抗悪性腫瘍薬
- 1. 医薬品各種(抗悪性腫瘍薬)
- 1.1. エンドキサン(一般名:シクロホスファミド)
- 1.2. ゼローダ(一般名:カペシタビン)
- 1.3. ユーエフティ(一般名:テガフール/ウラシル配合)
- 1.4. ティーエスワン(一般名:テガフール/ギメラシル/オテラシル配合)
- 1.5. フルダラ(一般名:フルダラビン)
- 1.6. ロンサーフ(一般名:トリフルリジン/チピラリシル配合)
- 1.7. ノルバデックス(一般名:タモキシフェン)
- 1.8. イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)
- 1.9. イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)
- 1.10. スプリセル(一般名:ダサチニブ)
- 1.11. タイケルブ(一般名:ラパチニブ)
- 1.12. グリベック(一般名:イマチニブ)
- 1.13. ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)
- 1.14. イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)
- 1.15. アフィニトール(一般名:エベロリムス)
- 1.16. ラパリムス(一般名:シロリムス)
- 2. 関連URL及び電子書籍(アマゾンKindle版)
医薬品各種(抗悪性腫瘍薬)
フルオロウラシル系抗がん薬(代謝拮抗薬:ピリミジン代謝拮抗薬)は、ワルファリンの作用を増強させる。(明確な作用機序は不明、PISCS,p.148)
併用注意(併用に注意すること)
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、凝固能の変動に注意すること。
(ティーエスワン配合添付文書)
ティーエスワンなどとの併用により、出血症状を呈した症例や顕著にINRが上昇した症例が多数報告されている。
活性代謝産物である5-フルオロウラシルがCYP2C9の発現量を低下させることにより、ワルファリンの代謝が抑制され血中濃度が上昇するためと考えられている。(PISCS2021,p.148)
製品としては、5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグであるフルツロン(ドキシフルリジン)やフトラフール(テガフール)、そしてゼローダ(カペシタビン)、さらにはそれらの配合剤(ユーエフティやティーエスワン)がある。
エンドキサン(一般名:シクロホスファミド)
腎機能低下時の用法・用量(シクロホスファミド)
「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
尿中排泄率(8~25%)、ESKDでのクリアランス(-30%)、ESKDの用量(1/2~3/4に減量)⇒参照(デュロキセチンと尿毒素の蓄積)
ゼローダ(一般名:カペシタビン)
代謝拮抗薬(ピリミジン代謝拮抗薬)、フルオウラシル系抗がん剤:
「5′-DFURのプロドラッグ。消化器癌・乳癌に有効」。(今日の治療薬2020,p.196)
5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグが、5′-DFUR(ドキシフルリジン)である。そのさらにプロドラッグが、ゼローダ(一般名:カペシタビン)ということになる。
フルオウラシル系抗がん剤は、CYP2C9阻害薬である(強い)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
ユーエフティ(一般名:テガフール/ウラシル配合)
代謝拮抗薬(ピリミジン代謝拮抗薬)、フルオウラシル系抗がん剤:
「テガフールと5-FU分解阻害薬のウラシルを配合」。(今日の治療薬2020,p.197)
TGF(テガフール)は、5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグである。
フルオウラシル系抗がん剤は、CYP2C9阻害薬である(強い)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
ティーエスワン(一般名:テガフール/ギメラシル/オテラシル配合)
代謝拮抗薬(ピリミジン代謝拮抗薬)、フルオウラシル系抗がん剤:
「テガフールと5-FU分解阻害薬のギメラシルと消化器毒性を軽減するオテラシル配合」。(今日の治療薬2020,p.198)
TGF(テガフール)は、5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグである。
フルオウラシル系抗がん剤は、CYP2C9阻害薬である(強い)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
フルダラ(一般名:フルダラビン)
代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬):
「細胞性免疫低下が強い」。(今日の治療薬2020,p.201)
腎機能低下時の用法・用量(フルダラビン)
「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
ロンサーフ(一般名:トリフルリジン/チピラリシル配合)
代謝拮抗薬(その他):
「経口ヌクレオシド系薬」。(今日の治療薬2020,p.206)
腎機能低下時の用法・用量(トリフルリジン/チピラリシル配合)
「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
ノルバデックス(一般名:タモキシフェン)
ホルモン療法薬(抗エストロゲン薬):
「乳腺では増殖抑制、子宮内膜や骨では増殖促進に働く選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)」。(今日の治療薬2020,p.213)
「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)
タモキシフェンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
タモキシフェンは、プロドラッグである。主にCYP2D6(及びCYP3A4)によって代謝され、活性代謝物となり薬効を発揮する。(実践薬学,pp.139-142)
タモキシフェンとパロキセチン(強力なCYP2D6阻害薬)との併用によって、活性代謝物の産生が阻害され、薬効が減弱する。
併用注意(併用に注意すること)、ノルバデックス添付文書より
- 薬剤名等:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)パロキセチン等- 臨床症状・措置方法:
本剤の作用が減弱するおそれがある。併用により乳癌による死亡リスクが増加したとの報告がある。- 機序・危険因子:
CYP2D6阻害作用により本剤の活性代謝物の血漿中濃度が低下したとの報告がある。
イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)
ホルモン療法薬(抗アンドロゲン薬):
「アンドロゲン受容体との結合などでシグナル伝達を強力に阻害」。(今日の治療薬2021,p.215)
CYP2C9誘導作用(弱い)があり、ワルファリンの抗凝固作用を減弱する作用を有する。(PISCS2021,p.155)
イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)
分子標的治療薬(小分子:EGFR阻害薬):
「第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬」。(今日の治療薬2021,p.241)
- 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、軽度である。
CR(CYP3A4)0.39W、(PISCS2021,p.46)
スプリセル(一般名:ダサチニブ)
分子標的治療薬(小分子:BCR/ABL阻害薬):
「BCR/ABL、PDGFR、SRC等を抑制するマルチキナーゼ阻害薬」。(今日の治療薬2020,p.243)
ダサチニブは、CYP3A4の基質薬である(影響を強く受けやすい)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
タイケルブ(一般名:ラパチニブ)
分子標的治療薬(小分子:HER2阻害薬):
「EGFRとHER2を抑制するチロシンキナーゼ阻害薬。トラスツズマブ既治療のHER2陽性乳癌に有効」。(今日の治療薬2020,p.242)
腎機能低下時の用法・用量(ラパチニブ)
「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)
グリベック(一般名:イマチニブ)
分子標的治療薬(小分子:BCR/ABL阻害薬):
「BCR/ABL、PDGFR、c-kitなどのチロシンキナーゼ阻害作用を有するシグナル伝達阻害薬」。(今日の治療薬2020,p.242)
イマチニブは、CYP3A阻害薬である(中程度)
- 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
- 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、極めて軽度である。
CR(CYP3A4)0.28VW、(PISCS2021,p.46)
ザーコリ(一般名:クリゾチニブ)
分子標的治療薬(小分子:ALK阻害薬):
「最初に承認されたALK阻害薬」。(今日の治療薬2020,p.250)
クリゾチニブは、CYP3A阻害薬である(中程度)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
イムブルビカ(一般名:イブルチニブ)
分子標的治療薬(小分子:BTK阻害薬):
「ブルトン型チロキシンキナーゼ(BTK)阻害薬」。(今日の治療薬2020,p.251)
「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:CYP2C19、CYP3A阻害薬・ボリコナゾール(ブイフェンド)
アフィニトール(一般名:エベロリムス)
分子標的治療薬(小分子:mTOR阻害薬):
「経口mTOR阻害薬」。(今日の治療薬2020,p.254)
エベロリムスは、CYP3A4の基質薬である(影響を強く受けやすい)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
ラパリムス(一般名:シロリムス)
分子標的治療薬(小分子:mTOR阻害薬):
シロリムスは、CYP3A4の基質薬である(影響を強く受けやすい)
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)
関連URL及び電子書籍(アマゾンKindle版)
1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
⇒サリドマイド事件のあらまし(概要)
上記まとめ記事から各詳細ページにリンクを張っています。
(現在の詳細ページ数、20数ページ)2)サリドマイド事件に関する全ページをまとめて電子出版しています。(アマゾンKindle版)
『サリドマイド事件(第7版)』
世界最大の薬害 日本の場合はどうだったのか(図表も入っています)
www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00V2CRN9G/
2015年3月21日(電子書籍:Amazon Kindle版)
2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)
2021年08月25日(第5版発行)
2022年03月10日(第6版発行)
2023年02月20日(第7版発行)、最新刷(2023/02/25)本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。
Web管理人
山本明正(やまもと あきまさ)
1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)