消化管運動機能改善薬(ナウゼリンなど)

2020年11月17日

消化管運動機能改善薬+消化酵素(概要)

制吐薬としては、ドンペリドンとメトクロプラミド(いずれもドパミン受容体拮抗薬)がある。

この中で、メトクロプラミドは脳まで届くため、錐体外路症状(パーキンソン症候群)が出現しやすい。
メトクロプラミドは、腎機能低下の影響を受けやすい薬物でもある。
したがって、高齢者では「可能な限り使用を控えること」とされている。

  • アセチルコリン作動薬:副交感神経を刺激し、消化管運動と消化液分泌を促進する。
  • ドパミン受容体拮抗薬:ドパミンのD2受容体への結合拮抗作用によりアセチルコリンの遊離を促進する。制吐作用を示す。
  • オピアト作動薬:オピオイド受容体に作用し、消化管運動調律作用を示す。
  • セロトニン(5-HT4)受容体作動薬:セロトニン(5-HT4)受容体を刺激し、アセチルコリン作動性を示す。
  • アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:アセチルコリン量を増やし胃運動を促進する。
  • 健胃薬:いわゆる胃ぐすり、消化酵素、制酸薬、生薬などの合剤、胃の不定愁訴をとり、食欲を増進させる。

以上参照:「今日の治療薬2020」p.764

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(抗コリン薬)

高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015に列挙されている抗コリン作用のある薬剤、Anticholinergic risk scale にstrongとして列挙されている薬剤およびBeers criteria 2015のDrugs with  Strong Anticholinergic Propertiesに列挙されている薬剤のうち日本国内で使用可能な薬剤に限定して作成。

  • 抗コリン作用を有する薬物のリストとして表にまとめた。
    列挙されている薬剤が投与されている場合は中止・減量を考慮することが望ましい。
  • 抗コリン系薬剤の多くは急な中止により離脱症状が発現するリスクがあることにも留意する。
  • 抗コリン作用を有する薬剤は、口渇、便秘の他に中枢神経系への有害事象として認知機能低下やせん妄などを引き起こすことがあるので注意が必要である。
  • 認知機能障害の発現に関しては、ベースラインの認知機能、電解質異常や合併症、さらには併用薬の影響など複数の要因が関係するが、特に抗コリン作用は単独の薬剤の作用ではなく服用薬剤の総コリン負荷が重要とされ、有害事象のリスクを示す指標としてAnticholi-nergic risk scale(ARS)などが用いられることがある。

【制吐薬】

  • プロクロルペラジン[ノバミン]、メトクロプラミド[プリンペラン]

別表2.その他の特に慎重な投与を要する薬物のリスト【制吐薬】

  • メトクロプラミド[プリンペラン]、プロクロルペラジン[ノバミン]、プロメタジン[ヒベルナ、ピレチア]
  • ドパミン受容体遮断作用により、パーキンソン症状の出現・悪化が起きやすい。
  • 可能な限り使用を控える。

(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2005(日本老年医学会)、高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015(日本老年医学会)より改変引用)

医薬品各種(消化管運動機能改善薬)

定常状態のある薬物とない薬物がある。(どんぐり2019,p.236)

ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)

ドパミン受容体拮抗薬:
「ベンズイミダゾロン系消化管運動改善薬。メトクロプラミド類似(血液-脳関門は通過しにくい」。上部消化管並びにCTZに作用し、抗ドパミン作用にて効果発現。胃腸運動も促進」。(今日の治療薬2020,p.782)

1回10mg、1日3回食前投与。
8時間ごと投与/半減期10.3時間=0.78⇒定常状態あり

プリンペラン(一般名:メトクロプラミド)

ドパミン受容体拮抗薬:
「消化管運動調節。中枢性・末梢性嘔吐のいずれにも制吐作用。長期連用で錐体外路症状が出現することあり」。(今日の治療薬2020,p.781)

抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)

1日10~30mg、食前2~3回分服。
8時間ごと投与/半減期5.4時間=1.48⇒定常状態あり
12時間ごと投与/半減期5.4時間=2.22⇒定常状態あり

メトクロプラミドの用法・用量を考える

(どんぐり2019,pp.160,260-263)

80歳女性。
数日前から吐き気あり、近医にて処方あり。
メトクロプラミド錠5mg、1回2錠、1日3回毎食前、10日分。
(そのほか服用薬なし)

「【用法・用量】:メトクロプラミドとして、通常成人1日7.67~23.04mg(塩酸メトクロプラミドとして10~30mg、2~6錠)を2~3回に分割し、食前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」。(プリンペラン錠添付文書)

通常成人量の最大量(1日30mg)が処方されている。

「高齢者への投与:本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること」。(プリンペラン錠添付文書)

高齢者では、腎機能に注意しながら慎重に投与すること、となっている。

「【薬物動態】1.血漿中濃度(外国人データ):
健康成人にメトクロプラミド20mgを経口投与した場合、消化管より速やかに吸収され約1時間後に最高血漿中濃度(54ng/mL)に達し、消失半減期4.7時間で減少した。健康成人にメトクロプラミド10mgを静脈内投与した場合、二相性に消失しβ 相の半減期は5.4時間であった」。(プリンペラン錠添付文書)

投与間隔8時間/消失半減期4.7時間
=1.7<3.0 ⇒ 定常状態有り
定常状態に達するまでの時間
=4.7×5 ⇒ 23.5時間

丸1日で定常状態に達すると考えられる。
ただし、投与後約1時間で最高血漿中濃度に達することから、頓用でも有効かもしれない。
しかしながら、添付文書上には頓用に関して何ら記載は無い。

副作用回避のため、ドンペリドンヘの変更を提案する。

腎機能低下時の用法・用量

「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
尿中排泄率(20~30%)、ESKDでのクリアランス(-66%)、ESKDの用量(1/4に減量)
参照(デュロキセチンと尿毒素の蓄積)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))

  • CCr(40mg/dL以上)、常用量
    1日10~30mgを分2~3、食前
  • CCr(40mg/dL未満)
    1日5~15mgを分1~2(Up to Date)総CLが健常者の30%に低下するという報告がある(Eur J Clin Pharmacol 19:437-441,1981)

ガナトン(一般名:イトプリド)

ドパミン受容体拮抗薬:
「抗ドパミンD2(制吐作用)作用、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用。相互作用少ない」。(今日の治療薬2020,p.782)

1回50mg、1日3回食前投与。
8時間ごと投与/半減期5.77時間=1.39⇒定常状態あり

ガスモチン(一般名:モサプリド)

セロトニン(5-HT4)受容体作動薬:
「5-HT4受容体刺激による消化管運動機能改善薬」。(今日の治療薬2020,p.783)

1回5mg、1日3回食前又は食後投与。
8時間ごと投与/半減期2.0時間=4.0⇒定常状態なし

セレキノン(一般名:トリメプチン)

オピアト作動薬:
「胃・腸運動調律作用。胃腸両方に作用。末梢性鎮吐作用」。(今日の治療薬2020,p.782)

1回100mg、1日3回投与。
8時間ごと投与/半減期2時間=4.0⇒定常状態なし

アコファイド(一般名:アコチアミド)

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:
「唯一の機能性ディスペプシア治療薬。アセチルコリン量を増やし、副交感神経の刺激を強め胃運動を活発化する」。(今日の治療薬2020,p.783)

1回100mg、1日3回食前投与。
8時間ごと投与/半減期13.31時間=0.60⇒定常状態あり

S・M配合散

健胃薬

つくしA・M配合散

健胃薬

タフマックE

消化酵素配合剤

ベリチーム

消化酵素配合剤

エクセラーゼ

消化酵素配合剤

ノバミン(一般名:プロクロルペラジン)

⇒「抗精神病薬(統合失調症治療薬など)」
抗コリン作用、制吐作用有り。

ピレチア、ヒベルナ(一般名:プロメタジン)

⇒「ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第一世代)」
抗コリン作用、制吐作用有り。

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1)サリドマイド事件全般について、以下で概要をまとめています。
サリドマイド事件のあらまし(概要)
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2016年11月5日(第2版発行)
2019年10月12日(第3版発行)
2020年05月20日(第4版発行)

本書は、『サリドマイド胎芽症診療ガイド2017』で参考書籍の一つに挙げられています。

Web管理人

山本明正(やまもと・あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社 入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2020年4月(令和2)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)