬2019,p.397)

ときどき見かける、スタチンの隔日投与は有効か

レギュラー・スタチン(3種)の血中濃度半減期は、1.3~3.2時間の間に収まっている。それに対して、用法はいずれも1日1回投与となっている。この場合、反復投与しても定常状態には達しないことは確実である。

それでは、なぜスタチンが効果を発揮するかといえば、それは、LDLレセプターの活性が丸1日持続することによると考えられる。

そして、ストロング・スタチン(3種)の血中濃度半減期を確認すると、10~20時間の間に収まっており、レギュラー・スタチンの場合(1.3~3.2時間)よりも長くなっている。

レギュラー・スタチンが丸1日効果を発揮するのであれば、ストロング・スタチンでは丸2日くらいは効果が持続するかもしれない。ということであろうか、ロスバスタチン隔日投与などの処方を時々見かけることがある。

「実践薬学2017」には、「半減期が11時間もあるピタバスタチンなら、隔日服用でもきっと効いている」という文章と、「スタチンの隔日投与の有用性について、少数の報告はあるようだが、エビデンスと呼べるような研究は見当たらなかった」という文章が併記されている。p57-60

スタチンの隔日投与が有効なのかどうか私には判断できない。

薬物動態学は、主として薬物血中濃度の時間的推移に注目する学問である。以上では、それだけでは解明できない薬効として、LDLレセプターの活性持続時間について考えてみた。

スタチン系薬とシクロスポリンの併用(禁忌の場合有り)

併用禁忌の場合有り(スタチン系薬:OATP1B1の基質、シクロスポリン:OATP1B1の阻害薬)
参考)「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」厚生労働省2018

ネフローゼ症候群の治療では、ステロイドに加えてシクロスポリン(ネオーラルなど)などの免疫抑制薬を追加投与されることが多い。そして、ネフローゼ症候群の患者は高LDL血症を合併しやすく、スタチン系薬が併用されることも多い。

スタチン系薬の多くは、OATP1B1(有機アニオントランスポーターの一種)の基質である。つまり、OATP1B1によって肝臓に取り込まれる。(OATP1B1:organic anion transporter 1B1、有機アニオン輸送ポリペプチド)pp.80-84

シクロスポリン(ネオーラルなど)は、OATP1B1阻害薬である。したがって、シクロスポリンとスタチン系薬を併用すると、スタチン系薬の肝臓への取り込みが阻害されて、スタチン系薬の血中濃度が大幅に上昇するという現象が起きる。

各薬剤ごとの「シクロスポリン併用時のAUCの最大上昇幅(複数資料で確認)」は、フルバスタチンの4倍からプラバスタチンの23倍までばらついている。その結果、ピタバスタチンとロスバスタチンでは併用禁忌、そのほかの薬剤は併用注意となっている。

ただし、併用禁忌あるいは併用注意の違いについては、次のような背景を考える必要がある。

すなわち、発売年次の新しいピタバスタチンとロスバスタチンでは、治験時に併用試験を行った。しかし、それ以前に発売された薬物では、治験段階では相互作用のメカニズムすら分かっていなかった。だから、併用試験を行っていないというだけの話である。

フルバスタチン以外の薬物は、シクロスポリンとの併用禁忌として取り扱うべきであろう。そうした中で、フルバスタチンは、シクロスポリン服用患者のLDL-C値を下げるために使うスタチンとして使用可能な薬物である。

その根拠は、以下のとおりである。

ローコール(フルバスタチン)の添付文書を確認すると、確かにシクロスポリンとの併用注意となっている。そしてその理由は、「(共に横紋筋融解症の報告があるので)横紋筋融解症があらわれるおそれがある」からとなっている。

添付文書では、併用によってフルバスタチンの血中濃度が約4倍になる点には何ら触れられていない。

ここで、フルバスタチンの最高用量60mgは、最低用量10mgの6倍となっている。併用時の血中濃度が4倍に上昇したとしても、最低・最大用量の差6倍よりも小さいため、多少安全性は高いと言えるだろう。

そのほかの薬物では、併用時の血中濃度の上昇度(倍率)は、いずれも最低・最大用量の差(倍率)よりも大きくなっている。

医薬品各種(スタチン)

「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)は、肝臓でのコレステロール生合成にかかわる酵素(HMG-CoA還元酵素)を阻害することで、動脈硬化の原因となる「LDLコレステロール(LDL-C)」を減らす効果」がある。(児島2017,p.63)

スタチンは、LDLコレステロール低下力の程度によって、レギュラー・スタチン(メバロチンなど3種類)とストロング・スタチン(クレストールなど3種類)に2分される。

コレステロールは夜間に体内で合成されるため、「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」は朝より夕食後に飲んだ方が、高い効果が得られることが知られて」いる。(児島2017,p.64)

そこで、通常のスタチンの用法・用量では、夕食後投与が勧められている。

しかし、「「ストロング・スタチン」は作用が長続きするため、朝でも夕でも効き目は変わり」ない。つまり、「用法も「夕食後」にこだわる必要は」ない。(児島2017,p.65)

なお、いずれのスタチンも忍容性に大きな差はない。つまり、長期間安全に服用できる薬物ばかりである。したがって、スタチンの使い分けは、必要とするLDLコレステロール値の低下力に応じて行う。

メバロチン(一般名:プラバスタチン)

レギュラー・スタチン(半減期:2.7時間)

「通常、成人にはプラバスタチンナトリウムとして、1日10mgを1回又は2回に分け経口投与する。
メバロン酸の生合成は夜間に亢進することが報告されているので、適用にあたっては、 1日1回投与の場合、夕食後投与とすることが望ましい」。(メバロチンン添付文書)

クレストール通常用量5mgの方が、メバロチンの1日最大用量20mgより強力とされている。

リポバス(一般名:シンバスタチン)

レギュラー・スタチン(半減期3.2時間)

「通常、成人にはシンバスタチンとして5mgを1日1回経口投与する。
コレステロールの生合成は夜間に亢進することが報告されており、本剤の臨床試験においても、朝食後に比べ、夕食後投与がより効果的であることが確認されている。したがって、本剤の適用にあたっては、1日1回夕食後投与とすることが望ましい」。(リポバス添付文書)

シンバスタチンは、CYP3A4の基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:CYP2C9、CYP3A阻害薬・ミコナゾール(フロリード)
併用禁忌:CYP3A、P-gp阻害薬・イトリゾール(イトリゾール)

ローコール(一般名:フルバスタチン)

レギュラー・スタチン(半減期1.3時間)

「フルバスタチンとして、通常、成人には1日1回夕食後20mg~30mgを経口投与する」。(ローコール添付文書)

フルバスタチンは、CYP2C9の基質薬(影響を中程度に受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

リピトール(一般名:アトルバスタチン)

ストロング・スタチン(半減期10時間)

「通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する」。(朝・夕のしばり無し)

アトルバスタチンは、CYP3A4の基質薬(影響を中程度に受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

リバロ(一般名:ピタバスタチン)

ストロング・スタチン(半減期11時間)

「通常、成人にはピタバスタチンカルシウムとして1~2mgを1日1回経口投与する」。(朝・夕のしばり無し)

クレストール(一般名:ロスバスタチン)

ストロング・スタチン(半減期20時間)

「通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい」。(朝・夕のしばり無し)、(胆汁排泄及び腎排泄型)

「1日量を『クレストール』2.5mg」、『リピトール』10mg、『リバロ』2mgに設定して比較した結果、LDL-C値やトリグリセリド値を下げる効果は同じで、副作用の発生頻度も同じだった」。(児島2017,p.67)

ロスーゼット配合錠(エゼチミブ10mg/ロスバスタチン5mg)がある。

ロスバスタチンと尿毒素の蓄積

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(薬物動態学マスター術第2版、2019,pp.108-111)

「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
尿中排泄率(10%)、ESKDでのクリアランス(-67%)、ESKDの用量(1/4に減量)
参照(デュロキセチンと尿毒素の蓄積)

「ロスバスタチンは、脂質親和性が比較的低くCYPを介した代謝を受けにくい。そして、そのほとんどが未変化体のまま胆汁から排泄される」。(実践薬学2017,p.192)

つまり、ロスバスタチンは胆汁排泄型の薬物であるにもかかわらず、「重度腎障害のある患者においては、血中濃度は健康成人に比べ、約3倍に上昇することが報告されている。一方、軽症から中等症の患者では血中濃度への影響は認められていない」。(同上,p.192)

これもまたデュロキセチンやワルファリンと同じく、高度腎機能低下のある患者における尿毒素の蓄積が原因と考えられる。

尿毒素によって、肝臓の取り込みトランスポーターであるOATP1B1の働きや発現が阻害される。その結果、肝細胞に取り込まれるロスバスタチンの量が減少して、逆に血中濃度が上昇することになる。(同上,p.192)

ところで、「スタチン系薬剤は全てOATP1B1によって肝に取り込まれる」にもかかわらず、高度腎機能低下のある患者における血中濃度の上昇は、ロスバスタチンのみに見られる現象である。全くの“例外”というほかはない。(同上,pp.192-194)

クレストールは、塩野義製薬(株)の研究所で合成されたスタチンである。山本明正『塩野義製薬MR生活42年』(電子書籍/アマゾンKindle版)では、「クレストール:国内第1号のICH-E2Eガイドラインに準拠した使用成績調査(PRIME試験)の概要」について紹介している。

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1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
サリドマイド事件のあらまし(概要)
上記まとめ記事から各詳細ページにリンクを張っています。
(現在の詳細ページ数、20数ページ)

2)サリドマイド事件に関する全ページをまとめて電子出版しています。(アマゾンKindle版)
『サリドマイド事件(第4版)』
世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか

www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00V2CRN9G/
2015年3月21日(電子書籍:Amazon Kindle版)
2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)