そのほかの脂質異常症治療薬(ゼチーアなど)
高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)
厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月
別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(脂質異常症治療薬)
生活習慣の指導に重点を置きつつ薬物治療を考慮する必要がある。
(脂質異常症治療薬)、ただしエゼチミブには言及されていない。
- スタチン(ロスバスタチン[クレストール]、アトルバスタチン [リピトール]、ピタバスタチン[リバロ]など)投与により、65歳以上74歳以下の前期高齢者において心血管イベントの一次予防、二次予防の両者共に有意な低下を認めたため、特に高LDL血症に対してはスタチンが第一選択薬として推奨される。
- 75歳以上の後期高齢者では、スタチンによる心血管イベントの二次予防の有意な低下が認められている一方、一次予防の有効性は証明されておらず、一次予防目的の使用は推奨されない。
- スタチン以外の薬剤については十分なエビデンスがないため、慎重な投与を要する。
- スタチンの使用においては、高齢者においても筋肉痛や消化器症状、 糖尿病の新規発症が多いとされており、これらに対する注意が必要である。
- スタチンとフィブラート系薬剤(フェノフィブラート[リピディル、トライコア]、ベザフィブラート[ベザトール]、クリノフィブラート[リポクリン]、クロフィブラート)の併用は横紋筋融解症の発症リスクがあり、腎機能低下例には原則併用禁忌である。
- シンバスタチン[リポバス]、アトルバスタチンは主にCYP3A、フルバスタチン[ローコール]は主にCYP2C9で代謝されるため、これらのCYP阻害薬との併用によりスタチンの血中濃度が増加する可能性があり、その有害作用に注意を要する。
- 肝取り込みトランスポーターであるOATPを阻害するシクロスポリン[ネオーラル]はスタチンの血中濃度を増加させる。
特にロスバスタチン、ピタバスタチンはシクロスポリンとの併用は禁忌である。
医薬品各種(そのほかの脂質異常症治療薬)
ゼチーア(一般名:エゼチミブ)
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬:
小腸でのコレステロール吸収を選択的に阻害。シトステロレミアにも有効。(今日の治療薬2020,p.415)
「【薬物動態】エゼチミブは、主に小腸における初回通過効果によって主要活性代謝物であるエゼチミブ抱合体(フェノール性水酸基におけるグルクロン酸抱合体)に代謝される。エゼチミブ抱合体は胆汁中に排泄されたのち、腸内細菌叢による脱抱合をうけ、一部はエゼチミブ(非抱合体)として再吸収される(腸肝循環)」。(ゼチーア添付文書)
エゼチミブの作用点は小腸である。なお活性は、エゼチミブ(非抱合体)よりもエゼチミブ抱合体の方が強い。
エゼチミブは、腸肝循環を繰り返す過程で、「小腸壁細胞に存在するコレステロールトランスポーターNPC1L1に結合し、NPC1L1の機能(コレステロール輸送)を阻害することで効果を発揮する」。
したがって、「全身循環している血中濃度と薬効との間に直接的な関係はない」。また、エゼチミブ1日1回の投与で「腸管循環により、小腸壁への持続的な暴露が生じる」。さらに、第二相用量設定試験において、増量の有効性は否定されている。
添付文書には、以下のように「適宜減量」の記載がある。(山村2015,p.49のリストには無し)
「【用法・用量】通常、成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する」。(ゼチーア添付文書)
シンレスタール(一般名:プロブコール)
プロブコール:
「コレステロールの胆汁中への異化排泄促進作用。強力な抗酸化作用」。(今日の治療薬2020,p.415)
「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)
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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)
2021年08月25日(第5版発行)
2022年03月10日(第6版発行)
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Web管理人
山本明正(やまもと あきまさ)
1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)