Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)

2021年6月13日

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Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)概略

Ca拮抗薬(CCB:calcium channel blocker)
Ca拮抗薬ではなく、Caチャネル阻害薬(CCB)とするのがより正しい表現である。

ジヒドロピリジン系薬(DHP)は、血管平滑筋を弛緩することにより血管を拡張する。
血管選択性は高いが、そのほか消化管の平滑筋なども弛緩させる。
また、心筋収縮抑制作用も有し、それぞれ副作用を生じる。

Ca拮抗薬の副作用としては、動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉肥厚、便秘などがみられることがある。

非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(フェニルアルキルアミン系やベンゾチアゼピン系)では、頻脈が治療対象となるが、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬では、強力な血圧低下作用に伴う頻脈が問題となる。

メンブランアプローチ:
高い血管親和性を持つカルシウム拮抗薬の結合様式。
末梢血管の細胞膜にいったん分布した後、ゆっくりとCaチャネルに移動して結合する。
血中濃度推移では説明できない作用時間の持続性がある。

Ca拮抗薬は主にCYP3Aで代謝される薬物が多い。
したがって、グレープフルーツジュース(強いCYP3A阻害薬)の影響を受ける。

Ca拮抗薬(DHP系)は、CaチャネルのL型・N型・T型のどこに作用するかによって、浮腫のリスクや腎保護効果、狭心症予防効果に差がある。(児島2017,p.26こぼれ話)

Ca拮抗薬(CCB)は3つに分類される

Ca拮抗薬の作用機序

Ca拮抗薬は、Caチャネルにおいて、カルシウム(Ca)が細胞内に流入するのを阻害する。
カルシウムには血管や心臓を収縮させる作用がある。
Ca拮抗薬はその作用を阻害することによって、例えば末梢血管を拡張して降圧作用を示す。

Ca拮抗薬は、化学構造上大きくは3つに分類される。
そして、それぞれ血管や心臓に対する作用が異なるため、適応疾患は異なってくる。

  • ジヒドロピリジン系(DHP、血管選択性が強い)アムロジンなど
    ACE阻害薬、ARBと並んで高血圧治療の第一選択薬である。
  • フェニルアルキルアミン系(PAA、心臓選択性が強い)ワソラン
    心臓の異常な興奮を抑えるので、頻脈性の不整脈に使われる。
  • ベンゾチアゼピン系(BTZ、両者の中間)ヘルベッサー
    頻脈傾向にある高血圧症患者が対象となる。

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)の作用機序について、もう少し詳しくまとめてみると、以下のようになる。

Ca拮抗薬は、〈Caチャネルを阻害〉して血管平滑筋を弛緩させ、末梢血管抵抗を減じることにより降圧作用を発揮する。

血管平滑筋細胞の細胞膜には、電位依存性Caチャネルが存在している。

安定状態では、細胞内のCa濃度は細胞外の約1万分の1程度である(濃度勾配が有る)。
その時の電位(静止膜電位)は、細胞内(-)、細胞外(+)の状態となっている。
そこに刺激が加わることによって、細胞内外の電位の逆転(脱分極)が起こり、Caチャネルが開口する。

その結果、細胞内にCa2+が流入して血管を収縮させる。
(同様にして、心筋選択性のある薬物では、心筋を収縮させる)

グレープフルーツジュースとCa拮抗薬の相互作用は有名である

⇒「グレープフルーツジュースとCa拮抗薬など(CYP3A阻害)

アムロジピン:CR(CYP3A4)データ無し、(PISCS2021,p.46)
ニフェジピン:CR(CYP3A4)0.78SS、(PISCS2021,p.46)
アゼルニジピン:CR(CYP3A4)データ無し、(PISCS2021,p.46)
ニソルジピン:CR(CYP3A4)0.96VS、(PISCS2021,p.46)
フェロジピン:CR(CYP3A4)0.89S、(PISCS2021,p.46)

Ca拮抗薬は、いずれもCYP3A基質薬である。
そしてその強さは、ジヒドロピリジン(DHP)系Ca拮抗薬と非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬(フェニルアルキルアミン系:PAA、ベンゾチアゼピン系:BTZ)で異なる。

ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の中には、グレープフルーツジュースと併用した場合、AUCやCmaxが大幅に上昇する薬物がある。

ニソルジピンフェロジピンアゼルニジピンでその傾向が最も強く、中にはAUCあるいはCmaxを5倍程度まで上昇させるものもある。
これらはいずれも、バイオアベイラビリティ(BA)の低い薬物である。
(BA:ニソルジピン3.9%、フェロジピン16%、アゼルニジピン不明)

そうした中で、アムロジピンにはほとんどその傾向が見られない。
ちなみに、アムロジピンのBA64%である。

「グレープフルーツジュースによるアムロジピンの血中濃度の上昇は軽度(Cmax 115%、AUC 116%に上昇)で血圧と心拍数に影響はなかったとの報告、及び薬物動態と血圧に影響はなかったとの報告がある。(外国人データ) 」。(アムロジン錠インタビューフォーム)

なお、2010年8月になって、アムロジピンとGFJの併用注意(併用に注意すること)が追記されている。
その理由は、「「症例の蓄積」と「外国の添付文書情報等との整合性を図るため」」とされている。
ただし、実臨床において副作用が発生したわけではない。

参考)薬歴公開 byひのくにノ薬局薬剤師。2013年2月22日 (金)
アムロジピンとGFJをどのように指導しますか?
http://kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/index.html

次に、ベラパミル(フェニルアルキルアミン系:PAA、BA22%)では、多少AUC、Tmaxの上昇がみられる。

「本剤の血中濃度を上昇させることがある。異常が認められた場合には,本剤を減量するなど適切な処置を行うこと。また、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう注意すること」。(ワソラン添付文書)

最後に、ジルチアゼム(ベンゾチアゼピン系:BTZ、BA39%)では、AUC、Tmaxはアムロジピンよりも上昇せず、添付文書の注意書きも無い。

医薬品各種(Ca拮抗薬)

「降圧薬が血清尿酸値に及ぼす影響」(実践薬学2017,p.309)
カルシウム拮抗薬が尿酸値に及ぼす影響は、<下降ないしは不変>である。

強力なCYP3A4阻害薬を含有するヴィキラックス配合錠(抗HCV薬)との併用により、「血中濃度上昇に伴う下肢浮腫や顔面浮腫、肺水腫、低血圧、無尿などが報告されて」いる。p.134

アムロジン、ノルバスク(一般名:アムロジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「最も長時間作用型。血管選択性あり。副作用少ない。臨床試験、実地臨床で多く使用。心不全合併例にも使用可」。(今日の治療薬2020,p.621)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症、狭心症

アムロジピンの主な副作用は、「ほてり(熱感、顔面潮紅等)(0.8%)、眩暈・ふらつき(0.7%)、頭痛・頭重(0.6%)、動悸(0.3%)等であった(承認時までの試験及び市販後調査(再審査終了時))」。(アムロジン添付文書)」

「第 III 相試験から継続して長期投与試験(10mg)の対象となった134例では、投与開始後52週までに33例(24.6%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は浮腫(10.4%)、眩暈・ふらつき(3.0%)等であった」

そのほか、歯肉肥厚、便秘などの副作用もある。

(どんぐり2019,pp.11-18)

血管平滑筋を弛緩する

アムロジピンは、血管平滑筋を弛緩することにより血管を拡張する。
その結果、血圧下降作用を示す。

薬理作用からくる副作用として、「ほてり、動悸、血圧低下」が発現する。
血圧低下によって、「眩暈、ふらつき、頭痛など」が起きる。

末梢動脈は末梢静脈よりも平滑筋が厚くなっている。
そこで、末梢動脈の方が静脈よりも拡張されやすく、血液の流れが悪化して「浮腫」が起こる。

カルシウム拮抗薬は、Caイオンの細胞内への流入を抑制する。
その結果、「歯肉肥厚」が発現しやすい(⇒特にニフェジピン)。
その発現機序は、十分には解明されていない。

平滑筋は、血管以外に消化管、気管支、膀胱、子宮などにも存在する。
例えば、消化管の平滑筋が弛緩されると蠕動運動が抑制される。
その結果、消化器症状としては、「悪心・嘔吐、便秘、心窩部痛」が出現する。

酸化マグネシウム(緩下薬)がアムロジピンと併用されている場合、便秘はアムロジピンの副作用である可能性も考える。

併用薬の副作用(便秘)を疑う:
⇒「便秘薬(マグミットとプルゼニドなど)

アムロジピンの心抑制作用は弱く、血管選択性を示すことが認められている。
ただし、少なからず心筋の収縮を抑制し、洞房結節の興奮頻度の減少や房室結節の伝導抑制が起こる。
重大な副作用⇒房室ブロック
初期症状として、「徐脈、めまい、失神」などに注意する。

薬物過敏性肝障害あるいは肝毒性

劇症肝炎、肝機能障害、黄疸や無顆粒球症、白血球減少、血小板減少による副作用(重大な副作用)は、過敏症によるものと考えられる。

したがって、発現時期は「投与開始後数日~4週間」となる。
これに対して、肝毒性による副作用の発現時期は、「投与開始後数か月」ということになる。

初期症状:

  • 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(重大な副作用)
    全身倦怠感、食欲不振、発熱、発疹
  • 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(重大な副作用)
    発熱、咽頭痛など、点状出血(手足に赤い点)、紫斑(あおあざ)、鼻出血など

検査値は、「急激なAST、ALTの上昇」をみる。

なお、「重篤副作用疾患別マニュアル」(厚生労働省)の各編(薬物性肝障害、無顆粒球症)では、個別薬物としては、ニフェジピンが挙げられている。

横紋筋融解症(機序不明)

「重篤副作用疾患別マニュアル(横紋筋融解症)」(厚生労働省)では、個別には取り上げられていない。

初期症状としては、「筋力低下、疲労感、筋痛など」が発現する。

服薬指導(アムロジピン)

(どんぐり2019,p.18、適宜改行)

初めて飲む薬で気をつけたい副作用として、薬が体に合わないことにより起こる症状があります。
どの薬でも誰にでも起こる可能性はありますが、とても頻度の低い副作用です。
万が一、薬を飲み始めてから高熱が出たり、体がだるくなったり、発疹・発赤などいつもと違う症状があった場合は、薬を中止してすぐにご連絡ください。

また、薬が効いてくることで現れる副作用があります。
アムロジピンは、血管の平滑筋を拡張して血圧を下げる薬です。
血圧が下がりすぎることでめまいやふらつきが出たり、血管を拡張することで頭が痛くなることがあるかもしれません。
また消化管にある平滑筋を弛緩することで、便秘や胃腸障害が現れることがあります。
しかし、これらの症状は薬を継続して飲んでいくうちに体が慣れてきて気にならなくなることもあります。
生活に支障をきたさない程度の症状でしたら、薬を飲み続けてください。
お薬を飲んで不安なことや、心配なことがあればいつでもご連絡ください。
アムロジピンは、飲み始めてから少しずつ体の中で効き始めます。

1週間くらい(7日くらい)でしっかりと効くようになります。
薬が効いて血圧が下がると、めまいやふらつきなどの副作用が起こることがあります。
(どんぐり2019,p.60)

アムロジピンの用法・用量を考える

アムロジン錠5mg(単回経口投与)
Tmax(hr)= 5.5±1.4
Cmax(ng/mL)= 2.81±0.40
T½(hr)=35.4±7.4

アムロジピンは、定常状態のある薬物である。
1日1回24時間ごと投与/消失半減期35.4時間
=0.68<3.0

計算上は、消失半減期35.4時間×5=177 ⇒ 約7日で定常状態に達する。

「健常成人にアムロジピンとして2.5mgを反復経口投与(1日1回14日間)した場合の血清中アムロジピン濃度は、投与6~8日後に定常状態(初回投与時の約3倍)に達し、以後の蓄積は認められなかった」。(アムロジン添付文書)

アムロジピン合剤

  • ユニシア配合錠LD・HD⇔カンデサルタン8mg/アムロジピン2.5mg・5mg(カムシア)
  • エックスフォージ配合錠⇔バルサルタン80mg/アムロジピン5mg(アムバロ)
  • ミカムロ配合錠AP・BP⇔テルミサルタン40mg・80mg/アムロジピン5mg(テラムロ)
  • ミカトリオ配合錠⇔テルミサルタン80mg/アムロジピン5mg/ヒドロクロロチアジド12.5mg
  • アイミクス配合錠LD・HD⇔イルベサルタン100mg/アムロジピン5mg・10mg(イルアミクス)
  • ザクラス配合錠LD・HD⇔アジルサルタン20mg/アムロジピン2.5mg・5mg

アダラード(一般名:ニフェジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「短時間作用型。降圧・抗狭心作用強いが副作用あり。降圧薬としては適さない」。(今日の治療薬2020,p.623)
「効果は強いが短時間作用のため副作用や服薬不良があるならば、CR錠がよい。シクロスポリンの併用で歯肉肥厚が発現しやすい。妊娠20週以降に使用可」(アダラートL錠、CR錠)。(同上)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症,腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症
狭心症,異型狭心症

ニフェジピンは、特に歯肉肥厚の頻度が高い

(どんぐり2019,p.237)

カルシウム拮抗薬の歯肉肥厚の機序は、完全には解明されていない。
しかし、次のように「薬理作用による副作用」と推測される。

つまり、カルシウムの細胞内への流入抑制により、歯肉のコラーゲンの分解が抑制され、過剰な蓄積が起こるためと考えられている。

さて、薬理作用による副作用は、一般的に薬物が血中から消失することによって回復することが多い。
その目安は、消失半減期(時間)の5倍である。

アダラートCRの消失半減期(T1/2)は、11.7±2.0(h)である。(アダラートCR・インタビューフォーム)
したがって、薬物が血中からほぼ消失するまで、約12×5=60時間⇒2.5日かかることになる。

ただし、歯肉の増殖は2.5日ではなかなか回復はしない。
通常は、1か月程度の経過でよくなることが多い。

ニフェジピンは、CYP3A基質である

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
    注)「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)(実践薬学2017,pp.146-147)⇒記載無し?
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、やや高度である。
    CR(CYP3A4)0.78SS、(PISCS2021,p.46)

「ニフェジピンは脂溶性がとても高い。CYP3A4で代謝を受け、極性を高めることで、その約60%が代謝物として尿中に排泄される」。(実践薬学2017,p.165)

【吸収・排泄】(アダラートCR錠添付文書)
「健康成人に20、40mgを単回経口投与したときの血中未変化体濃度の推移は図のとおりである。(図略)
尿中には未変化体は検出されず、投与後60時間までに約60%が代謝物として排泄された」。

つまり、「尿中には未変化体は検出されず」とあることから、尿中未変化体排泄率(fu)=0%であり、尿中に活性物質は存在しないことを示している。
この場合、尿中の代謝物(回収率60%)は、薬物の投与設計には何ら関わりは無い。

⇒「腎排泄型薬物と肝消失型薬物あるいは胆汁排泄型薬物

アテレック(一般名:シルニジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「L及びN型Caチャネルを抑制。頻脈を起こしにくい。抗蛋白尿作用」。(今日の治療薬2020,p.621)

L型/N型Ca2+チャネル阻害作用(N型の阻害作用はL型の10分の1程度)

【効能・効果】
高血圧症

  • アテディオ配合錠⇔バルサルタン80mg/シルニジピン10mg

カルブロック(一般名:アゼルニジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「緩徐で持続的。頻脈を起こしにくい。抗蛋白尿作用。CAPD施行中患者の透析排液の白濁」。(今日の治療薬2020,p.625)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症

メンブランアプローチ:
アゼルニジピンは脂溶性が高く血管組織親和性が高い。
平滑筋細胞膜を介してCaチャネルに作用するルートが存在する。
分配係数:logP=4.43(pH9の場合)。

アゼルニジピンは、CYP3Aの基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)
  • CR(CYP3A4)データ無し、(PISCS2021,p.46)

「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
併用禁忌:ミコナゾール(フロリード)・CYP2C9、CYP3A阻害薬
併用禁忌:イトリゾール(イトリゾール)・CYP3A、P-gp阻害薬

  • レザルタス配合錠LD・HD⇔オルメサルタン10mg/アゼルニジピン8mg・16mg

コニール(一般名:ベニジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「半減期1~1.7時間であるが、T/P比60~80%と一致せず。蛋白尿改善作用」。(今日の治療薬2020,p.624)

T型/N型/L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症、腎実質性高血圧症
狭心症

メンブラン・アプローチ:
Tmaxは約2時間、T1/2は約2時間と短い。
しかし、降圧効果は一日持続する。
その理由は、ベニジピンが一度細胞膜内にプールされてからDHP結合部位に結合するためである。
つまり、血中濃度に依存しない持続的な降圧効果を示す。
ベニジピンの脂溶性は高い(分配係数:logP′oct=3.79)。

ニバジール(一般名:ニルバジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「冠・脳血管拡張作用が強い」。(今日の治療薬2020,p.624)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
本態性高血圧症

バイミカード(一般名:ニソルジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「中程度の持続性、降圧作用強い。副作用中程度」。(今日の治療薬2020,p.622)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症,腎実質性高血圧症,腎血管性高血圧症
狭心症,異型狭心症

2019/12中止

ニソルジピンは、CYP3Aの基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、極めて高度である。
    CR(CYP3A4)0.96VS、(PISCS2021,p.46)
  • 「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
    併用禁忌:ミコナゾール(フロリード)・CYP2C9、CYP3A阻害薬
    併用禁忌:イトリゾール(イトリゾール)・CYP3A、P-gp阻害薬

ランデル(一般名:エホニジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「L型及びT型Caチャネルを抑制。頻脈を起こしにくい。蛋白尿改善作用。CAPD施行中の患者の透析排液白濁」。(今日の治療薬2020,p.621)

L型/T型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症,腎実質性高血圧症
狭心症

スプレンジール(一般名:フェロジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「高い血管選択性。比較的短時間作用型」。(今日の治療薬2020,p.624)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
高血圧症

フェロジピンは、CYP3A4の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、高度である。
    CR(CYP3A4)0.89S、(PISCS2021,p.46)

ペルジピン(一般名:ニカルジピン)

Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系):
「脳血管に対する特異性が高い。短時間作用型は降圧薬としては適さない」。(今日の治療薬2020,p.622)

L型Ca2+チャネル阻害作用

【効能・効果】
本態性高血圧症

ニカルジピンは、非線形型薬物である

添付文書でしか確認できない「血中濃度急上昇タイプの非線形型薬物」。(どんぐり2019,p.233)
投与量とCmaxが比例関係になく、投与量が増えるとCmaxが大幅に上昇している。

注射:劇薬

ユニシア配合錠(カンデサルタン/アムロジピン)、カムシア

エックスフォージ(バルサルタン/アムロジピン)、アムバロ

ミカムロ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン)、テラムロ

ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン/ヒドロクロロチアジド)

アイミクス配合錠(イルベサルタン/アムロジピン)、イルアミクス

ザクラス配合錠(アジルサルタン/アムロジピン)

アテディオ配合錠(バルサルタン/シルニジピン)

レザルタス配合錠(オルメサルタン/アゼルニジピン)

カデュエット配合錠(アムロジピン/アトルバスタチン)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(高血圧治療薬)

高齢者においても降圧目標の達成が第一目標である。降圧薬の併用療法において薬剤数の上限は無いが、服薬アドヒアランス等を考慮して薬剤数はなるべく少なくすることが推奨される。
(高血圧治療薬)

  • Ca拮抗薬(アムロジピン[ノルバスク、アムロジン]、ニフェジピン [アダラートCR]、ベニジピン[コニール]、シルニジピン[アテレック]など)、ARB(オルメサルタン[オルメテック]、テルミサルタン [ミカルディス]、アジルサルタン[アジルバ]など)、ACE阻害薬(イミダプリル[タナトリル]、エナラプリル[レニベース]、ペリンドプリル[コバシル]など)、少量のサイアザイド系利尿薬(トリクロルメチアジド[フルイトラン]など)が、心血管疾患予防の観点から若年者と同様に第一選択薬であるが、高齢患者では合併症により降圧薬の選択を考慮することも重要である。
  • α遮断薬(ウラピジル[エブランチル]、ドキサゾシン[カルデナリン]など)は、起立性低血圧、転倒のリスクがあり、高齢者では可能な限り使用を控える。
  • β遮断薬(メトプロロール[セロケン]など)の使用は、心不全、頻脈、労作性狭心症、心筋梗塞後の高齢高血圧患者に対して考慮する。
  • Ca拮抗薬の多くは主にCYP3Aで代謝されるため、CYP3Aを阻害する薬剤との併用に十分に注意する。
  • ACE阻害薬は、誤嚥性肺炎を繰り返す高齢者には誤嚥予防も含めて有用と考えられる。
  • サイアザイド系利尿薬の使用は、骨折リスクの高い高齢者で他に優先すべき降圧薬がない場合に特に考慮する。
  • 過降圧を予防可能な血圧値の設定は一律にはできないが、低用量(1/2量)からの投与を開始する他、降圧による臓器虚血症状が出現した場合や薬物有害事象が出現した場合に降圧薬の減量や中止、変更を考慮しなければならない。
  • レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ARB、ACE阻害薬など)、利尿薬(フロセミド[ラシックス]、アゾセミド[ダイアート]、スピロノラクトン[アルダクトン]、 トリクロルメチアジド[フルイトラン]など)とNSAIDsの併用により腎機能低下や低ナトリウム血症のリスクが高まるため、これらの併用はなるべく避けるべきである。(消炎鎮痛薬の項より引用)

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

CYP3A

【基質】
トリアゾラム(ベンゾジアゼピン系睡眠薬(超短時間型)、ハルシオン)
アルプラゾラム(ベンゾジアゼピン系抗不安薬、ソラナックス、コンスタン)
ブロチゾラム(ベンゾジアゼピン系睡眠薬(短時間型)、レンドルミン)
スボレキサント(オレキシン受容体拮抗薬、ベルソムラ)
シンバスタチン(スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、リポバス)
アトルバスタチン(スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、リピトール)
フェロジピン(Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)、スプレンジール)
アゼルニジピン(Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)、カルブロック)
ニフェジピン(Ca拮抗薬(ジヒドロピリジン系)、アダラート)
リバーロキサバン(DOAC(経口直接Xa阻害薬)、イグザレルト)
チカグレロル(抗血小板薬(P2Y12阻害薬、ブリリンタ)
エプレレノン(カリウム保持性利尿薬、セララ)

【阻害薬】
イトラコナゾール(深在性・表在性抗真菌薬(トリアゾール系)、イトリゾール)
ボリコナゾール(深在性抗真菌薬(トリアゾール系)、ブイフェンド)
ミコナゾール(深在性・表在性抗真菌薬(イミダゾール系)、フロリード)
フルコナゾール(深在性抗真菌薬(トリアゾール系)、ジフルカン)
クラリスロマイシン(マクロライド系薬(14員環)、クラリス、クラリシッド)
エリスロマイシン(マクロライド系薬(14員環)、エリスロマイシン)
ジルチアゼム(Ca拮抗薬(ベンゾジアゼピン系)、ヘルベッサー)
ベラパミル(Ca拮抗薬(クラスⅣ群)、ワソラン)
グレープフルーツジュース

【誘導薬】
リファンピシン(抗結核薬、リファジン)
リファブチン(抗結核薬、ミコブティン)
フェノバルビタール(抗てんかん薬(バルビツール酸系)、フェノバール)
フェニトイン(抗てんかん薬(主にNaチャネル阻害)、アレビアチン、ヒダントール)
カルバマゼピン(抗てんかん薬(主にNaチャネル阻害)、テグレトール)
セントジョーンズワート

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。
    基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。
    一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。
    なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。
  • ベンゾジアゼピン系薬やCa拮抗薬は主にCYP3Aで代謝される薬物が多い。
    本リストでは、そのなかでもCYP3Aの寄与が高いことが良く知られている薬物を例示した。
  • 消化管吸収におけるCYP3A、P糖蛋白の寄与は不明瞭であることが多く、また両方が関与するケースもみられることに注意を要する。
    またCYP3Aの阻害薬については、P糖蛋白も阻害する場合が多い。

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1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
サリドマイド事件のあらまし(概要)
上記まとめ記事から各詳細ページにリンクを張っています。
(現在の詳細ページ数、20数ページ)

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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)
2021年08月25日(第5版発行)
2022年03月10日(第6版発行)
2023年02月20日(第7版発行)、最新刷(2023/02/25)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年1月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)