ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)

2021年4月6日

ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)概要

副作用(抗コリン作用、眠気)が少なく、治療の基本となる

第二世代の抗ヒスタミン薬では、副作用としての眠気や、抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉や眼圧上昇など)による副反応は少なくなっている。
季節性のアレルギーやアトピー性皮膚炎のガイドラインでは、第一選択薬とされている。

第2世代抗ヒスタミン薬は、基本的な化学構造は第一世代と同じである。
例えば、セチリジン(第2世代)は、ヒドロキシジン(第1世代)とよく似た構造をしている。
セチリジンでは、カルボキシル基(-COOH)を導入することによって、血液脳関門(Blood-brain barrier:BBB)の通過性を低下させている。

カルボキシル基などの親水性官能基の導入によって、脂溶性が低下して中枢移行が悪くなる。
カルボキシル基が導入された第二世代抗ヒスタミン薬は、P-gp(p糖蛋白質)の基質となる。
そこで、脳内からくみ出されることによって、脳内移行性を弱めていると考えられる。

第2世代抗ヒスタミン薬では、ヒスタミン受容体に対する選択性が改善されている。
その結果、副反応が少なくなる。
また、血漿タンパク結合率は高くなっている。

脳内H1受容体占拠率

脳内H1受容体占拠率が20%以上になると、インペアードパフォーマンス(眠気を自覚しているかどうかにかかわらず、集中・判断力、作業効率が低下すること)が起こりやすくなる。(鎮静性薬物:20%以上、非鎮静性薬物:20%以下)

ケトチフェン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、d-クロルフェニラミンの脳内H1受容体占拠率は50%を超えており、投与に際して慎重さが求められる。(オキサトミド、販売中止)

参考)実践薬学2017,p.415「各抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率」
(Hum Psychopharmacol.2011;26:133-9.より引用)

眠気の強さ=効果の強さではない

抗ヒスタミン薬の効果を比較する場合、「効果の強さは眠気の強さに比例する」と勘違いされていることが多い。

抗ヒスタミン薬による眠気(鎮静作用)は、同薬物が血液脳関門(Blood-brain barrier:BBB)を通過して、脳内の神経細胞やグリア細胞に存在するH1受容体に結合することによって生ずる。

これに対して、アレルギー症状(くしゃみ、鼻水、かゆみ、腫れ)に関係するのは、末梢(気管支や腸管などの平滑筋、血管内皮細胞、あるいは副腎髄質細胞など)に分布しているH1受容体である。

つまり、抗ヒスタミン薬による眠気(中枢)と抗アレルギー反応(末梢)との間には、何の因果関係も無いことが分かる。

ヒスタミン受容体は,生体アミンの一種であるヒスタミンを受容する GPCR で,ヒトには機能の異なる4種類のヒスタミン受容体(H1R,H2R,H3R,H4R)が存在する.H1R は全身に分布し,主に花粉症などのアレルギー反応に関わっている.体内にアレルゲンが侵入すると肥満細胞からヒスタミンが放出される.そのヒスタミンが平滑筋や血管内皮細胞などに存在する H1R に結合すると H1R は活性化状態に平衡を偏らす.その結果,平滑筋収縮・血管拡張・血管透過性亢進などが引き起こされ,かゆみや鼻水などのアレルギー症状が発生する.一方,脳に発現しているH1R は,脳内で神経伝達物質として働いているヒスタミンを受容し,睡眠覚醒サイクルの制御や記憶に関与している.H1R のインバースアゴニストである抗ヒスタミン薬は,H1R を不活性化状態で安定化し,アレルギー症状を抑える.

島村達郎「ヒト由来ヒスタミン H1受容体の結晶構造の決定」生化学 第84巻 第9号,772-776,2012.

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お薬手帳の工夫:
熱性痙攣の既往がある患児のお薬手帳の表紙に「熱性痙攣の既往あり、抗ヒスタミン剤の投与に注意」等のシールを貼る。http://www.kmpa.or.jp/com/keiren-a-4.html

医薬品各種(ヒスタミンH1受容体拮抗薬、第二世代)

アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.353)

眠気のない抗ヒスタミン薬の代表である。(1日2回投与)
アボイド・インペアードパフォーマンスに優れる。

くしゃみ・鼻水・かゆみの原因となる「ヒスタミン」を抑えることで、アレルギー症状を抑える。
ただし、単独では鼻づまりには十分な効果が得られない。
⇒ディレグラ

食事やグレープフルーツジュースなどの影響

【 用法及び用量 】
通常、成人にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
(アレグラ錠添付文書)

添付文書によれば、投与のタイミングについて特に記載はないものの、食後投与時のAUCは、空腹時に比べて15%減少している(外国人健康成人のデータ)。
つまり、食前(空腹時)投与の方が適していると思われる。
ただし、実際の処方では、飲み忘れや精神的な負担の少ない食後が圧倒的に多い。

フェキソフェナジンの血中濃度は、グレープフルーツジュース、オレンジジュースあるいはリンゴジュースと共に摂取すると、低下することが知られている。
作用機序としては、OATP(OATP-B、OATP-Aなどの関与が考えられている)やP糖タンパクの阻害作用が考えられている。
ただし、添付文書上の記載は特に何も無い。

腎機能低下時の用法・用量

「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
尿中排泄率(11%)、ESKDでのクリアランス(-65%)、ESKDの用量(1/4から1/3に減量)
参照(デュロキセチンと尿毒素の蓄積)

ディレグラ(一般名:フェキソフェナジン/プソイドエフェドリン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「鼻閉に有効。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.354)

プソイドエフェドリン(α刺激薬)を配合することで、鼻粘膜の血管を収縮させて充血や腫れを抑え、鼻づまりの症状を改善する

プソイドエフェドリンは、交感神経に作用するため長期間の使用を避けることが望ましい。
添付文書では、「鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること」としている。
投与期間の目安は、2週間程度と考えられる。

鼻づまりがひどい場合には、一般的には、抗ヒスタミン薬と一緒に抗ロイコトリエン薬やステロイド点鼻薬を使うことが多い。

ディレグラの錠は非常に大きく飲みにくい。
しかしながら、有効成分を徐放層から少しずつ放出する製剤となっているため、かみ砕いたり割ったりしないように気を付けること(薬の溶出速度が変わり、薬の吸収に影響を与える)。

プソイドエフェドリンは、食後に服用すると吸収が低下することが知られており、ディレグラは空腹時投与となっている。

ディレグラは、ドーピング禁止薬物である。

「プソイドエフェドリン塩酸塩」は尿中濃度150μg/mLを超えた場合には、WADA(World Anti-Doping Agency)禁止表内のカテゴリー「競技会(時)に禁止される物質と方法」の禁止物質「S6興奮薬」の「特定物質」に該当します。

この検定ラインは、プソイドエフェドリン塩酸塩240mg/日を服用した場合の検出量として設定されています。

橋村孝博「第1回うっかりドーピングを防ぎましょう!」

腎機能低下時の用法・用量

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1回2錠を1日2回、朝夕の空腹時
  • CCr(60mg/dL未満、透析患者を含む)
    プソイドエフェドリンの尿中未変化体排泄率のデータに幅があるため、至適投与量が定めにくいが1回1錠を1日1~2回

アレジオン(一般名:エピナスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「LTC4・PAF拮抗作用」。(今日の治療薬,p.354)

エピナスチン(抗アレルギー薬)とよく似た構造式を持つ薬物に、ミルタザピン(NaSSA)とミアンセリン(四環系抗うつ薬)がある。(実践薬学2017,pp.414)

それぞれ、以下のような特徴を有する。

ミルタザピンとミアンセリンの構造式中には、メチル基(-CH3)が含まれている。
血液脳関門(BBB)を通過しやすくするため、脂溶性を高めていると考えられる。
それに対して、エピナスチン(抗アレルギー薬)では、BBBを通過しないように、親水性のアミノ基(-NH2)が採用されている。

アレロック(一般名:オロパタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ケミカルメディエーターなどの産生・遊離抑制作用」。(今日の治療薬,p.356)

鼻づまりが強いときに有効とされている。
眠気の程度は、ジルテックと同程度(多少眠気が強い)と考えられる。
1日2回投与。

1回5mg単回投与時:
Tmax:1.00±0.32(h)、Cmax:107.66±22.01(ng/mL)、t1/2:8.75±4.63(h)

投与間隔/消失半減期
=12/8.75≒1.37 ⇒ 定常状態のある薬物
消失半減期×5
=8.75×5=43.75時間(約2日で体内から消失する)

作用機序(アレロック添付文書)

「オロパタジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、更に化学伝達物質(ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF等)の産生・遊離抑制作用を有し、神経伝達物質タキキニン遊離抑制作用も有する」。

ヒスタミンが中枢神経に存在するH1受容体に結合することで、覚醒や興奮が保たれている。
H1受容体拮抗薬によってヒスタミンのH1受容体への結合が阻害されると、眠気倦怠感などが起こる。

中枢神経に存在するH1受容体は、痙攣の抑制系にも関わっている。
H1受容体の遮断作用が強くなると、痙攣の抑制系が抑えられなくなり、痙攣が起きてしまうこともある。
不随意運動(顔面・四肢等)、頻度不明

「GABA(γ-アミノ酪酸)などによる中枢神経の抑制系が十分に発達していない乳幼児では、ヒスタミン系が神経の抑制系として働いています。特にてんかん素因のある小児や脳内の神経細胞の未熟な乳幼児では痙攣等を誘発するため注意しましょう」。(どんぐり2019,p.64)

ただし、オロパタジンは、脳内H1受容体占拠率20%以下であり、重大な副作用(痙攣)などの添付文書上の記載は無い。

オロパタジンの用法・用量を考える

(どんぐり2019,pp.128-251)

56歳女性、体重45kg、血清クレアチニン1.0mg/dL
アレルギー性鼻炎で初めての処方、配送関係の仕事(鼻炎症状が悪化すると運転に支障あり)
オロパタジン塩酸塩錠5mg、1回1錠、1日2回朝夕食後、14日分

Cockcroft&Gaultの式より、

CCr={(140-56)/(72×(1.0+0.2))}×45×0.85
=(84/86.4)×45×0.85
=37.1875⇒37.2mL/min

腎機能低下患者(血液透析導入前)
クレアチニンクリアランスが2.3〜34.4mL/minの腎機能低下患者にオロパタジン塩酸塩10mgを朝食後単回経口投与した場合の平均血漿中濃度の推移は下記のとおりである。健康成人と比較して、腎機能低下患者のCmaxは2.3倍、AUCは約8倍であった。(測定法:RIA法)(アレロック添付文書)

添付文書の基準は上回っているが、日常的に車を運転しており、眠気の副作用もできる限り避けたいところである。
減量や、肝消失型薬物への変更などを処方提案する。

クラリチン(一般名:ロラタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「LTC4遊離抑制作用、好酸球浸潤抑制作用。自動車運転の注意記載なし」。【レディタブ錠】舌の上で瞬時に崩壊。【DS】3歳以上の小児に適応」。(今日の治療薬,p.356)

眠気のない抗ヒスタミン薬の代表である。(1日1回投与)
アボイド・インペアードパフォーマンスに優れる。

抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

デザレックス(一般名:デスロラタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ロラタジンの活性代謝物。催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.357)

代謝活性物:CYP3A4やCYP2D6による活性化を必要としないため、遺伝的体質による個人差が生じにくい。(児島2017,p.141)
食後でも空腹時でも吸収に大きな差がないため、食事の時間に縛られることがない。
グレープフルーツジュースとの相互作用はない。

ジルテック(一般名:セチリジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「好酸球遊走・活性化抑制作用」。(今日の治療薬,p.355)

多少眠気が強い。

ラセミ体(S+R)である

ラセミ体(S+R)である。⇒レボセチリジン(R体)
抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

第一世代抗ヒスタミン薬のヒドロキシジンに構造式が似ている。
カルボキシル基(-COOH)を導入することによって、BBB通過性を弱めている。
(冒頭記事参照)

腎機能低下時の用法・用量(セチリジン)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

ザイザル(一般名:レボセチリジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「セチリジンの光学異性体」。(今日の治療薬,p.355)

眠気が少なく、効果が確実な薬物である。(1日1回投与)
6か月の子どもから使用でき、セチリジンよりもやや眠気が少ない傾向にある。
また、食事の影響を受けることが無いため、食前・食後を気にすることなく服用できる。

セチリジンの光学異性体である

光学異性体(R体)⇔セチリジン(ラセミ体:S + R)

  • 抗ヒスタン作用(効力):R体>S体(約30倍)
  • 抗ヒスタミン作用(持続時間):R体>S体(約17倍)

レボセチリジンは、R体のみを抽出した薬物である。
常用量は、セチリジン1日1回10mg、レボセチリジン1日1回5㎎となる。
つまり、レボセチリジンは、セチリジンの半分量で同等の効果を発揮する。

効果の増強(実践薬学2017,p.24、児島2017,p.137)

腎機能低下時の用法・用量

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)、下記データとほぼ同等。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(80mg/dL以上)、常用量
    1日1回5mg、就寝前、最大1日10mg
  • CCr(50~80mg/dL未満)
    1日1回2.5mg
  • CCr(30~50mg/dL未満)
    1回2.5mgを2日に1回
  • CCr(15~30mg/dL未満)
    1回2.5mgを週2回(3~4日毎)
  • CCr(15mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(腎機能正常者に比しAUCが1.8~5.7倍増加する)

ザイザル・インタビューフォーム(以下)より
腎排泄型薬物と考えられる。

  • 健康成人男女 20 例にレボセチリジン塩酸塩 5mg を空腹時単回経口投与したときの投与後 48 時間までのレボセチリジン塩酸塩の累積尿中排泄率は約 73%であった。(外国人データ)
  • レボセチリジンは主に尿中に未変化体として排泄される。
  • 分配係数(log P):1.32(pH7.4、1-オクタノール/水系)

腎機能低下患者では、レボセチリジンの排泄遅延が起こり、血中濃度が上昇する。
薬理作用の副作用である眠気めまいふらつきが起きる可能性がある。

成人患者の腎機能に対応する用法・用量の目安(外国人データ)では、
CCr(50~80mg/dL未満)1日1回2.5mgとなっている。
つまり、軽度の腎機能低下患者あるいは高齢者では、ザイザル錠5mg1錠投与は過量となる。

ビラノア(一般名:ビラスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし。空腹時内服」。(今日の治療薬,p.357)

くしゃみ・鼻水が止まらない「くしゃみ・鼻漏型の鼻炎」や蕁麻疹、皮膚炎が適応となる。

食事の1時間前から食後2時間までの間、服用を控える。
就寝前の服用指示はよく見かける。
ただしこの場合、晩ご飯を食べてすぐ寝る人、就寝前に夜食を取る人などは、条件に当てはまらないことになる。(児島2017,p.143)

【空腹時投与のこと】(食後投与で吸収低下)

健康成人男性20例にクロスオーバー法で空腹時及び食後(高脂肪食)に本剤20mgを単回経口投与したとき空腹時に比べ食後投与時のCmax及びAUC0-tはそれぞれ約60%及び約40%低下した。

【グレープフルーツジュース】(吸収を阻害する)

健康成人12例に本剤20mgをグレープフルーツジュース240mLで投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-infはそれぞれ約0.6倍及び約0.7倍に低下した。この血漿中ビラスチン濃度の低下はグレープフルーツジュースによるビラスチンの消化管からの吸収阻害に起因すると推察されたが機序は不明である。

(参考:ビラノア錠添付文書)

ルパフィン(一般名:ルパタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「抗PAF作用を有する。活性代謝産物デスロラタジンへ変化する」。(今日の治療薬,p.357)

抗PAF作用⇒鼻閉の改善が期待できる。

タリオン(一般名:ベポタスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「好酸球機能抑制作用。IL-5産生抑制作用」。(今日の治療薬,p.355)

ニポラジン、ゼスラン(一般名:メキタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代)。(今日の治療薬,p.353)

ザジテン(一般名:ケトチフェン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ケミカルメディエーター遊離抑制、好酸球活性化抑制。抗ヒスタミン・抗PAF作用」。(今日の治療薬,p.352)

ケトチフェンの用法・用量を考える

(どんぐり2019,pp.174-179、服薬指導例・薬歴記載例有り)

2歳(男性)、体重12kg、アトピー性皮膚炎
ケトチフェンシロップ0.02%、1回4mL、1日2回朝食前および寝る前、28日分
3週間前、熱性けいれんを起こした。
数日前、再度熱性けいれんを起こした。

ケトチフェンは、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)にもかかわらず、脳内移行性の非常に高い薬物である。
参考)実践薬学2017,p.415「各抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率」
(Hum Psychopharmacol.2011;26:133-9.より引用)

ケトチフェンには、下記のような禁忌及び慎重投与の項目がある。(ザジテン添付文書より)

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.てんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕

【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕(【禁忌】の項参照)
6.小児等への投与
乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕

レボセチリジンシロップ(脳内移行性低い、痙攣に関する添付文書上の記載無し)などへの変更を考える。

ケトチフェンは、定常状態のある薬物である。(下記ザジテン添付文書参考)
そして、薬物が体内から消失するまでには、1.67日かかる。

以下のとおりである。

投与間隔12時間/消失半減期8時間=1.5<3.0
消失半減期8時間×5=40時間(1.67日)

したがって、ヒドロキシジンシロップからレボセチリジンシロップに変更した後も、1日半以上は今までと同様のリスクがあると考えられる。

1.血中濃度
健康成人に本剤10mL(ケトチフェンとして 2 mg)を 1 回経口投与した場合の薬物動態は、下表及び図のごとくであり、ザジテンカプセルとほぼ同じと推定された。
また、本剤を小児患者に投与した場合、健康成人に比べやや吸収が遅く、血中からの消失が速いことが示された。

T1/2(hr)=8.03±1.24(表の一部のみ転記)

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2016年11月5日(第2版発行)
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2021年08月25日(第5版発行)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2021年4月(令和3)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)