便秘薬(マグミットとプルゼニドなど)

便秘薬の使い分け

便秘薬は、「便秘の原因や併用薬・生活スタイルに合わせて使い分けるのが一般的」である。(児島2017,p.243)

マグミット(一般名:酸化マグネシウム)

腸に水分を集めて便を柔らかくする(やさしい便秘薬)

マグミットは、便が硬くて便秘になっている患者に適する。(以下、マグミット・インタビューフォームから引用)

「(マグミットは)腸内において重炭酸塩となり、腸内の浸透圧を高めて腸内腔へ水分を引き寄せ、腸内容物を軟化させるとともに、腸管内容物が膨張し、腸管に拡張刺激を与え、排便を促し、緩下剤としての作用を発揮する」。

「(マグミットは)胃内において制酸作用を呈し、その際二酸化炭素を発生しないため刺激が少ないとされる」。

マグミットは、(プルゼニドと比べて)腹痛といった副作用が無く耐性もできにくいことから、やさしい便秘薬とされている。

薬が効き始めるまでの時間にばらつきがある

マグミットが「効きはじめるまでの時間は、早い人で1時間、遅い人で7時間程度と、大きくばらつき」がある。それには、以下のような理由が考えられる。(児島2017,p.244)

  • 効き目に個人差がある
  • 剤形が多い(200mg、250mg、330mg、500mg)

マグミットの相互作用

「本剤は吸着作用、制酸作用等を有しているので、他の薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがある」。(以下、マグミット添付文書より引用)

  • テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤、ビスホスホン酸塩系骨代謝改善剤
    これらの薬剤の吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、同時に服用させないなど注意すること。
    マグネシウムと難溶性のキレートを形成し、薬剤の吸収が阻害される。
  • セフジニル、セフポドキシム プロキセチル、ミコフェノール酸、モフェチル、デラビルジン、ザルシタビン、ペニシラミン
    これらの薬剤の吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、同時に服用させないなど注意すること。
    機序不明
  • アジスロマイシン、セレコキシブ、ロスバスタチン、ラベプラゾール、ガバペンチン
    これらの薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。
    機序不明
  • ジギタリス製剤、鉄剤、フェキソフェナジン
    これらの薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがあるので、服用間隔をあけるなど注意すること。
    マグネシウムの吸着作用又は消化管内・体液のpH上昇によると考えられる。
  • ポリカルボフィルカルシウム
    ポリカルボフィルカルシウムの作用が減弱するおそれがある。
    ポリカルボフィルカルシウムは酸性条件下でカルシウムが脱離して薬効を発揮するが、本剤の胃内pH上昇作用によりカルシウムの脱離が抑制される。
  • 高カリウム血症改善イオン交換樹脂製剤
    これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。また、併用によりアルカローシスがあらわれたとの報告がある。
    マグネシウムがこれらの薬剤の陽イオンと交換するためと考えられる。
  • 活性型ビタミンD3製剤
    高マグネシウム血症を起こすおそれがある。
    マグネシウムの消化管吸収及び腎尿細管からの再吸収が促進するためと考えられる
  • 大量の牛乳、カルシウム製剤
    milk-alkali syndrome(高カルシウム血症、高窒素血症、アルカローシス等)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
    機序:代謝性アルカローシスが持続することにより、尿細管でのカルシウム再吸収が増加する。
    危険因子:高カルシウム血症、代謝性アルカローシス、腎機能障害のある患者
  • ミソプロストール
    下痢が発現しやすくなる。
    ミソプロストールは小腸の蠕動運動を亢進させ、小腸からの水・Naの吸収を阻害し、下痢を生じさせる。本剤には緩下作用があるので、両者の併用で下痢が発現しやすくなる

高マグネシウム血症にも注意する

「本剤の投与により、高マグネシウム血症があらわれることがある。特に、便秘症の患者では、腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても、重篤な転帰をたどる例が報告されているので、以下の点に留意すること。(「4.副作用 1)重大な副作用」の項参照)
1)必要最小限の使用にとどめること。
2)長期投与又は高齢者へ投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど特に注意すること。
3)嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、直ちに受診するよう患者に指導すること」。

プルゼニド(一般名:センノシド)

腸に刺激を与えて蠕動運動を活発にさせる(大腸刺激性下剤)

プルゼニドは、腸の動きが弱っていることが原因で便秘になっている患者に適する。(以下、プルゼニド・インタビューフォームから引用)

「プルゼニド錠12㎎はセンノシドA・Bを主成分とする緩下剤であり、大腸粘膜下のアウエルバッハ神経叢を刺激して蠕動を亢進し、排便を促す」。

注)「センナは、古くから緩下剤として知られた生薬であったが、1941 年 Stoll,A らサンドファーマ社(現:ノバルティスファーマ社、スイス)によって主成分センノシド A・B が分離抽出された」。

「(プルゼニドは)腸管運動を促進することにより腹痛、悪心・嘔吐、腹鳴等が現れることがある」。

「(プルゼニドは)連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。
(解説)
常習便秘の患者では下剤を長期服用する場合が多く、用量が増加する傾向がみられる。下剤は適用量より多量に使用されると腸管が痙攣し、逆に排便不十分となりさらに増量して下痢を起こすようになる。これは、特に本剤等のアントラキノン系下剤の長期投与で多くみられるとされている」。

プルゼニド錠で一番多い副作用は腹痛である。また、長期服用による耐性が問題となることから、頓用での服用が望ましい。

プルゼニドの効きはじめは予測しやすい

プルゼニドは、「用量にかかわらず8~10時間で効きはじめる」。そこで、翌朝の排便を期待するならば、前日寝る前に服用しておく、といったように効きはじめから逆算した飲み方が可能である。(児島2017,p.245)

プルゼニドの相互作用

プルゼニドでは、特に相互作用が問題となる薬物は無い。

医薬品各種(便秘薬)

マグミット(一般名:酸化マグネシウム)

塩類下剤(腸管内容を軟化し、腸管を刺激する)。

プルゼニド(一般名:センノシド)

大腸刺激性下剤。
センナ(生薬)から分離抽出されたセンノシドA・Bを主成分とする。

アローゼン(一般名:センナ)

大腸刺激性下剤(センナ製剤)。
ヨーデルS糖衣錠、ピムロ顆粒。

ラキソベロン(一般名:ピコスルファート)

大腸刺激性下剤。

「ピコスルファートナトリウム水和物は、胃、小腸ではほとんど作用せず、大腸細菌叢由来の酵素アリルスルファターゼにより加水分解され、活性型のジフェノール体となる(ラット)。ジフェノール体は、腸管粘膜への以下の作用により瀉下作用を示す。
1. 腸管蠕動運動の亢進作用(ラット)
2. 水分吸収阻害作用(ラット)」。(ラキソベロン・インタビューフォーム)

アミティーザ(一般名:ルビプロストン)

上皮機能変容薬(クロライドチャネルアクチベーター)。

ルビプロストンは、「腸管内への腸液の分泌を増加させ便を柔軟化、排便を促進」する。(今日の治療薬,p.798)

「ルビプロストンは、小腸上皮頂端膜(腸管内腔側)に存在する ClC-2 クロライドチャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高めて排便を促進する。ルビプロストンの作用は腸管局所にて発現し、吸収された後速やかに代謝される」。(アミティーザ・インタビューフォーム)

グーフィス(一般名:エロビキシバット)

胆汁酸トランスポーター阻害薬。

エロビキシバットは、「大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させ、排便を促す」。(以下、グーフィス・インタビューフォームから引用)

エロビキシバットは、「胆汁酸の再吸収に係わるトランスポーターであるIBAT(ileal bile acid transporter)を阻害する作用を持つ低分子化合物である」。

エロビキシバットは、「回腸末端部においてIBATを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸内に流入する胆汁酸の量を増加」させる。

エロビキシバットは、「大腸に流入した胆汁酸により、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用(Dual Action)で排便効果を促す」。

新レシカルボン(一般名:炭酸水素ナトリウム/無水リン酸ナトリウム)

大腸刺激性下剤(坐剤)。
「腸内で炭酸ガスを発生し蠕動運動を亢進することにより排便を促進」する。(今日の治療薬,p.798)

テレミンソフト(一般名:ビサコジル)

大腸刺激性下剤(坐剤)。
「結腸・直腸の粘膜に選択的に作用し、蠕動運動を促進」する。(今日の治療薬,p.798)

グリセリン(一般名:グリセリン)

浣腸剤。

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Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)