14.共分散分析(ANCOVA:分散分析に回帰分析を応用した手法)

14.共分散分析(ANCOVA:分散分析に回帰分析を応用した手法)

  • 分散分析(ANOVA:ANalysis OVAriance)
  • 共分散分析(ANCOVA:ANalysis of COVAriance)

(1)共分散分析(ANCOVA)は、分散分析(ANOVA)と同じく「分散を使った母平均の検定」を行う

共分散分析(ANCOVA)は、分散分析(ANOVA)と同じように、
基本的には、「群間比較」(平均値の比較)を目的としたパラメトリックな解析手法です。

  • 帰無仮説 H0:群間の主効果が同じ(平均に差がない)
  • 対立仮設 H1:群間の主効果に差がある(平均に差がある)

1)共分散分析(ANCOVA)は、共変量の影響を取り除いた「群間比較」(平均値の比較)を行う

共分散分析(ANCOVA)は、説明変数の中に、共変量(平均値に影響を与える補助的な変数(体重や年齢など))があった場合には、その共変量の影響を取り除いて、「群間比較」(平均値の比較)を行うことができる解析手法になります。

ここで、「平均値に影響を及ぼすデータ(共変量)が群間で異なっていれば、それがいわゆる交絡因子になります」。(吉田2019,p.161)
つまり、共分散分析(ANCOVA)は、交絡因子(共変量)の影響を小さくすることにつながる手法であるため、統計的検定を行う上で大きなアドバンテージとなります。

2)共分散分析(ANCOVA)では、共変量(連続変数)を説明変数(X軸)とした回帰直線を引く

共分散分析(ANCOVA)は、分散分析(ANOVA)と回帰分析を組み合わせた手法とも言われます。

分散分析(ANOVA)の説明変数は、集団(例えば、A群、B群、そしてC群)などのカテゴリー変数(要因)のみです。
これに対して、共分散分析(ANCOVA)の説明変数には、カテゴリー変数(要因)に加えて、連続変数(共変量)が必須です。

そして、この連続変数(共変量:X軸)と目的変数(Y軸)との関係を、回帰直線で表します。
つまり、全てのデータを含む散布図の中に、横軸を共変量とする各群ごとの回帰直線を複数引きます。
その上で、各群ごとの回帰直線の差を検定します。(ただし、以下のような条件がある) 

  • 群間で回帰直線が平行であること
  • 回帰係数がゼロでないこと
    (回帰係数がゼロならば、共変量を含めず、通常の分散分析を行う)

なお、共分散分析(ANCOVA)のカテゴリ変数の数(群の数)は、2群または3群以上です。
したがって、2群の場合には、t検定に共変量の要素を加えた分析ということになります。
注)分散分析(ANOVA)は、2群の場合も可能であり、その結果はStudentのt検定と一致する。

(2)A社とB社の年収差には、それぞれの社の平均年齢が影響を与えているか

一般的には、日本国内では、未だ年齢が上がるにつれて、それなりに年収アップすると考えられています。
(以下、吉田2019,pp.162-168参照)

【例:A社とB社の年収を比較する】

  • A社の平均年収:500万円(SD:50万円)、平均年齢:35歳(SD:5歳)
  • B社の平均年収:550万円(SD:50万円)、平均年齢:40歳(SD:5歳)

A社とB社の平均年収の差は、
本当に、A社とB社の会社の違い(給与水準の違い)のみによるものなのか、
それとも、両者の従業員の平均年齢の違い(年齢という交絡因子の違い)によるものなのか。

  • 年収=a1×会社+a2×年齢+b+誤差(共分散分析)
    (共分散分析では、カテゴリカル変数+連続変数)
  • Y(体重)=a×X1(身長)+c×X2(年齢)+b+誤差(重回帰分析)
    (重回帰分析では、複数の連続変数のみでカテゴリカル変数無し)

共分散分析は、分散分析(あるいはt検定)と回帰分析を合わせたような分析手法と考えることができる。
ここでは、単純なt検定の結果と共分散分析の結果を比べてみる。
(実際には、上記条件に当てはまるような乱数を発生させて、解析をしている)

  • A社とB社の差 :平均年収の差58.8万円、P値<0.0001(t検定の結果)
  • 同上、年齢で調整後:平均年収の差23.0万円、P値0.0951 (共分散分析の結果)

t検定では、A社とB社の平均年収を単純に比較している。
つまり、x軸(年齢)は全く考慮せず、Y軸のみの比較になる。
両社の平均年収の差は、単純に50万円(58.8万円)である。

共分散分析(ANCOVA)では、年齢(共変量)で調整をする。
X軸(共変量:年齢)、Y軸(目的変数:年収)として、
それぞれの群ごとに平行な直線(回帰直線)を引く。
その上で、同じ共変量同士(同じ年齢同士)のY(年収)の差を比較する。

年齢(共変量)で調整すると、両群の平均年収の差が小さくなり、逆にP値が大きくなっている。
ここでは、平均年収の差は、23.0万円となる。
t検定の場合の58.8万円と比べて、その差が小さくなっていることが分かる。

その結果、例えば、有意水準α=0.05とするならば、
有意差有り(P値<0.0001)だったものが、有意差無し(P値0.0951)になるという結論の違いが出てくる。
(両社の社員の平均年齢を考慮すると、両社の平均年収の差に有意差があるとは言えない)

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

 

12.相関関係

12.相関関係

2つの量的変数の関係を分析する手法には、相関(correlation)と回帰:regression(回帰分析:regression analysis)の二つがあります。

(1)相関とは

相関とは、二つの変数(連続変数)同士が、どのような位置関係で散らばっているかを示したものです。
二つの変数の間の「関連(バラつき具合)」を分析する手法と言えます。
相関係数(r)という数値を用いて、お互いの関係(相関関係)の強さを定量化します。

  1. 相関係数は、「線形的な」関係性の強さを定量化した指標である。
  2. つまり、直線関係の強さを、数値(-1~+1)で示したものである。
  3. 単位はない。
  4. 相関係数は、1に近づくほど正の相関(正比例)の関係が強くなり、-1に近づくほど負の相関(反比例)の関係が強くなる。また、0に近づくほど無相関になる。

相関係数(r)の値と相関関係の強さの関係:

  • 0.7 < |r| ≦ 1:強い相関
  • 0.4 < |r| ≦ 0.7:中程度の相関
  • 0.2 < |r| ≦ 0.4:弱い相関
  • 0.0 < |r| ≦ 0.2:ほぼ相関無し

(2)「線形的な」関係性(直線性)とはどういうことか

線形でない(つまり、非線形な)関係、例えば、二次関数や四次関数などにおいては、2つの量的変数の間には明瞭な関係があるにもかかわらず、相関係数はゼロに近く(ほぼ無相関に)なります。

逆に、同じ相関係数を出すデータとはいっても、その散布図を見ると、様々な形が存在することが分かります。

その中には、「線形的な」関係性からはほど遠い分布であるにもかかわらず、相関係数は同じという(相関係数がそれなりの値となる)分布が数多く存在している。
(「同じ相関係数を出す様々なデータ」阿部2021,p.166)

つまり、相関係数だけでは、データの散らばり具合を判断することはできません。
そこで、相関係数を計算する前には、必ず散布図を描き、データがどのように分布しているかを確認しておくことが大切です。

(3)相関と因果関係は全く別物である

ここで、相関と因果関係は全く別物である点には、注意する必要があります。
つまり、相関があるからといって、因果関係があるとは限らないからです。

「相関」では、変数(X、Y)を入れ替えたとしても、その結果(相関係数r)に変わりはありません。
つまり、どちらがXでどちらがYか、ということは重要ではありません。
これに対して、「回帰」では、説明変数Xに対応して目的変数Yが存在する、という関係があります。
つまり、どちらがXでどちらがYか、という関係が重要になります。

(4)相関係数のp値は、相関の強さには関係しない

「p<0.05⇔相関がある(相関が高い)」とするのは、間違いです。
相関の強さと相関係数のp値とは、切り離して考えなければいけません。
言い換えると、2つの変数の関係は、「相関係数の値の大小」と「P値」の両方を見比べて判断する、ことが重要になります。

そのことを、相関係数の帰無仮説と対立仮説から考えてみます。

  • 帰無仮説H0:相関係数=0
  • 対立仮説H1:相関係数≠0

相関係数の仮説検定では、相関係数ゼロとする帰無仮説に対して、相関係数のP値(累積確率)が、0.05(有意水準)を下回ったならば、「相関係数はゼロではなさそうだ」と結論付けます。(P<0.05:有意差有り)

ただし、これは、「p<0.05⇒相関が高い」(相関が強い)と言うことを意味してはいません。
相関の強さを示すのは、あくまでも「相関係数の値の大小」です。
それに対して、P値は、相関係数の値そのもの(相関の大小を問わない)が、どれだけ確からしいかを示す目安になります。

(5)参考事例:相関係数とP値との関係を考える

1)相関係数0.01、p<0.05の場合:

相関はほぼ無い(相関係数0.01)ことが、確かなようだ(p<0.05)と判断する。
つまり、仮説検定を実施した結果、p<0.05であることが分かってはじめて、その相関の有り無しを主張できる。

2)相関係数0.8、p>0.05の場合:

強い相関がある(相関係数0.80)ようには見えるが、それが確かとまでは言えない(P>0.05)と判断する。
つまり、P>0.05の場合、たとえ相関係数が大きくても、統計的に有意な相関があるとは主張できない。

なお、一般的に、サンプルサイズnが大きいと、P値が小さくなることから、p<0.05(統計的に有意)となる確率は高まります。これは、相関係数の場合でも同様です。
(参考)「サンプルサイズと仮説検定」(阿部2021,p.172)

(6)相関係数を算出する

相関係数を求めるには、共分散をそれぞれの変数の標準偏差で割る。

x と y の相関係数 r =(xとyの共分散)/{(xの標準偏差)×(yの標準偏差)}

以下の手順を順番に実行するとよい。

  • それぞれの変数の平均値を求める
  • それぞれの変数の偏差(数値 - 平均値)を求める
  • それぞれの変数の分散(偏差の二乗平均)を求める
  • それぞれの変数の標準偏差(分散の正の平方根)を求める
  • 共分散(偏差の積の平均)を求める
  • 共分散を2つの変数の標準偏差で割って相関係数を得る

1)ピアソンの積率相関係数 r(Pearson’s correlation coefficient r)

相関分析では、2つの量的変数の間における関係の強さを定量化します。
このとき、最も頻繁に使われる値は、ピアソンの積率相関係数(r)です。

ピアソンの積率相関係数(r)は、パラメトリックな手法です。
つまり、xの分布、yの分布が正規分布であることを仮定しています。
したがって、外れ値がある場合には、適切ではありません。

ピアソンの積率相関係数 r は、共分散をそれぞれの変数の標準偏差で割って求めます。 

X と Y の相関係数(r)
=(xとyの共分散)/{(xの標準偏差)×(yの標準偏差)}

2)スピアマンの順位相関係数 ρ(Spearman’s rank correlation coefficient ρ)

スピアマンの順位相関係数(ρ) は、ノンパラメトリックな手法です。
xの分布、yの分布の少なくとも一方に、正規性がない場合に適しています。
正規性のないデータについては、それを順位に変換した後、積率相関係数の式に当てはめて計算をします。
この方法は、外れ値の影響を、ほとんど受けないとされています。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

13.回帰分析

13.回帰分析

2つの量的変数の関係を分析する手法には、相関(correlation)と回帰:regression(回帰分析:regression analysis)の二つがあります。

(1)回帰とは

回帰とは、ある変数Yの値のバラつきが、どの程度、他の変数Xの値のバラつきによって説明されるかを示すものです。

回帰では、変数Xで変数Yを説明しようとしています。
つまり、XからYという方向性があります。
研究目的に応じて、事前に、2つの変数のうちどちらをXにしてどちらをYにするのか、決めておく必要があります。
これに対して、相関では、どちらがXでもYでも問題ない(認識していない)という違いがあります。

2種類のデータ(例えば、身長と体重のデータ)があった場合、一般的には、次のような順番で、段階的に解析を進めることが考えられます。

  1. 各データの要約統計量を計算する
  2. 各データのヒストグラムを作成する(データの可視化)
  3. X軸:身長、Y軸:体重の散布図を作成する
  4. 回帰分析や相関を算出してみる

(2)回帰式

1)まず、変数が2つの一次方程式(中学教科書)を考えると、次のように表される。

y = ax + b

x:説明変数(独立変数)
y:目的変数(従属変数) 

a(係数):直線の傾き、つまり、xが1増加したときのyの増加量
b(切片):直線がy軸と交わる点、つまり、x=0のときのyの値
(x、yは変数であり、a、bは定数である)

yの値は、xの値が決まれば自動的に決まってきます。
つまり、それぞれのデータは、この直線上のいずれかに存在していることになります。

2)次に、統計の回帰分析の式を考えると、次のようになる。 

y= ax + b + ε

回帰分析では、要因となる説明変数X(例えば、身長)に対応して、結果となる被説明変数Y(例えば、体重)が存在するという関係があります。(相関との違い)

つまり、回帰分析では、どちらの変数を(X)とするか、あるいは(Y)とするかを、事前に決めておかなければなりません。

a(係数):直線の傾き、つまり、xが1増加したときのyの増加量
b(切片):直線がy軸と交わる点、つまり、x=0のときのyの値
ε(誤差):誤差項

x(身長)とy(体重)の関係を考えた場合、直線「y= ax + b」の関係は成り立ちません。
なぜならば、同じ身長であっても、体重の重い人もいれば軽い人もいるからです。 

つまり、データは必ずバラつくものであることが分かります。
このバラつきを表したのが、ε(誤差)になります。 

ここでは、データは、直線「y= ax + b +ε」の周りにバラつくことになります。
つまり、ε(誤差)は、各データとy軸方向の距離(残差)を合計したものになります。

ところで、説明変数/被説明変数に対応する用語は、諸資料で異なることが多くなっています。
したがって、資料ごとにその関係をしっかりつかんでから、読み進めることが大切です。

x(身長):説明変数(独立変数、説明変数、説明変数)
y(体重):被説明変数(従属変数、目的変数、応答変数)

例えば、吉田2019,p.158では、x:身長(説明変数←説明変数)とy:体重(応答変数←被説明変数)の組み合わせを採用しています。
これに対して、阿部2021,p.161では、x(説明変数または独立変数)、y(目的変数または従属変数)となっています。

3)最小二乗法

データが、回帰式「y= ax + b +ε」の周りにバラついているとした場合、
最も適切な回帰式を選ぶには、パラメータa、b(回帰係数:regression coefficient)を、どのように決めればよいかが問題となります。 

その方法の一つとして、各データと回帰式の差(残差すなわち偏差)をできる限り小さくする、ことが考えられます。これを最小二乗法(least squares)と言います。

考え方の手順は、以下のとおりであり、
実際には、偏差平方和が一番小さくなるaとbを選ぶことになります。 

  1. 残差(偏差):各データごとにy軸方向の距離を求める。
  2. 偏差平方:各データごとに残差(偏差)を二乗したものを計算する。
  3. 偏差平方和:各データごとの偏差平方(偏差を二乗したもの)を全て加えたものを計算する。
  4. 偏差平方和が一番小さくなるaとbを選ぶ。
    (ここでの実際の計算には、偏微分方程式を使う)

 以上によって、最適な回帰式を決定することができます。

(3)単回帰分析と重回帰分析

  • 単回帰分析:説明変数が1つの場合、y(体重)= ax(身長)+ b +ε
  • 重回帰分析:説明変数が2つ以上の場合、y(体重)= ax(身長)+cx(年齢)+ b +ε
  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

10.カイ二乗検定(分割表:独立性の検定)

10.カイ二乗検定(分割表:独立性の検定)

(1)はじめに

カイ二乗検定とは、カイ二乗分布を利用する検定方法の総称です。
つまり、カイ二乗検定では、検定統計量からP値を求めるのに、カイ二乗分布を用います。
検定そのものの考え方は、t分布を利用するt検定の場合と同じです。

カイ二乗検定の解析対象(アウトカム)は、カテゴリカル変数です。
ノンパラメトリックな検定であり、2群またはそれ以上の群(対応のないデータ)が対象です。

カイ二乗検定は、分割表(クロス集計表:例えば2×2表)の独立性の検定で多く使われます。
例えば、薬効の有無の検定などがそうです。
なおここで、独立しているとは、複数の変数間で関連がないことを言います。

カイ二乗検定は、独立性の検定以外でも、母分散の区間推定や分布の適合度検定などで使われます。
ただし、一般的には、カイ二乗検定と言えば、独立性の検定を指す場合が多いです。

(2)フィッシャーの正確確率検定との比較(カイ二乗検定との使い分け)

独立性の検定について、一般的には、カイ二乗検定よりもフィッシャーの正確確率検定の方が望ましいと言えます。
フィッシャーの正確確率検定は、「正確」に確率(P値)を計算する手法です。
例数にあまり左右されることもありません。

カイ二乗検定は、カイ二乗分布を用いた「近似」の手法になります。
例数が少ない場合には、使いにくい手法です。
ただし、例数が多い場合には、カイ二乗検定でも可です。

(3)独立性のカイ二乗検定の実際

ここでは、例として、対応のない2群(A群とB群)のカイ二乗検定を考えてみます。
具体的には、2×2分割表(クロス集計表)になります。 

  • A群(薬剤群):データ数m
  • B群(コントロール群):データ数n 
  • 帰無仮説H0:薬剤と効果は独立している(お互いに関連がない→薬効がない)
  • 対立仮説H1:薬剤と効果は独立していない(お互いに関連がある→薬効がある) 

カイ二乗検定では、観測値と期待度数との差を求め、そこから、2群の間で関連性があるかどうか、つまり、2群が独立しているかどうかを検討します。

1)期待度数を算出した分割表を作成する 

期待度数とは、各カテゴリー間で関連がなかったとした場合、得られるであろう値(期待値)のことです。
次の手順で算出します。

まずは、元の観察データを準備します。 

薬剤群とコントロール群で薬効の有無をみた2×2表(元の観察データ)

薬剤群:効いた(13)、効かなかった( 7)、小計(20)
コントロール群:効いた( 5)、効かなかった(15)、小計(20)
合計:効いた(18)、効かなかった(22)、合計(40)

期待度数を算出するには、薬剤群とコントロール群では、関連性がない(独立している)として、数値を平等に案分します。以下のとおりです。 

◎効いた例は、全体で18例(薬効群13+コントロール群5)です。
それを、薬剤群(20)とコントロール群(20)で、20対20に案分します。

  • 薬剤群(効いた例):18×薬効群の割合(20/(20+20))⇒9例
  • コントロール群(効いた例):18×コントロール群の割合(20/(20+20))⇒9例 
    (薬効群とコントロール群が同数なので、案分後の数値は同数になる)

◎効かなかった例は、全体で22例(薬効群7+コントロール群15)です。
それを、薬剤群(20)とコントロール群(20)で、20対20に案分します。

  • 薬剤群(効かなかった例)は、22×薬効群の割合(20/(20+20))⇒11例
  • コントロール群(効かなかった例)は、22×コントロール群の割合(20/(20+20))⇒11例 
    (薬効群とコントロール群が同数なので、案分後の数値は同数になる)

以上から、次の分割表(期待度数で置き換えたもの)が作成できます。 

薬剤群:効いた(  9)、効かなかった(11)、小計(20)
コントロール群:効いた(  9)、効かなかった(11)、小計(20)
合計:効いた(18)、効かなかった(22)、合計(40) 

2)観測値と期待度数の差を求める 

計算式は、以下のとおりです。 
(観測データ - 期待度数)^2/期待度数 

  • 薬剤群(効いた例): (13-9)^2/9 ⇒ 1.78
  • 薬効群(効かなかった例):(7-11)^2/11 ⇒ 1.45
  • コントロール群(効いた例):(5-9)^2/9 ⇒ 1.78
  • コントロール群(効かなかった例):(15-11)^2/11 ⇒ 1.45 

以上から、次の分割表(観測値と期待度数の差で置き換えたもの)が作成できます。  

  • 薬剤群:効いた(1.78)、効かなかった(1.45)
  • コントロール群:効いた(1.78)、効かなかった(1.45) 

3)検定統計量(カイ二乗値) 

検定統計量(カイ二乗値)=Σ((観測データ - 期待度数)^2/期待度数)

カイ二乗値は、分割表(観測値と期待度数の差で置き換えたもの)の4つの数字を足し合わせるだけです。 

カイ二乗値=1.78+1.45+1.78+1.45 ⇒ 6.46

 4)自由度を求める 

2×2分割表では、4つのセルのうち1つのセルの値が決まれば、残りの3つは自動的に決まってしまいます。
つまり、自由度は1ということになります。
 

一般的には、m×n分割表の自由度は、
(m-1)×(n-1)です。 

5)カイ二乗分布表と有意差判定 

カイ二乗値:6.46
自由度:1 

カイ二乗表から、
自由度f=1、P=0.05に対するカイ二乗値は、3.84です。

カイ二乗値=6.46>3.84(上側5%点)

したがって、帰無仮説は棄却されます。
有意水準α=0.05で、統計的に有意な差があることが分かります。
つまり、薬剤群かコントロール群かによって、「効く・効かないが違ってくる」と結論付けられます。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
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11.分散分析(ANOVA:分散を使った母平均の検定)

11.分散分析(ANOVA:分散を使った母平均の検定)

分散分析(ANOVA)は、3群以上(通常)の連続変数を比較するためのパラメトリックな検定です。
母平均の検定に〈分散を使用する〉ことから、分散分析(ANOVA:Analysis of variance)と呼ばれています。

(1)分散分析(ANOVA)は、「分散を使った母平均の検定」を行う

1)t検定と分散分析(ANOVA)を比べてみる

分散分析(ANOVA)は、「分散を使った母平均の検定」になります。
母平均の検定という点では、t検定と同じということができます。

t検定と同じく、解析対象(アウトカム)は、連続変数になります。
t検定が、1群または2群のとき使用できる検定手法であるのに対して、
分散分析(ANOVA)は、通常、「3群以上のとき」に使う検定手法になります。

注)分散分析(ANOVA)は、2群の場合も可能であり、その結果はStudentのt検定と一致します。

分散分析(ANOVA)は、パラメトリック(何らかの分布に従う)検定に分類され、
対応のない場合(異なるサンプルから得られたデータ)の解析手法になります。

  • 各群のサンプルは独立に得られたものであること
  • 各群が正規分布に従うこと
  • 各群で分散が等しいこと(等分散性があること)

参考)分散分析(ANOVA)で等分散性の確認は不要です。

分散分析(ANOVA)は、「母平均」に関する検定です。
つまり、母集団の平均がどうなっているかに注目しています。
そうした中で、母集団ではなく、標本データで等分散性を確認できたとしても、
母集団そのものが、本当に等分散かどうかは確認のしようがありません。

(2)分散分析(ANOVA)の検定手順

1)帰無仮説と対立仮説は、次のとおりです。

例えば、3群の場合は、次のようになります。

  • 帰無仮説H0:A群の母平均=B群の母平均=C群の母平均
    (全ての群の平均が等しい)
  • 対立仮説H1:A群の母平均、B群の母平均、あるいはC群の母平均の中に異なる値がある
    (少なくとも1つの組み合わせに差がある)

注意点)

分散分析(ANOVA)でたとえ有意差が出たとしても、どの群の間の〈平均〉が異なるのか、ということまでは分かりません。
以下のいずれの場合も考えられます。

  • A群の母平均だけが異なる→B群の母平均=C群の母平均
  • B群の母平均だけが異なる→A群の母平均=C群の母平均
  • C群の母平均だけが異なる→A群の母平均=B群の母平均
  • A群、B群およびC群のいずれの母平均も異なる

3群以上のカイ二乗検定(カテゴリカルな検定)などでも、同様に「どの群の間で違いがあるか」ということまでは分かりません。

留意点)

分散分析で有意差が出た場合、改めて2群検定を3つ実施するという考え方があります。
(A群 vs B群、B群 vs C群、そしてC群 vs A群の3つ)
ただし、分散分析の後で2群間の検定を実施するやり方は、以下の2点から推奨されません。

  1. 検定の回数を増やすと、多重性の問題が生ずる。
  2. 分散分析と2群検定では、知りたいこと(目的)が違う。

解析手法の選択は、どんな結論を出したいかという目的に従って行うものです。
3群比較だから分散分析を使うという考え方で決めるものではありません。
つまり、積極的に有意差を確認したい2群の組み合わせがあるのならば、最初から、その2群について検定を行うべきです。

2)分散分析の仕組み(阿部2021,pp.142-146)

  1. A群、B群、そしてC群の3群のデータを用意する。
  2. 3群の全データを用いて、全体の平均を計算する。
  3. A群、B群、そしてC群のそれぞれの群で、群の平均を計算する。

個々のデータごとの全体平均との差は、次の2つの要素に分解できます。

個々のデータごとの全体平均との差
=各データ ー 全体の平均
=群間変動(群間のバラつき)+群内変動(群内のバラつき)・・・2つの要素に分割する
=群間変動(各群の平均 ー  全体の平均)+群内変動(各データ ー 各群の平均)・・・具体的な計算方法
⇒ 各データ ー 全体の平均・・・()内を整理すると、結局は、この形になる

  • 群間変動は、群間に差があればあるほど大きな値になる(効果による変動)。
  • 群内変動(群内のバラつき)は、例えばC群の各データとC群の平均との差を表す。
    もともと各群内に存在するランダムな誤差の大きさのことである(誤差による変動)。

群間変動(群間のバラつき)/群内変動(群内のバラつき)が大きければ、群間に違いのある可能性が高まります。

3)検定統計量F値

分散分析(一元配置の場合)の検定統計量(F値)は、
「群の不偏分散」(群の平均平方)と「残差の不偏分散」(残差の平均平方)の比になります。
一般的に、F値が大きいとP値は小さくなります。

F値=V(群)/V(残差)

  • V(群):「群の不偏分散」(群の平均平方)⇒ 群間変動(群間のバラつき)
  • V(残差):「残差の不偏分散」(残差の平均平方)⇒ 群内変動(群内のバラつき)
    (F値 ⇒ 平均的な群間変動/平均的な群内変動) 

この検定統計量(F値)は、帰無仮説下では、f分布と呼ばれる分布に従います。
F分布の形状は、サンプルサイズと群の数によって少しずつ異なってきます。(阿部2021,pp.144-145)

4)分散分析表を用意する

F値=V(群)/V(残差)を導くために、計算の段階を追って数値を記録していきます。
その結果、分散分析表が出来上がります。

サンプルデータ(3種の肥料の効果に差はあるか?)、(阿部2021,p.143)

  1. グループA:32.5、34.2、32.4、33.3、31.0、31.5、平均32.483(小数点以下4位四捨五入)
  2. グループB:35.1、32.9、34.4、34.7、33.0、34.9、平均34.167(同上)
  3. グループC:40.1,39.6、38.0、38.1、37.9、39.5、平均38.867(同上)
    総平均35.172

◎V(群)つまり群の不偏分散(群の平均平方)は、次の手順で計算します。

  • 群の平方和:
    まず、各群ごとに{「その群の平均と全体の平均の差」の2乗}を計算する。
    次に、得られた値を、各群のデータの数だけ繰り返して積み上げる。
    (各群のデータごとに、同じ値が得られるので、それを各群のデータ数で掛け合わせる)
    最後に、各群ごとの小計を全ての群で合算する。
  • 群の自由度=群の数ー1
  • 群の不偏分散=群の平方和/群の自由度

A群のデータの平方和:(32.483-35.172)^2)×6 ⇒ 43.381
B群のデータの平方和:(34.167-35.172)^2)×6 ⇒ 6.067
C群のデータの平方和:(38.867-35.172)^2)×6 ⇒ 81.894
全体(A+B+C)の平方和:43.381+6.067+81.894 ⇒ 131.341
群の不偏分散(群の平均平方):131.341/(3-1)⇒ 65.671

◎V(残)つまり残差の不偏分散は、次の手順で計算します。

  • 残差の平方和:
    まず、各群ごとに{「個々のデータとその群の平均との差」の2乗}を計算する。
    次に、各群ごとに、個々のデータから得られた値を足し合わせる。
    最後に、各群ごとの小計を全ての群で合算する。
  • 残差の自由度=全データ数-群の数
  • 残差の不偏分散=残差の平方和/残差の自由度

A群(残差)の平方和:(32.5-32.483)^2+(34.2-32.483)^2+(32.4-32.483)^2+(33.3-32.483)^2+(31.0-32.483)^2+(31.5-32.483)^2 ⇒ 6.788
B群(残差)の平方和:(35.1-34.167)^2+(32.9-34.167)^2+(34.4-34.167)^2+(34.7-34.167)^2+(33.0-34.167)^2+(34.9-34.167)^2 ⇒ 4.713
C群(残差)の平方和:(40.1-38.867)^2+(39.6-38.867)^2+(38.0-38.867)^2+(38.1-38.867)^2+(37.9-38.867)^2+(39.5-38.867)^2 ⇒ 4.733
残差(A+B+C)の平方和:6.788+4.713+4.733 ⇒ 16.235
残差の不偏分散(残差の平均平方):16.235/(18-3)⇒ 1.082

◎全体の数値は、以下のようになります。

  • 全体の平方和=群の平方和+残差の平方和
  • 全体の自由度=群の自由+残差の自由度

◎F値=⇒ 65.671/1.082=60.694

5)F表と有意差判定

F表から、自由度f1=2、f2=15のF分布の上側5%の点は、19.4になります。
(群の自由度:3-1、残差の自由度:18-3)

F値=60.69>19.4(上側5%点)

したがって、帰無仮説は棄却されます。
つまり、有意水準α=0.05で、統計的に有意に群間差があることが分かります。

(3)一元配置分散分析と二元配置分散分析

  • 一元配置分散分析:
    例えば、A群、B群、そしてC群の3水準のデータを持った「群」という1つの因子で、水準間の平均値の差を解析します。(群という因子による比較)
  • 二元配置分散分析:
    例えば、A群、B群、そしてC群の3水準のデータを持った「群」という因子と、男性・女性という2水準のデータを持った「性別」という因子の、2つの因子の組み合わせでの平均値の差を分析します。(群という因子にその他の因子を組み合わせた比較)
  • 多元配置分散分析:
    それ以上の因子の組み合わせによる分析です。

二元配置分散分析(3群の場合を例として)の場合には、特に、A群、B群、そしてC群という3群と、例えば性別(男・女の別)を組み合わせた6水準間(3水準×2水準)で、平均値に違いがあるかどうかを分析する場合が多くなります。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

 

9.ウィルコクソンの順位和検定(対応のないノンパラメトリック検定)

9.ウィルコクソンの順位和検定(対応のないノンパラメトリック検定)

対応のないt検定(パラメトリック検定)のノンパラメトリック版と言えます。

(1)t検定との比較

ウィルコクソンの順位和検定の特徴は、以下のとおりです。

  • t検定と同じく、解析対象(アウトカム)は、連続変数である。
  • パラメトリックなt検定(対応のない場合)に対するノンパラメトリック版と言える。
  • マン・ホイットニー(Mann-Whitney)のU検定と実質的に同じである。

t検定は、パラメトリックな(何らかの分布を仮定する)検定です。
そうした中で、特に、正規分布に従うことを仮定しています。
t検定は、正規分布を仮定するとき、”有意差を出しやすい”検定です。
逆に、正規分布でなければ、”有意差を出しにくい”検定です。

ウィルコクソンの順位和検定は、ノンパラメトリックな(分布を何も仮定しない)検定です。
どのような分布であっても、あるいは分布がなくても、”有意になりやすさ”は一定です。

したがって、データが正規分布に従わないリスクを考えた場合、常にノンパラメトリックな検定をするとしても、全く何の問題もありません。
ある意味、ノンパラメトリックな検定は、オールマイティーだと言えるかもしれません。
ただし、現実的には、t検定が多く使われています。

(2)ウィルコクソンの順位和検定(Wilcoxon rank sum test)

対応のない2群(A群とB群)によるノンパラメトリック検定になります。

1)帰無仮説と対立仮説は、次のようになります。

  • 帰無仮説H0:A群の分布=B群の分布
  • 対立仮説H1:A群の分布≠B群の分布
    (A群のデータ数:m、B群のデータ数:n)

2)データの大小を”順位”に変換する

Ā群とB群の実際のデータは、以下のとおりとします。

  • A群のデータ数(体重kg):m(55,63,58,49,71)
  • B群のデータ数(体重kg):n(64,70,61,57,67)

2群のデータを全てひとまとめにして、小さい順に並べます。
それらのデータの一つひとつに、1から順番に”順位”をつけます。

2群の実際のデータを、この”順位”(数値:1、2、3・・・)で置き換えます。

  • A群のデータ:5つ(2,6,4,1,10)
  • B群のデータ:5つ(7,9,5,3,8)

ここでは、例えば外れ値があったとしても、順位には何ら変動を与えないので、検定結果に影響は与えません。
(t検定であれば、平均値が異なってくる)

3)検定統計量を算出する(順位和)

サンプルサイズが少ない方の群に割り当てられた順位の和(順位和) を計算します。
この順位和が求める検定統計量になります。

  • A群のデータ:5つ(2,6,4,1,10)→順位和23
  • B群のデータ:5つ(7,9,5,3,8)→順位和32

4)検定統計量とウィルコクソンの順位和検定の数表を突き合わせる

有意水準5% (α=0.05) の数表
(N1,N2)=(5,5)→17/38

5)P値と有意水準(通常は、両側5%)を比較する

A群、B群の順位和(23、あるいは32)は、17~38の間に入っているので、
「帰無仮説H0:A群の分布=B群の分布」は否定できない。

つまり、「A群とB群の分布には差があるとは言えない」と結論付ける。

(3)その他

対応のあるt検定(パラメトリック)に対して、ウィルコクソンの符号順位検定(ノンパラメトリック)が対応します。

ここで、同じくノンパラメトリックな検定であるウィルコクソンの順位和検定(対応のない場合)とウィルコクソンの符号順位検定(対応のある場合)を混同しないことが肝要です。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

8.t検定(母平均に関する検定)

8.t検定(母平均に関する検定)

(1)t検定は、「母平均に関する検定」を行う

t検定は、「母平均に関する検定」を行います。
要約統計量の一つである平均値に関する検定であり、
解析対象(アウトカム)は、連続変数ということになります。

t検定は、パラメトリック(何らかの分布に従う)検定に分類され、
その中でも、正規分布に従うことを仮定しています。

1)検定統計量Tは、t分布にしたがう

検定統計量T(t検定のための統計量)は、Zスコア(標準正規分布)を参考にして、次のように求められます。
注)下記は、「1標本の平均値」のt検定の場合であり、
2標本では、検定統計量Tの計算はもう少し複雑になります。

Z(スコア)=(x-μ)/σ ⇒ 《偏差》/《標準偏差》

  • 《偏差》→「標本平均の《偏差》」を代入
  • 《標準偏差》→「標本平均の《標準偏差》」を代入

以上から、統計量T=標本平均の《偏差》/標本平均の《標準偏差》となります。
つまり、統計量T=「標本平均-母平均」/「標準誤差」です。

標準誤差とは、標本平均の標準偏差のことです。
(標準誤差(SE)=標準偏差(SD)/√データ数(n))

この検定統計量Tは、自由度n-1(データ数-1)のt分布に従います。
なお、この分布のことを、特にスチューデント(Student)のt分布と呼びます。
この件に関して、初めて論文を発表したゴセットのペンネームにちなんだものです。

2)t分布と標準正規分布を比べてみる

t分布のグラフを標準正規分布のそれと比べると、分布の形(釣り鐘型)には、ほとんど違いはありません。
ただし、t分布の方がピークの位置が低く、両裾がやや厚くなっていることが分かります。
その分、裾が左右に少し広がっています。

その理由は、統計量Tでは、母分散(未知)の代わりに標本分散を用いて計算しているため、確率的にバラつきが大きくなるためです。

t分布は、データ数が多くなるにつれて、標準正規分布に収束します。
つまり、データ数が無限大の場合、標準正規分布と全く同じになります。
データ数nが60程度で、ほぼ標準正規分布と変わりなくなることから、
t検定は、データ数が少ない場合の検定として、非常に有用です。

3)統計解析には統計解析ソフト(コンピューター)を使う

現在では、統計解析には統計解析ソフトを使うことが一般的になっています。
統計解析ソフトは、検定統計量TからP値まで、自動で計算してくれます。
検定に必要なサンプル数も、様々なケースについて、簡単に計算することができます。
したがって、必要最小限のサンプル数さえそろっているならば、サンプル数の大小にかかわらず、t検定をそのまま使うという考え方も成り立ちます。

(2)1標本の平均値のt検定(群の数は1つ)

「母平均」と「比較したい値」との差の検定になります。

例えば、製品の内容量としての規格(母平均)が定められている場合に、
出来上がった製品の実際の内容量(比較したい値)が、規格から外れていないかどうかを調べるために行います。

検定の手順は、以下のようになります。
(実際の手順は、次の「2標本の平均値のt検定」の場合を参照のこと

  • 母集団から無作為抽出したサンプルから、標本平均や標準偏差を算出する。
  • 標本平均や標準偏差から、統計量Tを算出する。
  • t分布表からt値を求める。
  • 統計量Tとt値を比較する。
  • 有意差有り/無しを判定する。
    つまり、「母平均」と「比較したい値」が異なるかどうかを判定する。

(3)2標本の平均値のt検定(群の数は2つ、対応無し)

2つの母集団から無作為抽出したサンプルの標本平均や標本標準偏差から、2群の母平均が異なるかどうか、P値を使って調べる方法になります。

例として、対応のない2群(A群とB群)のt検定を考えてみます。

なお、以下では、t検定の手順を再確認するため、t分布表を使った有意差判定を行っています。
ただし、現在では、統計解析ソフトを使用して、統計量TからP値(有意確率)までを自動で計算します。
そして、P値(有意確率)と有意水準(例えば、両側確率α=0.05)を比べることによって、有意差判定をします。

1)帰無仮説と対立仮説は、次のようになります。

  • 帰無仮説H0:A群の母平均=B群の母平均 ⇒(A群の母平均-B群の母平均=ゼロ)
  • 対立仮説H1:A群の母平均≠B群の母平均 ⇒(A群の母平均-B群の母平均≠ゼロ)
    (A群のデータ数:m、B群のデータ数:n)

2)各群の平均値と標準偏差を算出する
3)統計量Tを算出する

統計量Tは、「1標本の平均値のt検定」の場合と比べて、少し複雑になります。
ただし、
現在では、検定統計量TからP値まで、統計解析ソフトで自動的に求めることができます。
(ここでは、統計量Tの計算は省略します)

4)t分布表からt値を求める(自由度が必須)

t分布表を読み取ると、
例えば、自由度f=18の場合、両側確率α=0.05に対応する値は、t値(18,0.05)=2.101となります。
つまり、自由度によって、t分布の形が異なるので、
それに伴ってt値は変化します。

ここで自由度とは、以下のようにして計算します。

A群の自由度:(m-1)← データ数-1
B群の自由度:(n-1)← データ数-1
A群+B群の自由度:(m-1)+(n-1)→(m+n-2)

それぞれの群の平均値が決まっているならば、それぞれの群のデータ数よりも一つ少ない数のデータが決まれば、おのずと最後の一つは決まってきます。
つまり、選択の余地はなくなります。
したがって、それぞれの群の自由度は、(データ数-1)となります。

5)統計量Tとt値を比較する(有意差判定)

有意差有り:|統計量T|> 2.101(ただし、自由度f=18、両側確率α=0.05の場合)
つまり、「A群とB群の母平均には差がある」と結論付ける。

有意差無し:|統計量T|≦ 2.101(ただし、自由度f=18、両側確率α=0.05の場合)
つまり、「A群とB群の母平均には差があるとは言えない」と結論付ける。

ここで大切なことは、「”差がある”ことの反対は、”差があるとは言えない”」ということである。
検定で差が出なかったとしても、決して”差がない”ことが証明されたわけではない。

(4)その他

1)t検定(対応無し)について

t検定では、データのバラつき具合が、正規分布に従っていることが前提になります。
2標本の平均値のt検定(群の数は2つ、対応無し)を用いるときは、次の条件も関わってきます。

  • 2つの群のサンプルは独立に得られたものであること
  • 2つの群の両方に正規性のあること
  • 2つの群で分散が等しいこと(等分散性があること)

t検定(対応無し)の考え方として、初めから等分散性を考慮しないことに決めておき、常にWelch検定を実行する、という方法もあります。(Welch検定:2つの群の分散が異なる場合でも使用できる)

2)ノンパラメトリック(対応無し)について

母集団が正規分布に従うという前提が、全く成立しない場合には、ノンパラメトリック検定を用います。
例えば、「Wilcoxonの順位和検定」があり、その他「Mann-WhitneyのU検定」も同等な手法です。

2)対応有りの場合について

対応のあるデータとは、例えば、同じ患者グループから得られたデータについて、ベースラインの血圧と、2週間後の血圧を比較する場合などを言います。

「対応のあるt検定」(パラメトリックな検定)に対応する形で、「Wilcoxonの符号順位検定」(ノンパラメトリックな検定)があります。

なお、ノンパラメトリック検定には、Wilcoxonの順位和検定(対応のない場合)とWilcoxonの符号順位検定(対応のある場合)の2つがあることには注意が必要です。

4)3群の比較は可能か?

t検定は、1群または2群の検定法であり、3群以上の検定には使用できません。
3群以上の母平均の検定には、分散分析があります。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
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6.P値を正しく理解する

6.P値を正しく理解する

【重要】統計的検定を考えるとき、「P値を正しく理解する」ことが大前提になります。
本ページは、P値について、アメリカ統計協会の声明を中心として、私なりにまとめた覚書です。
統計的検定の基本的な流れについては、こちらをご覧ください。
⇒ 統計的検定とは(標本から母集団を推定する)

さて、世界最大の統計専門家の学術団体であるアメリカ統計協会が、「P値の適正な使用と解釈に関する6つの原則」について、統計を専門としない研究者、実務家、あるいはサイエンスライター向けに声明を出しています。

American Statistical Association(ASA)声明
アメリカ統計協会(世界最大の統計専門家の学術団体)
翻訳:日本生物計量学会>>お知らせ>>2017年リストより

AMED生物統計家育成支援事業 視聴コース
臨床研究者のための生物統計学
仮説検定とP値の誤解(Youtube)
佐藤俊哉 京都大学大学院医学研究科教授

計量生物学Vol.38,No.2,109–115 (2017)
ASA声明と疫学研究におけるP値
佐藤俊哉

声明の結語は、次のようになっています。

「すぐれた科学の実践に必須の要素であるすぐれた統計学の実践のためには以下の点を強調しておく。すぐれた研究デザインとその実施という原則、多様な数値およびグラフによるデータの要約、研究対象である事象の理解、背景情報に基づく結果の解釈、すべてを報告すること、そしてデータの要約の意味の適正な論理的かつ定量的理解。ひとつの指標が科学的推論の代わりとはなりえない」。(日本生物計量学会による翻訳)

以下、私なりの覚書です。

科学的推論には、研究デザイン、測定の質、外部のデビデンス、あるいはデータ解析の背後にある仮定の妥当性など、重要な項目が幾つもあり、有意差有り/無しは、これら全てを含めて総合的に判断すべきものです。

統計的検定を行うためのツールは、幾つもあります。
P値は、検定ツールの一つでしかありません。
つまり、検定すること=P値を出すことではありません。

P値は、同じ効果の大きさでも、サンプルサイズによって異なった値を取ります。
一般的に、サンプルサイズnが大きいと、P値は小さくなります。
それに伴って、p<0.05(統計的に有意)になる確率は高まります。

つまり、有意差(小さなP値)を出そうと思えば、サンプルサイズをできる限り大きくすればよいことになります。(参考)「サンプルサイズと仮説検定」(阿部2021,p.172)

検定が正しい(P値が妥当である)ためには、データ獲得の方法からデータの解釈、そして結果の提示に至るあらゆる仮定が正しいことが前提になります。
この前提が正しくないとき、P値の中には様々な誤りが入り込んでいることになり、正しい評価はできません。

「臨床的に意味のある差に統計的な有意差を見出す」ことが大事です。(吉田2019,p.70)
下記の2×2表で考えてみます。

統計的に有意                  1)臨床的に意味のある差◎   2)臨床的に意味のない差×
統計的に有意ではない   3)臨床的に意味のある差×     4)臨床的に意味のない差◎

1)臨床的に意味のある差に対して、統計的な有意差を見出すことが最も大切である。

2)臨床的に意味のない差に対して、無理をして統計的な有意差を見出しても何の価値もない。

・データ解析をするだけ資源(資金や時間など)の無駄遣いになってしまう。
・臨床的に意味がない治験に参加者を募ることは、倫理的に問題がある。

3)臨床的に意味のある差が見られたにもかかわらず、統計的な有意差が見られなかった場合、大抵は、症例数不足(検出力不足)である。

4)臨床的に意味のない差が見出されたときに、それが統計的に有意でないと判断されたとしても、それはそれで非常に有用な情報となる。

有意差が出なかったからと言って、その研究が無駄だったということではありません。
研究とは、一つの試験から何らかの結果を得るためだけではなく、情報を蓄積することによって、その後の研究につなげていこうとする側面があるからです。

研究結果をきちんとまとめて報告することは、P値だけに注目するよりもずっと貴重なことです。
それは、次の研究での失敗を回避するため、人類にとって役立つ財産となります。
(「独学大全」2020,証明法のまとめ,p.735)

有意差がなくても、そして、統計学的な検定を一度も実施していなくても、一流誌に採択されている論文はたくさんあります。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
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5.統計的検定の手順とは(標本から母集団を推定する)

5.統計的検定の手順とは(標本から母集団を推定する)

【重要】統計的検定を考えるとき、「P値を正しく理解する」ことが大前提になります。
本ページでは、統計的検定の基本的な流れについて、まずその概略をまとめています。
P値そのものについて、詳しくはこちらをご覧ください ⇒ P値を正しく理解する

【重要】統計の役割には、大きく分けて2つあります。
それは、データの特徴をつかむことと、母集団を推定することです。
統計的検定は、母集団を推定するために行います(推測統計)。
(データの特徴をつかむことは、記述統計に属します)
⇒ 記述統計:要約統計量とは(データの特徴をつかむ)

(1)統計的仮説検定とは

1)結論は一つ(有意差有り/無しのどちらか一つ)

統計的検定は、母集団に関する仮説を、標本から得た情報に基づいて検証することで、統計的仮説検定とも呼ばれています。

統計的検定は、「有意差有り/有意差無し」という結論を得るために行います。
この結論は、必ず二者択一(有意差の有無のみ)となるべきものです。
「非常に有意」とか「高度に有意」、あるいは「どちらとも決めかねる」などの表現はあり得ません。

ところで、統計的検定では、「差がない」ことは証明できません。
つまり、「差がないことが証明された」という結論を導くことはできません。
したがって、「有意差がなかったのでA群・B群は同じ」という表現は間違っています。
有意差が出なかった場合、「有意差があるとは言えない」という表現しかできません。
つまり、「(A群・B群は)同じという結論を導くことはできなかった」という意味になります。

2)統計的検定の原理(背理法を考える)

統計的検定の原理は、証明法の一つである「背理法」に基づいています。
つまり、差があることを直接証明することは難しい、そこで、
「差がないことを否定」することで、「差がある」と結論付けます。

  1. 証明法:背理法
  2. 適用する場合:Bが「・・・でない」形か、上の二つでうまくいかないとき
    (注:上の二つとは、前進後進法と対偶法)
  3. 仮定すること:AおよびNOTB
  4. 導くこと:ある矛盾
  5. 証明の進め方:AとNOTBから、前向きに推論して、矛盾を導く
    (『独学大全』2020,証明法のまとめ,p.735より)

(2)統計的検定の手順

データの種類やその目的によって、様々な検定が考えられます。
しかしながら、「基本的な検定の流れや、結果の読み取り方に関しては、全ての検定で共通です」。
(吉田2019,p.49)

データ解析で最も重要なことは、「データを適切に処理し、適切な解釈をする」ことです。
そのための手順は決まっており、作業途中の各段階ごとの概念を理解することが大切です。
(同2019,pp.50-51、要約)

  1. 仮説を立てる
    ・帰無仮説:無に帰したい仮説(あってほしくない仮説)
    ・対立仮説:本当に証明したい仮説(あってほしい仮説)
  2. 有意水準を設定する
  3. P値を計算する
  4. 帰無仮説を棄却する
  5. 対立仮説を採択する

1)仮説を立てる

帰無仮説(H0):「無に帰したい仮説(あってほしくない仮説)」
対立仮説(H1):「本当に証明したい仮説(あってほしい仮説)」

・対立仮説の設定:

「A群とB群で差がある」ことを証明したいと考えても、
実際には、「A群とB群で差がある」ことを証明するのは、なかなか難しいものです。

・帰無仮説の設定:

そこで、一旦、「A群とB群で差がない」とする仮説(帰無仮説)を立てます。
そして、この仮説が否定(棄却)されれば、「A群とB群で差がある」と結論付けます。

2)有意水準を設定する(例えばα = 0.05)

「有意水準」とは、「有意かどうかを判定する水準(ボーダーライン)」のことです。

つまり、「有意である/有意でない」かは、有意水準をどこに設定するかで決まってきます。
したがって、有意水準は、「P値」を出力する前に事前に定めておく必要があります。
もしそうでないならば、後で結論を操作することが可能となるからです。

実際の有意水準は、P3(第3相)試験などでは、両側5%検定と定められています(ICHガイドライン)。
(しかも、片側検定では、2.5%(5.0%の半分)とすることも明記されている
したがって、αエラー(第一種の過誤)は、両側5%に設定しておけば間違いありません。

なお、αエラーとは、「真の薬効がないにもかかわらず、検定で有意になる場合」を意味しており、αエラーの数値を小さく設定するほど、患者の不利益は少なくなります。

これに対して、
βエラー(第二種の過誤)「薬効があるにもかかわらず、薬効がないと結論付ける場合」は、
製薬メーカーにとって不利益なエラーと言えます。
βエラー(第二種の過誤)は、試験によって異なりますが、20~10%くらいに設定されることが多いようです。

「あ(α)わてん坊のエラー、ぼ(β)んやり者のエラー」(吉田2019,p.53)

(3)P値を計算する

P値のPとは、Probability(確率)のことです。
ここでP値(p value)とは、「(帰無仮説下で)ある結果が偶然発生する確率」(有意確率)のことです。
P値(有意確率)と、事前に定義しておいた有意水準(例えばα = 0.05)を比較することで、検定が統計的に有意かどうかを判定します。

ところで、P値を求めるためには、検定統計量が必要になります。
検定統計量とは、検定を行うために、何らかの計算をして得られる値(統計量)のことです。
なお、検定統計量は、検定の手法ごとに異なります。

P値は、検定統計量から手計算と統計数値表(例えばt表など)を使って、求めることができる場合もあります。
ただし、通常は、統計解析ソフト(コンピューター)が、検定統計量の選択も含めて、全て自動で行ってくれます。

(4)帰無仮説を棄却する

有意水準(例えばα = 0.05)と、P値(有意確率)を比較します。

有意差有り:P値≦0.05
P値(ある結果が偶然発生する確率)が、有意水準(α = 0.05)より小さい場合、有意差有りとします。
つまり、「A群とB群で差がない」(帰無仮説)と仮定したことが間違っていた、と判断して帰無仮説を棄却します。

有意差無し:P値>0.05
P値(ある結果が偶然発生する確率)が、有意水準(α = 0.05)より大きい場合、有意差無しとします。
つまり、「A群とB群で差があるとは言えない」と結論付けます。
ここで、「差がないことが証明された」とするのは、間違った解釈です。
正しくは、「同じという結論を導くことはできなかった」(有意差があるとは言えない)と結論付けることになります。(既述)

(5)対立仮説を採択する

有意差有りの場合、対立仮説(A群とB群で差がある)を採択します。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

7.検定手法はデータの種類によって異なる(連続変数、カテゴリカル変数など)

7.検定手法はデータの種類によって異なる(連続変数、カテゴリカル変数など)

(1)統計解析手法を決める要素

比較したいデータの種類(アウトカム)ごとに、群の数、対応有り/無し、そして正規性有り/無しを確認すれば、検定の手法は自ずから決まってきます。

  • アウトカムは、通常、連続変数、カテゴリカル変数、そして生存時間に大別します。
  • 群の数は、通常は、2群又は3群以上が大多数です。
  • 対応有り/無しとは、対応のあるデータ(同一のサンプルから得られたデータ)か、または、対応のないデータ(異なるサンプルから得られたデータ)かに分かれます。
  • 正規性有り/無しとは、正規性がある(データが正規分布から得られたと見なせる)場合と、正規性がない場合に分かれます。

対応のあるデータとは、例えば、
A群のベースラインの血圧と、A群の2週間後の血圧を比較する場合などを言います。
対応のないデータとは、例えば、
A群のベースラインの血圧と、B群のベースラインの血圧を比較する場合などを言います。

パラメトリック検定とは、「母集団が数学的に扱える(パラメータで記述できる)特定の分布に従っているという仮定を置いた仮説検定」のことです。(阿部2021,p.133)
注)パラメータ:平均値、分散や標準偏差など。

パラメトリック検定は、あくまでも、”ある分布”を対象としたものです。
したがって、パラメトリック=正規分布に限定されるものではありません。
ただし、「(パラメトリック検定)の多くは、母集団の分布が正規分布の場合です」。(同,p.133)

1)連続変数

  • 要約:ヒストグラム、箱ひげ図、散布図
  • 2群(対応無し):t検定、ウィルコクソンの順位和検定*(マン・ホイットニーのU検定*)
  • 2群(対応有り):対応のあるt検定、ウィルコクソンの符号順位検定*
  • 3群以上(対応無し):分散分析(ANOVA)、クラスカル・ウォリス検定*
  • 3群以上(対応有り):反復測定分散分析、フリードマン検定*
    (*印:ノンパラメトリック検定)

2)カテゴリカル変数

  • 要約:分割表
  • 2群(対応無し):カイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定
  • 2群(対応有り):マクネマー検定
  • 3群以上(対応無し):カイ二乗検定
  • 3群以上(対応有り):コクランのQ検定
    (全てノンパラメトリック検定)

3)生存時間

  • 要約:カプランマイヤー曲線
  • 2群(対応無し):ログランク検定、一般化ウィルコクソン検定
  • 3群以上(対応無し):ログランク検定
    (全てノンパラメトリック検定)

4)(多変量)回帰分析、相関について

  • 目的変数が連続変数:単回帰・重回帰(共分散分析:ANCOVAなど)
  • 目的変数がカテゴリカル変数(2値データ):ロジスティック回帰
  • 目的変数が生存時間データ:Cox比例ハザードモデル
  • (相関について:ピアソンの積率相関係数 r(パラメトリック)、スピアマンの順位相関係数 ρ(ノンパラメトリック))

(2)比較したいデータの種類(アウトカム)/連続変数、カテゴリカル変数、そして生存時間など

統計においては、対象となるデータが、連続変数なのかカテゴリカル変数なのか、あるいは、それ以外なのかを把握することがまず第一に重要です。

吉田2019「検定を選択する際のポイント」(p.95)では、アウトカム(比較したいデータ)を、次の3つに分類しています。
つまり、連続変数、カテゴリカル変数、そして生存時間です。
なお、カテゴリカル変数に属する順序尺度(下記)に関しては、そもそも「順序尺度でデータを取らない工夫」をした方がいいかな、とのこと。(吉田さんコメント)

神田2020「EZR(Easy R)のオフィシャル解説書」では、統計解析の対象を、次の3つに大別しています。
つまり、名義変数、連続変数、そして生存期間です。

また、「扱うデータの種類によって統計解析手法が異なる」(神田2020,p.6)として、扱うデータの種類を、次の3つに分類しています。
つまり、二値変数、連続変数、そして生存期間です。
ここで、名義変数には順序の関係がなく、性別(男・女)や判断(有効・無効)などのように二値だけを持つ場合を、特に二値変数としています。

要するに、EZRによる分類も、カテゴリカル変数(名義変数=>二値変数)、連続変数、そして生存期間の3分類と理解されます。(注:順序尺度は対象とされていない)

  • 扱うデータの種類によって統計解析手法が異なる(神田2020,p.6)
  • 検定を選択する際のポイント(吉田2019,p.95)
    対応の有無、アウトカム、正規性とは、群の数
  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

4.正規分布と95%信頼区間(点推定から区間推定へ)

4.正規分布と95%信頼区間(点推定から区間推定へ)

連続変数の要約統計量として、最も一般的なのは、平均値(点推定値)です。
この点推定値に対して、ある一定の幅を持たせて考えようとするのが、95%信頼区間(区間推定値)になります。
そして、この95%信頼区間を考える上では、正規分布の理解が欠かせません。

(1)正規分布(統計で最も重要な分布)

正規分布は、統計にとって最も重要な分布(確率分布)です。
身長や体重など世の中のデータの多くが、正規分布に従うとされています。
そこで、正規分布は、95%信頼区間や統計的検定を考える基礎になっています。

1)正規分布のグラフの特徴は、以下のとおりです。

正規分布(Normal distribution)の位置と形は、平均値(μ)と分散(σ^2)で決まります。
そこで、正規分布のことを、 N(μ, σ^2)と書きます。

  • 平均値(μ)を中心にして、左右対称の釣り鐘型である。
    (平均値、中央値、そして最頻値は等しい)
  • 平均値(μ)は曲線の位置を定める、標準偏差(σ)は曲線の形を定める。
  • 平均値 ± SD(標準偏差) ⇒ 約68.27%のデータが含まれる。
    平均値 ± 2 SD(標準偏差) ⇒ 約95.45%のデータが含まれる。
    平均値 ± 3 SD(標準偏差) ⇒ 約99.73%のデータが含まれる。

以上(そして正規分布表)から、
全体の95%のデータが含まれる範囲は、
「平均値 ± 1.96×標準偏差( SD)」であることが分かります。
(参考:99%の場合、「平均値 ± 2.576×標準偏差( SD)」となる)

2)標準正規分布を考える

「平均μ、標準偏差σの正規分布N(μ, σ^2)に従う変量xに、
          Z=(x-μ)/σ
という変換を施すと、Zの平均は0, 分散は1となり、そのうえやはり正規分布に従う。これを、N(0, 1)と書き、標準正規分布という」。(実務1965,pp.216-217、英数字の表記を少し変更した箇所有り)

Z(スコア)=(x-μ)/σ ⇒ 《偏差》/《標準偏差》になります。
(偏差とは、「個々のデータと平均値との差」のこと)

Zスコアという概念を導入することによって、どのような平均値(μ)と分散(σ^2)を持つ正規分布であっても、標準正規分布N(0, 1)というただ一つの正規分布に変換することができます。

(2)母平均の95%信頼区間を算出する

統計の役割の一つは、母集団を推定することです。
このとき、母集団全体を扱うのは現実的ではないので、まずは、母集団の一部を抽出して標本とします。
この標本から母集団を推定するには、データを適切に処理して、適切な解釈をすることが大切です。

1)標本平均はバラつく(分布する)

標本の平均値と母集団の平均値とは、直感的には同一の値を取ると期待されます。
ただし、標本はあくまでも母集団の一部です。
両者は、完全に同一の集団ではないので、母集団と標本の平均値同士が一致することは、まずあり得ません。

そこで、標本平均(点推定値)にある幅を持たせて計算をして、母平均μ(真値)はその幅の中に含まれているはずだ、とする考え方が出てきます。
これが、母平均の95%信頼区間(区間推定値)の考え方です。

例えば、母集団から標本の抽出を何回も繰り返すと、その都度、異なった標本平均が得られます。
それらの標本平均は、もちろん母平均とも一致することなく、母平均の周りにバラつく(分布する)と考えられます。
この標本平均が分布する範囲から、母平均の95%信頼区間(区間推定値)を推定することができます。

2)標本平均のバラつき指標を求める(標準偏差(SD)から標準誤差(SE)を算出する)

正規分布を仮定したとき、
平均値からのバラつきの大きさ(分布の広がり)を示す値が、〈標準偏差〉です。

そこで、《「標本」平均》の分布が、正規分布に従うと仮定した場合、
《「標本」平均》からのバラつきの大きさ(分布の広がり)を示す値として、《「標本」平均》の〈標準偏差〉を考えることができます。

一般的に、この「標本平均の標準偏差」のことを、「標準誤差(SE)」と言っています。

標準誤差(SE)=標準偏差(SD)/√データ数(n)
つまり、標準誤差は、標準偏差をデータ数のルートで割って求めます。
(SD:
標準偏差、standard deviation ⇔ SE:標準誤差、standard error)

「標準誤差」も要約統計量(記述統計量)の一つです。

3)母平均の95%信頼区間の意義:

母集団全体の95%のデータが含まれる範囲は、「平均値 ± 1.96×標準偏差( SD)」です。(既述)
これと同様に考えて、
母平均の95%信頼区間は、「標本平均 ± 1.96×標準誤差(SE)」となります。

これは、100個の信頼区間のうち5個は、信頼区間の範囲内に母平均が含まれない、ことを意味しています。
(注:標本の抽出を100回繰り返すと仮定する。信頼区間 ⇒ 母平均の95%信頼区間のこと)

参考)実務1965,100個の95%信頼区間p.269

なお、ここで「母平均が、95%の”確率”で推定した信頼区間に含まれる」とするのは間違いです。

ところで、P値を見なくても、95%信頼区間を見ただけで、有意かどうかを判断できます。
95%信頼区間が、帰無仮説で設定した数値をまたいでいなければ、有意差があると判断されます。
例えば、t検定(2群の連続変数の比較)では、ゼロをまたいでいなければ、有意差有りとされます。

4)中心極限定理と正規分布

中心極限定理は、正規分布の重要性を証明する基本的な定理です。

「確率変数(連続量でも離散量でもよい)Xiが、母平均μ、母分散σ^2をもつある分布に従うとき、これから無作為に抽出した大きさnの標本平均Xの分布は、nが大きくなるにつれて、平均μ、分散σ^2/nの正規分布に近づく」。(実務1965,p.237)

「もとの母集団の分布が何であっても、標本の大きさnがある程度以上大きければ、標本平均Xの分布はいつも正規分布に近似できる、という定理は、正規分布の重要性をきわだたせている」。(同,p.238)

「もとの分布が正規型であれば、標本平均Xの分布はnのいかんにかかわらず正規型である。また、元の母集団が、正規型からあまりはずれていなければn=10程度で、標本平均Xの分布はほぼ正規型になる。なお、指数分布とよばれる著しく非対称な分布からでも、n=50以上になると、標本平均Xの分布はほぼ正規型になると考えてよいことが知られている」。(同,p.238)

以上、引用にあたって、英数字の表記を少し変更した箇所があります。

  • 吉田寛輝著『いちばんやさしい医療統計』アトムス社(2019年)
  • 神田善伸著『EZRでやさしく学ぶ統計学』中外医学社(2020年)
  • 阿部真人著『統計学入門』ソシム社(2021年)
  • 文部省認定社会通信教育『現代統計実務講座 テキスト1』実務教育研究所(1965年)

3.要約統計量とは(平均値、中央値や標準偏差など)

3.要約統計量とは(平均値、中央値や標準偏差など)

【重要】統計の役割には、大きく分けて2つあります。
それは、データの特徴をつかむことと、母集団を推定することです。
要約統計量は、データの特徴をつかむために使用します(記述統計)。
(母集団を推定することは、推測統計に属します)
⇒ 推測統計:統計的検定とは(標本から母集団を推定する)

(1)要約統計量とは

要約統計量とは、データの特徴を分かりやすく表現するために、何らかの計算をして得られる値のことです。
ここで、要約とは、より簡単に分かりやすく表現する(記述する)ことを言います。
そして、統計量とは、データに対して、何らかの計算をして得られる値のことです。
(阿部2021,p.48、要約)

要約統計量の代表的なものとして、平均値(連続変数の場合)があります。
平均値を出したりグラフや表を使って、分かりにくいデータを分かりやすくすることを、記述統計学と言います。

要約統計量(記述統計量)に含まれる情報量は、非常に多く、決しておろそかにすることはできません。

(2)データの種類と要約統計量

1)連続変数:

平均値、標準偏差、標準誤差
中央値、四分位範囲
範囲、95%信頼区間など

2)カテゴリカル変数:
例数、件数、割合(%)など

3)生存時間データ:
中央値、95%信頼区間など

4)カウントデータ:
総件数、一定時間当たりの件数、発生件数など

(3)要約統計量を算出する(データはバラつく)

1)データを見える化する(可視化 => グラフ化)

統計を扱うには、データはバラつくものである、という視点が欠かせません。

データは、ある範囲にバラついて分布しています。
データは、何らかの特徴を持ってバラついています。
このバラつき具合(データの偏りや形など)のことを、分布の特性と言います。

連続変数が1つの場合、データのバラつき具合(分布の特性)を見るには、まずはヒストグラム(縦棒グラフ)を描いてみるのがよいでしょう。
グラフ化することによって、データの偏りや形など(分布の特性)を、視覚的に捉えることができるようになります。
注)2つの連続変数の可視化であれば、散布図があります。

連続変数の場合、代表的な要約統計量としては、平均値と中央値があります。
この二つの要約統計量は、分布の特性(データの偏りや形など)に応じて、以下のように使い分けます。

2)平均値、分散と標準偏差(データが左右ほぼ対称にバラつく場合)

データが、左右ほぼ対称にバラついているとき、
ヒストグラムの形は、左右対称に近い釣り鐘型(身長や体重などの場合)になります。
そして、平均値が、最頻値(ヒストグラムのデータが一番集中している部分)の近くにあります。

データが、左右ほぼ対称にバラついているときは、
まず、分布の中心を表す要約統計量(点推定値)として、平均値を計算します。
さらに、平均値からのバラつきの大きさ(分布の広がり)を示す値として、標準偏差を計算します。
標準偏差も要約統計量の一つであり、平均値に対応するデータのバラつき指標になります。

◎分散(variance)=偏差平方和(偏差の2乗を全て足したもの)/データ数

偏差とは、各データと平均値の差のことです。
偏差を全て足し合わせると、必ずゼロになるので、
バラつき(分散)の計算には、それぞれの偏差の2乗(偏差平方)を用います。
偏差平方を全て足し合わせたものが、偏差平方和です。

◎標準偏差(standard deviation:SD)=√分散

分散は、偏差の2乗を用いて計算しているので、
単位(dimension)をそろえるために、ルート(正の平方根)をとります。

3)中央値、四分位範囲(データが左右どちらかに極端に偏る場合)

データのバラつき具合が、左右対称から極端に外れる場合、
例えば、勤労者世帯の平均貯蓄額などでは、ヒストグラムを描くと、「値がゼロ(貯蓄額ゼロ)」の世帯(左端の数)が最も多く、そこから順に貯蓄額の多い方(右端)に向って、世帯数が減少していく様子がよく分かります。

こうした場合、平均値は、一部の富裕層の貯蓄額(外れ値)に引っ張られて、実態よりも大きな額になってしまっています。
実態をできる限り正確に把握するには、中央値(真ん中の値)も一緒に算出することです。
中央値(真ん中の値)は、外れ値の影響を受けることなく、常に全てのデータの真ん中を示してくれます。

データのバラつき具合が、左右対称から極端に外れる場合は、
まず、分布の中心を表す要約統計量(点推定値)として、平均値ではなく中央値を選びます。
さらに、中央値からのバラつきの大きさ(分布の広がり)を示す値として、四分位範囲を求めます。
四分位範囲も要約統計量の一つであり、中央値に対応するデータのバラつき指標になります。

中央値:データを大小の順番にならべたときの真ん中の値(第2四分位数)のこと。
四分位範囲:(interquartile range:IQR)
「データの25%点」(第1四分位数)と「データの75%点」(第3四分位数)の範囲。
つまり、全データの50%が含まれる範囲のことであり、必ず中央値を含んでいる。

参考)血液検査(AST、ALT)などでは、少数例で非常に高い数値を示すことがあり、分布が右に裾を引く場合がある。

→ヒストグラムに加えて、箱ひげ図も作成するとよい。
→「外れ値の取り扱い方」詳細有り。

注)以下のような組み合わせはあり得ない。

・平均値と四分位範囲
・中央値と標準偏差(SD)

つまり、平均値(点推定値)と標準偏差(その分布の広がり)がセットになります。
また、中央値(点推定値)と四分位範囲(その分布の広がり)がセットになります。

注)カテゴリカル変数、生存時間データ、そして、カウントデータについては、別途まとめる。

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2.データの種類(連続変数、カテゴリカル変数とは)

2.データの種類(連続変数、カテゴリカル変数とは)

データの種類と尺度との関係について、以下にてまとめてみます。

尺度とは、それぞれのデータを、それらの値が持つ性質で整理したものを言います。
尺度は、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、そして比尺度の4つの尺度水準に分けられます。

(1)連続変数(数量的データ)

連続変数(数量的データ)とは、カテゴリカル変数(質的データ)と対比する用語。
連続変数は、データ上のどこであっても、その間隔は同じ意味を持つ。

1)比尺度(比率尺度、比例尺度:ratio scale)

名義性〇、順序性〇、等間隔性〇、等比性〇
名義尺度、順序尺度、間隔尺度の性質に加えて、等比性の性質も併せ持つ尺度のこと。
価格、距離、身長、体重など

間隔尺度(同じ連続変数に属する)とは異なり、絶対原点が存在する尺度である。
したがって、尺度間の比には、なんらかの意味が存在する。(例:距離 / 時間 = 速度)

2)間隔尺度(interval scale)

名義性〇、順序性〇、等間隔性〇、等比性×
名義尺度、順序尺度の性質に加えて、等間隔性の性質も併せ持つ尺度のこと。
体温、気温、年号、年齢、点数など

比尺度(同じく連続変数に属する)と同様に、等間隔性を持つ。
例えば、温度で0℃、1℃、2℃には大小関係(順序性)があり、かつ等間隔でもある。

しかしながら、比尺度とは異なり、絶対原点は存在しない。
例えば、摂氏と華氏の2種類の温度単位があるように、原点と単位の大きさの取り方は自由である。
(比尺度の場合とは異なり、間隔尺度同士の掛け算や割り算は、意味をなさない)

(2)カテゴリカル変数(質的データ)

カテゴリカル変数(質的データ)とは、連続変数(数量的データ)と対比する用語。
カテゴリカル変数は、そのデータが数値であったとしても、それらの数値の間隔には意味を持たない。

3)順序尺度(ordinal scale)

名義性〇、順序性〇、等間隔性×、等比性×
名義尺度に加えて、順序性の性質も併せ持つ尺度のこと。
等級、順位、営業成績など

アンケート調査を点数化(例えば、1点から5点まで)したものなど、順序(順番)や大小(順序性)に意味はあるものの、その間隔に意味はない(等間隔とは言えない)尺度のことをいう。

4)名義尺度(nominal scale )

名義性〇、順序性×、等間隔性×、等比性×
名義性の性質のみを持つ尺度のこと。
性別、職業、血液型、居住地など

性別(男女の別)、疾患の有無、あるいは検査の陽性・陰性のように、他と区別するためだけの意味を持つ名前や数のことをいう。

参考)データの種類
https://gmo-research.jp/research-column/multivariate-analysis
量(比率尺度、間隔尺度)、質(順序尺度、名義尺度)

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1.母集団と標本(全体から一部を抽出して推定する)

1.母集団と標本(全体から一部を抽出して推定する)

統計では、様々なデータを取り扱いながら、各種のデータ分析を行います。

ここで、データとは、興味のある対象に関わる情報のことです。
つまり、何の目的もなく、ただやみくもに集めたデータでは、何の意味もありません。
データとは、目的に沿って集めるものです。

ところで、医療統計においては、一般的に、全数調査を行うことはまずありません。

例えば、高血圧症患者を対象とした場合、全ての高血圧症患者を臨床試験や臨床研究に集めることは不可能です。
そこで、全体(母集団)から〈抽出〉した標本(一部の患者)を使って、全体(母集団)を〈推定〉するというやり方が取られます。

ある母集団(この場合、あらゆる高血圧患者)が持っている特徴を、その母集団から抽出した標本(治験患者など)に基づいて明らかにしようということです。

このとき、目的に沿ったデータを集めるためには、事前の計画が大切になります。
例えば、同じ高血圧症とはいっても、糖尿病合併の患者が対象であれば、それに応じた患者さんを集めることになります。

こうしたやり方が理解できれば、医薬研究の論文を、より正確に読むことができるようになります。
つまり、
その試験では、母集団はどのような患者を想定しており、標本はどのような患者を抽出したデータなのかを考えて、試験の評価をすることができるようになります。

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