腎疾患用剤(カリメートなど)

2021年1月27日

医薬品各種(腎疾患用剤)

慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常とは
https://www.myclinic.ne.jp/imobile/contents/medicalinfo/top_naika/suzuken_naika_54/mdcl_info.html

カリメート(一般名:ポリスチレンスルホン酸カルシウム)

高K血症治療薬:
「Ca型なので、Na制限の患者にも使用可能」。(今日の治療薬2020,p.1030)

「薬剤中に含まれる陽イオンを腸内のカリウム(K)イオンと交換し、Kを体外に排泄させることにより、血中のK値を低下させる」。(同上,p.1026)

ホスレノール(一般名:炭酸ランタン)

高リン血症治療薬:
「食物中のリン酸と結合、難溶性のリン酸ランタンが生成され糞便とともに排泄」。(今日の治療薬2020,p.1029)

「陽イオンであるリン吸着薬が陰イオンであるリンと消化管内で結合し、その吸収を妨げる」。(同上,p.1026)

リオナ(一般名:クエン酸第二鉄)

高リン血症治療薬:
「消化管内で第二鉄(3価鉄)とリン酸が結合し難溶性の沈殿(リン酸第二鉄)を形成することでリンの消化管吸収を抑制」。(今日の治療薬2020,p.1029)

「陽イオンであるリン吸着薬が陰イオンであるリンと消化管内で結合し、その吸収を妨げる」。(同上,p.1026)

ところで、第二鉄(Fe3+)よりも、第一鉄(Fe2+)の方が消化管からの吸収に優れる。
クエン酸第一鉄は、鉄欠乏性貧血における鉄補充薬として使用されている。
⇒「女性に多い鉄欠乏性貧血(フェロミアなど)

ピートル(一般名:スクロオキシ水酸化鉄)

高リン血症治療薬:(今日の治療薬2020,p.1029)

第二鉄(Fe3+)製剤である。
⇒上記、リオナ参照。

クレメジン(一般名:炭素)

尿毒素治療薬:
「腸管内で尿毒素あるいはその前駆体を吸着し糞便中への排泄を促進させる」。(今日の治療薬2020,p.1026)
「進行性慢性腎不全における尿毒症症状の改善・透析導入の遅延」。(同上,p.1029)

レグパラ(一般名:シナカルセト)

Ca受容体作動薬:
「副甲状腺のカルシウム(Ca)感知受容体に直接作用し、過剰なPTHの分泌を抑制する」。(今日の治療薬2020,p.1026)

シナカルセトは、CYP2D6阻害薬である(強い)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

CYP2D6

【基質】
デキストロメトルファン(中枢性非麻薬性鎮咳薬、メジコン)
ノルトリプチリン(三環系抗うつ薬(TCA)、ノリトレン)
マプロチリン(四環系抗うつ薬、ルジオミール)
メトプロロール(β遮断薬(β1選択性ISA(-))、ロプレソール、セロケン)
アトモキセチン(ADHD治療薬(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ストラテラ)
トルテロジン(頻尿・過活動膀胱治療薬、デトルシトール)

【阻害薬】
パロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、パキシル)
テルビナフィン(深在性・表在性抗真菌薬(アリルアミン系)、ラミシール)
シナカルセト(腎疾患用剤(Ca受容体作動薬)、レグパラ)
ミラベグロン(頻尿・過活動膀胱治療薬、ベタニス)
デュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、サインバルタ)

【誘導薬】
なし

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。
    基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。
    一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。
    なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。

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2019年10月12日(第3版発行)
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本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)