腸機能改善薬(下痢止め、整腸剤、過敏性腸症候群治療薬など)
- 1. 医薬品各種(下痢止めなど)
- 1.1. ロペミン(一般名:ロペラミド)
- 1.2. タンナルビン(一般名:タンニン酸アルブミン)
- 1.3. アドソルビン(一般名:天然ケイ酸アルミニウム)
- 1.4. ラックビー(一般名:ビフィズス菌)
- 1.5. ビオフェルミン(一般名:ビフィズス菌)ジェネリック
- 1.6. エンテロノン-R(一般名:耐性乳酸菌)
- 1.7. ビオフェルミンR(一般名:耐性乳酸菌)ジェネリック
- 1.8. ビオフェルミン(一般名:ラクトミンなど配合)先発
- 1.9. ミヤBM(一般名:酪酸菌)
- 1.10. ビオスリー(一般名:酪酸菌配合)
- 1.11. ガスコン(一般名:ジメチコン)
- 1.12. ポリフル、コロネル(一般名:ポリカルボフィル)
- 1.13. トランコロン(一般名:メペンゾラート)
- 1.14. ミルラクト(一般名:β-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム))
- 2. 関連URL及び電子書籍(アマゾンKindle版)
医薬品各種(下痢止めなど)
ロペミン(一般名:ロペラミド)
腸管運動抑制薬:
「止瀉作用。消化管輸送能抑制作用。腸管蠕動抑制作用」。(今日の治療薬2020,p.794)
抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)
「オピオイド受容体に作用。腸管の運動・分泌を抑制する」。p.794
タンナルビン(一般名:タンニン酸アルブミン)
収斂薬:
「腸管に緩和な収斂作用」。(今日の治療薬2020,p.795)
「腸粘膜面を覆い炎症・腸運動を抑制する」。p.794
「腸で「タンニン酸」を遊離して穏やかな収斂作用を発揮する「整腸剤」」。
(以下要約、児島2017,p.240)
腸の粘膜が炎症を起こして過敏になると、下痢を起こしやすくなる。
タンニン酸アルブミンは、腸管内でタンニン酸を徐々に遊離する。
遊離したタンニン酸は、腸管のタンパク質と結合して皮膜を作り、腸の粘膜を覆う。
その結果、腸粘膜の炎症が鎮められ、粘膜が受ける刺激を減らすことができる。
なお、こうした作用を収斂作用と言う。
牛乳の成分(カゼイン)が含まれているので、牛乳アレルギー(牛乳タンパク過敏症)のある人には使えない。
子どもが抗生物質で下痢を起こした場合などでよく使用される。
下痢止めとしてはやさしい薬であり、タンナルビン・アドソルビンの区別は特になく、併用されることもある。なお、両者共に、細菌性の下痢には原則禁忌である。
細菌性の下痢では、腸内の細菌や有害物質を体外に排出するために下痢症状になっている。
それを無理に止めると、細菌や細菌の作る毒素・有害物質の排出を遅らせる恐れが出てくるからである。
アドソルビン(一般名:天然ケイ酸アルミニウム)
吸着薬:
「胃・腸管内の異常有害物質、過剰の水分・粘液などを吸着、除去」。(今日の治療薬2020,p.795)
「細菌性毒素などを吸着し腸を保護する」。p.794
「胃や腸内の有害物質や過剰な水分・粘液を吸着する「吸着剤」」。(児島2017,p.239)
乳幼児の下痢に対する対症療法として、余分な水分を吸い取る吸着剤として使用する。
大人では粉末の量が非常に多くなる(1日10g)ため、使用頻度はそれほど多くはない。
子どもが抗生物質で下痢を起こした場合などでよく使用される。
下痢止めとしてはやさしい薬であり、タンナルビン・アドソルビンの区別は特になく、併用されることもある。なお、両者共に、細菌性の下痢には原則禁忌である。
細菌性の下痢では、腸内の細菌や有害物質を体外に排出するために下痢症状になっている。
それを無理に止めると、細菌や細菌の作る毒素・有害物質の排出を遅らせる恐れが出てくるからである。
ラックビー(一般名:ビフィズス菌)
活性生菌製剤:
「ビフィズス菌の生菌」。(今日の治療薬2020,p.796)
ラックビー微粒N(1%)
ラックビー錠(ビフィズス菌として10mg)
通常は、抗菌薬と併用した場合、生菌の活性が失われてしまうため、整腸剤としての効果は期待できなくなる。
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
1. 酢酸の生成
ビフィズス菌は酢酸を含む揮発酸と乳酸を産生する。産生される酢酸は総酸量の50%をしめる。(in vitro)
2. 腸内菌叢改善作用
健康成人男子にビフィズス菌(Bifidobacteriumの生菌)を投与したところ、ビフィズス菌が増殖し、ビフィズス菌により産生される酸により、腸内pHを低下させ、有害細菌が増殖し難い環境をつくる。
通常成人1日3~6gを3回に分割経口投与する。
通常成人1日3~6錠を3回に分割経口投与する。
ビオフェルミン(一般名:ビフィズス菌)ジェネリック
ラックビーに準ずる。
ビオフェルミン錠(ビフィズス菌として12mg)
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ビフィズス菌は腸内で増殖し、乳酸と酢酸を産生して腸内菌叢の正常化をはかり、整腸作用をあらわす。
通常、成人1日3〜6錠を3回に分割経口投与する。
エンテロノン-R(一般名:耐性乳酸菌)
活性生菌製剤:
「抗菌薬存在下においても増殖する、耐性乳酸菌整腸剤」(今日の治療薬2020,p.797)
耐性の乳酸菌整腸剤である。
下記抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善
ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸
通常成人1日3gを3回に分割経口投与する。
抗菌薬(上記)と一緒に服用しても、増殖・活動を続けることができる。
抗菌薬使用時によく起こる下痢や軟便・便秘などの副作用を予防・改善するために併用する。
エンテロノン-Rが耐性を持っている抗菌薬が適用菌種となる(上記)。
そこにキノロン系は含まれていない。
併用を避けるか時間差で飲むなどの工夫をする。
散(10%)
ビオフェルミンR(一般名:耐性乳酸菌)ジェネリック
エンテロノン-Rに準ずる。
ビオフェルミンR散(0.6%)
ビオフェルミンR錠(6mg)
通常成人1日3gを3回に分割経口投与する。
通常成人1日3錠を3回に分割経口投与する。
ビオフェルミン(一般名:ラクトミンなど配合)先発
活性生菌製剤:
「腸内で増殖し、乳酸等を産生して腸内菌叢を正常化」。(今日の治療薬2020,p.796)
ビオフェルミン配合酸(0.6%、1g中ラクトミン6mg、糖化菌4mgを含む)
乳酸菌整腸剤(ラクトミン製剤)
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
通常、成人1日3〜9gを3回に分割経口投与する。
ミヤBM(一般名:酪酸菌)
活性生菌製剤:
「宮入菌を含有。腸管病原菌の発育抑制、整腸作用」。(今日の治療薬2020,p.796)
ミヤBM細粒(4%)
ミヤBM錠(20mg)
酪酸菌(宮入菌)製剤
腸内菌叢の異常による諸症状の改善
通常、成人1日1.5~3gを3回に分割経口投与する。
通常、成人1日3~6錠を3回に分割経口投与する。
ビオスリー(一般名:酪酸菌配合)
活性生菌製剤:
「ラクトミン、酪酸菌、糖化菌が共生し、腸内細菌叢を正常化」。(今日の治療薬2020,p.796)
配合散(1g中、ラクトミン10mg、酪酸菌50mg、糖化菌50mg)
配合錠(1錠中、ラクトミン2mg、酪酸菌10mg、糖化菌10mg)
配合OD錠(1錠中、ラクトミン2mg、酪酸菌10mg、糖化菌10mg)
*ビオスリー配合散1gとビオスリー配合錠2錠及びビオスリー配合OD錠2錠がほぼ等しい生菌数となるように調製している。
ガスコン(一般名:ジメチコン)
消化管ガス駆除薬
ポリフル、コロネル(一般名:ポリカルボフィル)
過敏性腸症候群(IBS)治療薬:
「合成高分子化合物。中性条件下で水分を吸収し、膨潤、ゲル化。便の水分バランスをコントロール、腸管内で作用」。(今日の治療指針2023,p.806)
コロネル、細粒(83.3%)、錠(500mg)
ポリフル、細粒(83.3%)
「過敏性腸症候群における便通異状(下痢、便秘)及び消化器症状」。(同上,p.806)
ただし、対症療法。(1日3回、1回1錠~2錠)
トランコロンの代替薬とはならない。
トランコロン(一般名:メペンゾラート)
過敏性腸症候群(IBS)治療薬:
「鎮痙・唾液分泌抑制作用」。(今日の治療指針2023,p.807)
トランコロン、錠(7.5mg)
「過敏大腸症」。(1日3回、1回2錠)
アステラス販売中止(経過措置期間満了日2024年3月31日(予定))
ミルラクト(一般名:β-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム))
乳糖分解酵素薬:
「乳糖分解により消化吸収作用」。(今日の治療薬2020,p.796)
関連URL及び電子書籍(アマゾンKindle版)
1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
⇒サリドマイド事件のあらまし(概要)
上記まとめ記事から各詳細ページにリンクを張っています。
(現在の詳細ページ数、20数ページ)2)サリドマイド事件に関する全ページをまとめて電子出版しています。(アマゾンKindle版)
『サリドマイド事件(第7版)』
世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか(図表も入っています)
www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00V2CRN9G/
2015年3月21日(電子書籍:Amazon Kindle版)
2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)
2021年08月25日(第5版発行)
2022年03月10日(第6版発行)
2023年02月20日(第7版発行)、最新刷(2023/02/25)本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。
Web管理人
山本明正(やまもと あきまさ)
1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)