Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)

2020年6月27日

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Ca拮抗薬(CCB)は3つに分類される

Ca拮抗薬(CCB:calcium channel blocker)

Ca拮抗薬の作用機序

Ca拮抗薬は、Caチャネルにおいて、カルシウム(Ca)が細胞内に流入するのを阻害する。カルシウムには血管や心臓を収縮させる作用がある。Ca拮抗薬はその作用を阻害することによって、例えば末梢血管を拡張して降圧作用を示す。

なお、Ca拮抗薬ではなく、Caチャネル阻害薬(CCB)とするのがより正しい表現である。

Ca拮抗薬は、化学構造上大きくは3つに分類される。そして、それぞれ血管や心臓に対する作用が異なるため、適応疾患は異なってくる。

  • ジヒドロピリジン系(DHP、血管選択性が強い)アムロジンなど
    ACE阻害薬、ARBと並んで高血圧治療の第一選択薬である。
  • フェニルアルキルアミン系(PAA、心臓選択性が強い)ワソラン
    心臓の異常な興奮を抑えるので、頻脈性の不整脈に使われる。
  • ベンゾチアゼピン系(BTZ、両者の中間)ヘルベッサー
    頻脈傾向にある高血圧症患者が対象となる。

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)の作用機序について、もう少し詳しくまとめてみると、以下のようになる。

Ca拮抗薬は、〈Caチャネルを阻害〉して血管平滑筋を弛緩させ、末梢血管抵抗を減じることにより降圧作用を発揮する。

血管平滑筋細胞の細胞膜には、電位依存性Caチャネルが存在している。

安定状態では、細胞内のCa濃度は細胞外の約1万分の1程度である(濃度勾配が有る)。
その時の電位(静止膜電位)は、細胞内(-)、細胞外(+)の状態となっている。
そこに刺激が加わることによって、細胞内外の電位の逆転(脱分極)が起こり、Caチャネルが開口する。

その結果、細胞内にCa2+が流入して血管を収縮させる。(同様にして、心筋選択性のある薬物では、心筋を収縮させる)

グレープフルーツジュースとの相互作用

グレープフルーツジュースは、CYP3A阻害薬(強い)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、小腸上皮細胞に存在する代謝酵素CYP3A4を阻害する働きを持っている。

Ca拮抗薬は、消化管から吸収される際に代謝酵素CYP3A4によって適度に分解されている。そこにグレープフルーツが存在すると、代謝酵素CYP3A4の働きが阻害されるため、Ca拮抗薬の作用が強くなり過ぎて頭痛などの副作用を起こすことがある。

「グレープフルーツと薬物の相互作用について (Ver.090129)」は、Ca拮抗薬とグレープフルーツジュースの相互作用について次のように説明している。(「健康食品」の安全性・有効性情報/国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail825.html

「代謝を受けやすい薬物は、本来ならば小腸上皮細胞に存在する薬物代謝酵素CYP3A4によってある程度代謝を受け不活性化されるため、循環血液中に入る薬物量が少なくなります。しかし、グレープフルーツ中のフラノクマリン類がCYP3A4を阻害すると (PMID:9153299) (PMID:9723817) 、薬物が不活性化されないため、循環血液中に入る薬物量は多くなり、その結果として体内濃度の指標となるAUCやCmaxが大幅に増加し (PMID:7715295) (PMID:7768070) (PMID:11103749) (PMID:11180034) (PMID:15592332) 、結果として薬物が効きすぎてしまう状況になります」。

なお最近の研究成果では、小腸上皮細胞の薬物輸送タンパク質(P糖タンパク質:薬物を消化管上皮細胞から管腔側へ排泄)を介した相互作用の機序については、否定的である。

相互作用の程度は、Ca拮抗薬の種類によって異なる。バイオアベイラビリティが低い薬物(約30%以下)ほど影響を受ける。中にはAUCやCmaxが2倍以上上昇する薬物がある。

また、多くの柑橘類があるが、その中にフラノクマリンが含まれており、相互作用が報告されているものもあれば、そうでないものもある。少なくとも、相互作用がある柑橘類をジュースにして大量に摂取することは避けるべきである。

バイオアベイラビリティ(生物学的利用率)と血中濃度曲線下面積(AUC)Akimasa Net

副作用

Ca拮抗薬の副作用としては、動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉肥厚、便秘などがみられることがある。

非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(フェニルアルキルアミン系やベンゾチアゼピン系)では、頻脈が治療対象となるが、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬では、強力な血圧低下作用に伴う頻脈が問題となる。

医薬品各種(Ca拮抗薬)

メンブランアプローチ:
高い血管親和性を持つカルシウム拮抗薬の結合様式。末梢血管の細胞膜にいったん分布した後、ゆっくりとCaチャネルに移動して結合する。血中濃度推移では説明できない作用時間の持続性がある。

「降圧薬が血清尿酸値に及ぼす影響」(実践薬学2017,p.309)
カルシウム拮抗薬が尿酸値に及ぼす影響は、<下降ないしは不変>である。

強力なCYP3A4阻害薬を含有するヴィキラックス配合錠(抗HCV薬)との併用により、「血中濃度上昇に伴う下肢浮腫や顔面浮腫、肺水腫、低血圧、無尿などが報告されて」いる。p.134

アムロジン、ノルバスク(一般名:アムロジピン)

L型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症、狭心症

  • ユニシア配合錠LD・HD⇔カンデサルタン8mg/アムロジピン2.5mg・5mg(カムシア)
  • エックスフォージ配合錠⇔バルサルタン80mg/アムロジピン5mg(アムバロ)
  • ミカムロ配合錠AP・BP⇔テルミサルタン40mg・80mg/アムロジピン5mg(テラムロ)
  • ミカトリオ配合錠⇔テルミサルタン80mg/アムロジピン5mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg
  • アイミクス配合錠LD・HD⇔イルベサルタン100mg/アムロジピン5mg・10mg(イルアミクス)
  • ザクラス配合錠LD・HD⇔アジルサルタン20mg/アムロジピン2.5mg・5mg

アダラード(一般名:ニフェジピン)

L型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症,腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症
狭心症,異型狭心症

ニフェジピンは、CYP3A基質である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45

「ニフェジピンは脂溶性がとても高い。CYP3A4で代謝を受け、極性を高めることで、その約60%が代謝物として尿中に排泄される」。(実践薬学2017,p.165)

【吸収・排泄】(アダラートCR錠添付文書)
健康成人に20、40mgを単回経口投与したときの血中未変化体濃度の推移は図のとおりである。(図略)
尿中には未変化体は検出されず、投与後60時間までに約60%が代謝物として排泄された。

つまり、「尿中には未変化体は検出されず」とあることから、尿中未変化体排泄率(fu)=0%であり、尿中に活性物質は存在しないことを示している。この場合、尿中の代謝物(回収率60%)は、薬物の投与設計には何ら関わりは無い。

⇒「腎排泄型薬物と肝消失型薬物あるいは胆汁排泄型薬物」

アテレック(一般名:シルニジピン)

L型/N型Ca2+チャネル阻害作用(N型の阻害作用はL型の10分の1程度)
高血圧症

  • アテディオ配合錠⇔バルサルタン80mg/シルニジピン10mg

カルブロック(一般名:アゼルニジピン)

L型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症

メンブランアプローチ:
アゼルニジピンは脂溶性が高く血管組織親和性が高い。平滑筋細胞膜を介してCaチャネルに作用するルートが存在する。分配係数:logP=4.43(pH9の場合)。

アゼルニジピンは、CYP3Aの基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:CYP2C9、CYP3A阻害薬・ミコナゾール(フロリード)
併用禁忌:CYP3A、P-gp阻害薬・イトリゾール(イトリゾール)

  • レザルタス配合錠LD・HD⇔オルメサルタン10mg/アゼルニジピン8mg・16mg

コニール(一般名:ベニジピン)

T型/N型/L型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症、腎実質性高血圧症
狭心症

メンブラン・アプローチ:
Tmaxは約2時間、T1/2は約2時間と短い。しかし、降圧効果は一日持続する。その理由は、ベニジピンが一度細胞膜内にプールされてからDHP結合部位に結合するためである。つまり、血中濃度に依存しない持続的な降圧効果を示す。ベニジピンの脂溶性は高い(分配係数:logP′OCT=3.79)。

ニバジール(一般名:ニルバジピン)

L型Ca2+チャネル阻害作用
本態性高血圧症

バイミカード(一般名:ニソルジピン)

L型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症,腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症
狭心症,異型狭心症

2019/12中止

ニソルジピンは、CYP3Aの基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:CYP2C9、CYP3A阻害薬・ミコナゾール(フロリード)
併用禁忌:CYP3A、P-gp阻害薬・イトリゾール(イトリゾール)

ランデル(一般名:エホニジピン)

T型/N型Ca2+チャネル阻害作用
高血圧症,腎実質性高血圧症
狭心症

スプレンジール(一般名:フェロジピン)

フェロジピンは、CYP3A4の基質薬(影響を強く受けやすい)である

「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)
表:CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)p.45
「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」(2018年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ユニシア配合錠(カンデサルタン/アムロジピン)、カムシア

エックスフォージ(バルサルタン/アムロジピン)、アムバロ

ミカムロ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン)、テラムロ

ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド)

アイミクス配合錠(イルベサルタン/アムロジピン)、イルアミクス

ザクラス配合錠(アジルサルタン/アムロジピン)

アテディオ配合錠(バルサルタン/シルニジピン)

レザルタス配合錠(オルメサルタン/アゼルニジピン)

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2019年10月12日(第3版発行)
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本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)