免疫調節薬(ペンタサ、アサコールなど)

免疫調節薬(概要)

炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)
一般的には、原因不明の「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2つを指す。
共に比較的若年に発症し、10歳代後半から30歳代前半に好発する。
治療薬は、従来の炎症抑制を主体としたものから、2000年以降、免疫抑制を主体としたものに変化している。

潰瘍性大腸炎(UC:ulcerative colitis):
大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患である。
病変は直腸から連続的に、そして上行性に広がる(最大で直腸から結腸全体まで)。
持続性または反復性の血性下痢で、腹痛や頻回の便意を伴う。
クローン病(CD:crohn’s disease):
病変は口腔から肛門まで消化管のどの部位にも生じる可能性がある。

5-ASA製剤が、軽症~中等症の潰瘍性大腸炎に対する寛解導入、寛解維持の第一選択薬として用いられる。

「(潰瘍性大腸炎(UC)では)重症度と罹患範囲に応じて薬剤を選択する。軽症~中等症の活動期潰瘍性大腸炎の寛解導入では5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(SASP、メサラジン)を用いる」。(今日の治療薬2020,p.318)

メサラジンは、内服することによって、通常は小腸で吸収されてしまう。
これを、大腸まで届けるため、各薬剤で製剤的特徴を凝らしている。
このドラッグ・デリバリー・システム(Drug Delivery System:DDS)の違いによって、適応症に差が出てくる。

潰瘍性大腸炎は、ペンタサやアサコールの服用で9割近くが寛解を維持できる。
ただし、飲み忘れなどがあると、その効果は4割程度にまで落ち込んでしまう。

免疫調節薬では、炎症性腸疾患のほかに、関節リウマチや乾癬などが治療対象となる。

医薬品各種(免疫調節薬)

疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs:Disease Modifying Anti-Rheumatic Drugs)

ペンタサ(一般名:メサラジン、5-ASA)

免疫調節薬:
「5-ASAをエチルセルロースでコーティング。小腸から大腸にかけて徐々に5-ASAを放出」。(今日の治療薬2020,p.325)

有効成分のメサラジンを、エチルセルロースでコーティングした放出調整製剤である。
つまり、コーティングの小さな穴から薬が徐々に放出されていく仕組みになっている。

小腸から回腸・大腸にかけて広い範囲で作用する。
小腸に病変のあるクローン病にも効果がある。

【共通】潰瘍性大腸炎(重症を除く)
【内服のみ】クローン病
通常、成人にはメサラジンとして1日1,500mgを3回に分けて食後経口投与する。

かんだり砕いたりしないこと(ペンタサは、2分割までは可)。

ペンタサ:顆粒(94%、250mg/包、500mg/包、1,000mg/包、2,000mg/包)
ペンタサ:錠(250mg、500mg)
ペンタサ:注腸液(1g/100mL)
ペンタサ:坐剤(1g)

アサコール(一般名:メサラジン、5-ASA)

免疫調節薬:
「pH依存性(pH7.0以上でコーディングが崩壊)に大腸で5-ASAを放出」。(今日の治療薬2020,p.326)

有効成分のメサラジンを、pH7.0以上で崩壊する皮膜で包んでいる。
つまり、pH酸性に傾いている胃内では崩壊せず、pH7以上になる回腸・大腸に達してはじめて崩壊する仕組みになっている。

大腸に高濃度のメサラジンを届けることができる。
かまずに服用、粉砕も不可。

○潰瘍性大腸炎(重症を除く)
通常,成人にはメサラジンとして1日2,400mgを3回に分けて食後経口投与する。

アサコール:錠(400mg)

リアルダ(一般名:メサラジン、5-ASA)

免疫調節薬:
「pH依存性コーティング及び親水性・親油性基剤によって5-ASAを大腸で徐々に放出」。(今日の治療薬2020,p.326)

アサコールに準ずる。
高用量製剤となっており、1日1回の服用で済む。

○潰瘍性大腸炎(重症を除く)
通常、成人にはメサラジンとして1日1回2,400mgを食後経口投与する。

リアルダ:錠(1,200mg)

サラゾピリン(一般名:サラゾスルファピリジン、SASP)

免疫調節薬:
「大腸で腸内細菌によってアゾ結合が切断されて5-ASAを放出。副作用に注意」。(今日の治療薬2020,p.325)

潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎
通常1日4~8錠(2~4g)を4~6回に分服する。

サラゾピリン:錠(500mg)
サラゾピリン:坐剤(500mg)

アザルフィジンEN(一般名:サラゾスルファピリジン、SASP)

免疫調節薬(DMARDs):
「わが国の承認用量は海外の半量。ガイドラインで強い推奨」。(今日の治療薬2020,p.324)

○関節リウマチ
本剤は、消炎鎮痛剤などで十分な効果が得られない場合に使用すること。
通常、サラゾスルファピリジンとして成人1日投与量1gを朝食及び夕食後の2回に分割経口投与する。

アザルフィジンEN:腸溶錠(250mg、500mg)

腸溶錠であるため、原則として噛まずに服用すること。

ケアラム(一般名:イグラチモド)

免疫調整薬:
「25mgより漸増することにより肝障害軽減」。(今日の治療薬2021,p.330)

○関節リウマチ

ケアラム:錠(25mg)

リマチル(一般名:ブシラミン)

免疫調節薬(DMARDs):
「わが国発のペニシラミンと同様SH基製剤。安全性から200mg/日以下の投与が推奨」。(今日の治療薬2020,p.324)

○関節リウマチ
本剤は消炎鎮痛剤などで十分な効果が得られない場合に使用すること。
通常成人、1回ブシラミンとして100mgを1日3回(300mg)食後に経口投与する。

リマチル:錠(50mg、100mg)

腎機能低下時の用法・用量(ブシラミン)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日300mgを分3、食後、最大1日300mg
  • CCr(60mg/dL未満)
    禁忌(ネフローゼ症候群等の重篤な腎障害を起こすおそれがある)
  • HD(血液透析)・PD(腹膜透析)
    腎機能の廃絶した透析患者の用量は1回100mgを週3回HD後

シオゾール(一般名:金チオリンゴ酸ナトリウム)

免疫調整薬(DMARDs):
「水溶性金製剤。ときに寛解例あるが、重篤な副作用多く使用は減少」。(今日の治療薬2020,p.322)

○関節リウマチ

オテズラ(一般名:アプレミラスト)

免疫調整薬(PDE4阻害薬):
「主に炎症性細胞に分布するPDE4を阻害することで、炎症性サイトカインの産生を抑制する」。(今日の治療薬2020,p.327)

○局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
○関節症性乾癬
○局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍

腎機能低下時の用法・用量(アプレミラスト)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

胆道疾患治療薬(ウルソなど)

医薬品各種(胆道疾患治療薬)

ウルソ(一般名:ウルソデオキシコール酸)

ウルソデキシコール酸(UDCA)は、胆汁酸の一種である。ヒトの胆汁酸には5種類あり、疎水性で細胞障害性の強いものから親水性で細胞障害性の弱いものまでに分類できる。ウルソデキシコール酸(UDCA)は、その中で最も親水性が高く細胞障害性はほとんどない。

胆汁酸は、肝臓でコレステロールから生合成されるステロイド化合物の一種である。胆汁酸の主な作用は、リパーゼを活性化させ、食事中の脂質とミセルを形成することによって可溶化し、吸収しやすくすることである。

「【作用機序】ウルソデオキシコール酸は胆汁分泌を促進する作用(利胆作用)により胆汁うっ滞を改善する。また、投与されたウルソデオキシコール酸は肝臓において、障害性の強い疎水性胆汁酸と置き換わり、その相対比率を上昇させ、疎水性胆汁酸の肝細胞障害作用を軽減する(置換効果)。さらに、ウルソデオキシコール酸はサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用や肝臓への炎症細胞浸潤抑制作用により肝機能を改善する。そのほか、上記の胆石溶解作用、消化吸収改善作用が知られている」。(ウルソ添付文書)

ウルソデキシコール酸は、腸肝循環を繰り返す。

利胆作用(胆汁うっ滞を改善する)

種々の原因によって肝機能が低下すると、肝内外に胆汁酸が蓄積して細胞障害性が高まり、さらに肝機能を悪化させてしまう。

ここでウルソを投与すると、「胆汁酸を毛細胆管に輸送するトランスポーターの発現を促し、胆汁量を増加させることで胆汁のうっ滞を改善する」。その結果、肝内にあった細胞障害性の高い(疎水性の高い)胆汁酸の排泄を促進する。

置換作用(細胞障害性を低下させる)

ウルソを投与することで、細胞障害性の高い(疎水性の高い)胆汁酸が、細胞障害性のない(親水性の高い)ウルソに置き換わり(UDCAの比率が上昇し)、肝障害が軽減する。

(以上、実践薬学2017,pp.74-78、「」内引用)

免疫抑制薬(メトトレキサート、タクロリムス、シクロスポリンなど)

医薬品各種(免疫抑制薬)

疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs:Disease Modifying Anti-Rheumatic Drugs)

免疫抑制薬の相互作用の概要

未完

リウマトレックス(一般名:メトトレキサート)

免疫抑制薬(DMARDs):
「抗リウマチ薬のアンカードラッグ。5~6日/週の休薬が必須。ガイドラインで強い推奨」。(今日の治療薬2021,p.334)

腎機能低下時の用法・用量(メトトレキサート)

「腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例」(実践薬学2017,p.163)
尿中未変化体排泄率(90%)、減量法の記載無し。
腎障害患者は禁忌。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1)関節リウマチ:6mg/週で開始し、4~8週間経過しても効果不十分であれば8~16mg/週まで増量。1週間あたりの投与量を1~3回に分割し、12時間間隔で1~2日間かけて投与(関節リウマチ治療におけるメトトレキサート診療ガイドライン. 日本リウマチ学会2010)
  • CCr(30~60mg/dL未満)
    低用量から開始し,最初から葉酸の併用が望ましい(関節リウマチ治療におけるメトトレキサート診療ガイドライン. 日本リウマチ学会2010)
  • CCr(30mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(関節リウマチ治療におけるメトトレキサート診療ガイドライン. 日本リウマチ学会2010)

プログラフ(一般名:タクロリムス)

免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬):
「わが国初の薬物。T細胞に特異的に作用し、IL-2などのサイトカイン産生を抑制」。(今日の治療薬2021,p.337)

  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

食後の服用によって、空腹時及び食前の服用と比べて血中濃度が低下する。
柑橘類(CYP3A阻害作用)に注意する。

タクロリムスは、CYP3Aの基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、中等度である。
    CR(CYP3A4)0.66M、(PISCS2021,p.46)、CYP3A4基質薬

タクロリムスの定常状態平均血中濃度を求める

⇒「定常状態における平均血中濃度の推算

(どんぐり2019,p.91)

体重50kg、腎移植後の管理
タクロリムスカプセル1mg、1回3カプセル、1日2回朝夕、30日分

消失半減期(hr)= 7.93±5.16h(hr)
投与間隔/消失半減期=12/8=1.5<3.0⇒定常状態がある

平均血中濃度(Css.ave) = (F×S×Dose/τ)/(Vd×Ke)

バイオアベイラビリティ(F)=20±17.8%[成人腎移植患者9例に0.125~0.24mg/kg経口投与(カプセル)時]
塩係数(S)=0.98(小数点第3位繰上げ)、(H2O=18、(822.03-18)/822.03≒0.978)
1回投与量(Dose)=3mg
投与間隔(τ)=12時間
分布容積(Vd)=1.010±0.382L/kg
消失速度定数(Ke)=0.693/t1/2
=0.693/7.93≒0.087(/hr)

平均血中濃度(Css.ave)
=(0.2×0.98×3mg/12hr)/(1.01L/kg×50kg(体重)×0.087hr)
=0.049/4.3935
=0.0112mg/L⇒11.2ng/mL

単回投与時の最高血中濃度(定常状態の血中濃度ふり幅
=(F×S×Dose)/(Vd)
=(0.2×0.98×3mg)/1.01L/kg×50kg(体重)
=0.588/50.5
=0.0116mg/L⇒11.6ng/mL

定常状態での最高血中濃度(Css.max)
= Css.ave + 1/2×(F×S×Dose)/Vd
=11.2+11.6×1/2
⇒17.0ng/mL

定常状態での最低血中濃度(Css.max)
= Css.ave - 1/2×(F×S×Dose)/Vd
=11.2-11.6×1/2
⇒5.4ng/mL

プログラフの有効血中濃度:
5~20ng/mL
おおむね有効血中濃度の範囲に入っている。

ネオーラル(一般名:シクロスポリン)

免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬):
「T細胞に特異的に作用し、IL-2などのサイトカイン産生を抑制」。(今日の治療薬2021,p.336)

「薬物動態の変化を伴う薬物相互作用2019」/PharmaTribune

シクロスポリンは、CYP2C8阻害薬である(中程度)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

シクロスポリンは、CYP2C9阻害薬である(中程度)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

シクロスポリンは、CYP3A阻害薬である(中程度)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
    (実践薬学2017,pp.146-147)

シクロスポリンは、CYP3A4の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、高度である。
    CR(CYP3A4)0.8S、(PISCS2021,p.46)

シクロスポリンは、P-gp阻害薬である

シクロスポリンは、P糖蛋白(P-gp:排出トランスポーター)阻害薬である。

(P糖蛋白(P-gp)は)小腸の管腔側膜に発現し薬物の吸収を抑制する一方、肝臓の胆管側膜および腎臓の尿細管側膜に発現し、薬物の胆汁排泄・腎排泄を促進する。(主に消化管・脳からの排出に影響)

(P糖蛋白の)阻害により、一般には基質薬物の吸収促進・排泄抑制が起こり、血中濃度の上昇、薬効・副作用の増強が起こると考えられる。一方、脳内への移行抑制にも働ことから、その阻害は、薬物の脳内移行を上昇させる可能性がある。

シクロスポリンは、OATP1B1阻害薬である

シクロスポリンは、OATP1B1(取り込みトランスポーター)阻害薬である。
相互作用を受ける薬物(OATP1B1の基質):スタチン系薬物など。p.98

OATP1B1は肝臓の血管側膜に発現し、薬物の肝臓への取り込みを促進する。OATP1B1が阻害されると、一般に基質薬物の血中濃度の上昇、薬効・副作用の増強が起こると考えられる。

スタチン系薬は、OATP1B1の基質である。つまり、スタチン系薬はOATP1B1によって肝臓に取り込まれてその作用を発揮する。そこで両者が併用されていると、シクロスポリンのOATP1B1阻害作用によって、スタチン系薬が肝臓に取り込まれなくなる。その結果、スタチン系薬の血中濃度が大幅に上昇する。⇒詳細は「ネオーラルと併用できるスタチンはどれ?」pp.80-84

イムランアザニン(一般名:アザチオプリン)

免疫抑制薬[代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬)]:
「6-MPのプロドラッグ。NUDT15遺伝子型で早期の重症骨髄抑制及び脱毛が予測可能」。(今日の治療薬2021,p.332)

イムラン:錠(50mg)

アロプリノールとの併用で、アザチオプリンの活性代謝物6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼが阻害される。その結果、6-MPの血中濃度が上昇し、重篤な骨髄抑制が起きる可能性がある。(PharmaStyle No.9 June 2021,13)

セルセプト(一般名:ミコフェノール酸)

免疫抑制薬[代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬)]:
「シクロホスファミドと同等の効果を有し、重篤な副作用は少ない。催奇形性のため妊婦には禁忌」。(今日の治療薬2020,p.329)

○腎移植後の難治性拒絶反応の治療
(既存の治療薬が無効又は副作用等のため投与できず、難治性拒
絶反応と診断された場合)
○下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植
○ループス腎炎

腎機能低下時の用法・用量(ミコフェノール酸)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

オルミエント(一般名:バリシチニブ)

免疫抑制薬(JAK阻害薬):
「JAK(1と2)の阻害薬。強力だが安全性情報は不十分。腎排泄性のため腎障害では減量」。(今日の治療薬2020,p.335)

既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)。

腎機能低下時の用法・用量(バリシチニブ)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

薬物間相互作用

グレープフルーツジュースとの飲み合わせ(免疫抑制薬)

⇒「グレープフルーツジュースとCa拮抗薬など(CYP3A阻害)

タクロリムス:CR(CYP3A4)0.66M、(PISCS2021,p.46)
シクロスポリン:CR(CYP3A4)0.8S、(PISCS2021,p.46)

タクロリムスシクロスポリンは、共にCYP3A4基質薬(中程度に影響を受けやすい)である。
グレープフルーツジュースとは、併用注意(併用に注意すること)となっている。

ネオーラル添付文書:
「本剤の血中濃度が上昇することがあるので、本剤服用時は飲食を避けることが望ましい」。

プログラフ添付文書:
「腎障害等の副作用が発現することがある。本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減・休薬等の処置を行う」。

便秘薬(マグミットとプルゼニドなど)

便秘薬の使い分け

便秘薬は、「便秘の原因や併用薬・生活スタイルに合わせて使い分けるのが一般的」である。(児島2017,p.243)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(緩下薬)

便秘の原因となる薬剤を使用している場合は、原因となる薬剤の変更・中止を検討する。水分制限がある疾患でなければ、水分摂取を促し、食物繊維を取り入れた食事療法と適度な運動で改善を図る。(緩下薬)

  • マグネシウム製剤(酸化マグネシウム)は浸透圧下剤として用量調節しやすく、頻用されているが、高齢者は腎機能が低下しており、 高マグネシウム血症に注意が必要である。
  • ルビプロストン[アミティーザ]は、クロライドチャネルアクチベーターであり、血清中電解質に影響なく便をやわらかくさせるため、硬便のため排便困難となっている症状に使用を検討する。
  • ナルデメジン[スインプロイク]は、オピオイド誘発性の難治性便秘であれば使用を検討する。
  • マグネシウム製剤を使用する場合は、低用量から開始し、高用量の使用は避ける。
    定期的に血清マグネシウム値を測定し、高マグネシウム血症の症状である悪心・嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠などの症状がある場合はマグネシウム製剤の中止と受診をすすめる。
  • 刺激性下剤は長期連用により耐性が生じて難治性便秘に発展することがある。
    また、センナなどに含まれるアントラキノン誘導体は大腸運動異常や偽メラノーシスを引き起こす。
    刺激性下剤の使用は頓用にとどめるべきである。
  • マグネシウム製剤は、フルオロキノロン系・テトラサイクリン系抗菌薬などの吸収を低下させるため、これらの薬剤との服用間隔を2時間程度空ける必要がある。

マグミット(一般名:酸化マグネシウム)

腸に水分を集めて便を柔らかくする(やさしい便秘薬)

マグミットは、便が硬くて便秘になっている患者に適する。(以下、マグミット・インタビューフォームから引用)

マグミットは、「腸内において重炭酸塩となり、腸内の浸透圧を高めて腸内腔へ水分を引き寄せ、腸内容物を軟化させるとともに、腸管内容物が膨張し、腸管に拡張刺激を与え、排便を促し、緩下剤としての作用を発揮する」。

マグミットは、「胃内において制酸作用を呈し、その際二酸化炭素を発生しないため刺激が少ないとされる」。

マグミットは、(プルゼニドと比べて)腹痛といった副作用が無く耐性もできにくいことから、やさしい便秘薬とされている。

薬が効き始めるまでの時間にばらつきがある

マグミットが「効きはじめるまでの時間は、早い人で1時間、遅い人で7時間程度と、大きくばらつき」がある。それには、以下のような理由が考えられる。(児島2017,p.244)

  • 効き目に個人差がある
  • 剤形が多い(200mg、250mg、330mg、500mg)

マグミットの併用薬に注意する

次のような薬物と併用されている場合、併用薬の副作用(便秘)ではないかと疑う。(どんぐり2019,pp.34-35)

シタグリプチン
アムロジピン
トリアゾラムなど

マグミットの相互作用

「本剤は吸着作用、制酸作用等を有しているので、他の薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがある」。(以下、マグミット添付文書より引用)

  • テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌剤、ビスホスホン酸塩系骨代謝改善剤
    これらの薬剤の吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、同時に服用させないなど注意すること。
    マグネシウムと難溶性のキレートを形成し、薬剤の吸収が阻害される。
  • セフジニル、セフポドキシム プロキセチル、ミコフェノール酸、モフェチル、デラビルジン、ザルシタビン、ペニシラミン
    これらの薬剤の吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、同時に服用させないなど注意すること。
    機序不明
  • アジスロマイシン、セレコキシブ、ロスバスタチン、ラベプラゾール、ガバペンチン
    これらの薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。
    機序不明
  • ジギタリス製剤、鉄剤、フェキソフェナジン
    これらの薬剤の吸収・排泄に影響を与えることがあるので、服用間隔をあけるなど注意すること。
    マグネシウムの吸着作用又は消化管内・体液のpH上昇によると考えられる。
  • ポリカルボフィルカルシウム
    ポリカルボフィルカルシウムの作用が減弱するおそれがある。
    ポリカルボフィルカルシウムは酸性条件下でカルシウムが脱離して薬効を発揮するが、本剤の胃内pH上昇作用によりカルシウムの脱離が抑制される。
  • 高カリウム血症改善イオン交換樹脂製剤
    これらの薬剤の効果が減弱するおそれがある。
    また、併用によりアルカローシスがあらわれたとの報告がある。
    マグネシウムがこれらの薬剤の陽イオンと交換するためと考えられる。
  • 活性型ビタミンD3製剤
    高マグネシウム血症を起こすおそれがある。
    マグネシウムの消化管吸収及び腎尿細管からの再吸収が促進するためと考えられる
  • 大量の牛乳、カルシウム製剤
    milk-alkali syndrome(高カルシウム血症、高窒素血症、アルカローシス等)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
    機序:代謝性アルカローシスが持続することにより、尿細管でのカルシウム再吸収が増加する。
    危険因子:高カルシウム血症、代謝性アルカローシス、腎機能障害のある患者
  • ミソプロストール
    下痢が発現しやすくなる。
    ミソプロストールは小腸の蠕動運動を亢進させ、小腸からの水・Naの吸収を阻害し、下痢を生じさせる。
    本剤には緩下作用があるので、両者の併用で下痢が発現しやすくなる

高マグネシウム血症にも注意する

重要な基本的注意:

本剤の投与により、高マグネシウム血症があらわれることがある。特に、便秘症の患者では、腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても、重篤な転帰をたどる例が報告されているので、以下の点に留意すること。(「4.副作用 1)重大な副作用」の項参照)

1)必要最小限の使用にとどめること。
2)長期投与又は高齢者へ投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど特に注意すること。
3)嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、直ちに受診するよう患者に指導すること。

プルゼニド(一般名:センノシド)

腸に刺激を与えて蠕動運動を活発にさせる(大腸刺激性下剤)

プルゼニドは、腸の動きが弱っていることが原因で便秘になっている患者に適する。(以下、プルゼニド・インタビューフォームから引用)

「プルゼニド錠12㎎はセンノシドA・Bを主成分とする緩下剤であり、大腸粘膜下のアウエルバッハ神経叢を刺激して蠕動を亢進し、排便を促す」。

注)「センナは、古くから緩下剤として知られた生薬であったが、1941 年 Stoll,A らサンドファーマ社(現:ノバルティスファーマ社、スイス)によって主成分センノシド A・B が分離抽出された」。

プルゼニドは、「腸管運動を促進することにより腹痛、悪心・嘔吐、腹鳴等が現れることがある」。

プルゼニドは、「連用による耐性の増大等のため効果が減弱し、薬剤に頼りがちになることがあるので長期連用を避けること。

(解説)
常習便秘の患者では下剤を長期服用する場合が多く、用量が増加する傾向がみられる。下剤は適用量より多量に使用されると腸管が痙攣し、逆に排便不十分となりさらに増量して下痢を起こすようになる。これは、特に本剤等のアントラキノン系下剤の長期投与で多くみられるとされている」。

プルゼニド錠で一番多い副作用は腹痛である。
また、長期服用による耐性が問題となることから、頓用での服用が望ましい。

プルゼニドの効きはじめは予測しやすい

プルゼニドは、「用量にかかわらず8~10時間で効きはじめる」。
そこで、翌朝の排便を期待するならば、前日寝る前に服用しておく、といったように効きはじめから逆算した飲み方が可能である。(児島2017,p.245)

プルゼニドの相互作用

プルゼニドでは、特に相互作用が問題となる薬物は無い。

医薬品各種(便秘薬)

マグミット(一般名:酸化マグネシウム)

浸透圧性下剤(塩類下剤):
「制酸剤、緩下剤。各種薬剤の配合剤としても使用」。(今日の治療薬,p.799)

腸管内容を軟化し、腸管を刺激する。

【効能・効果】
○下記疾患における制酸作用と症状の改善
胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎
を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわ
ゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)
○便秘症
○尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防

末(96%以上)
細粒(83%)
錠(200mg、250mg、300mg、330mg、400mg、500mg)

プルゼニド(一般名:センノシド)

大腸刺激性下剤:
「腸内細菌の作用でレインアンスロンを生成し大腸の蠕動運動を亢進、よく使用されている」。(今日の治療薬,p.801)

センナ(生薬)から分離抽出されたセンノシドA・Bを主成分とする。

便秘症
センノシドA・Bとして、通常成人1日1回12~24mgを就寝前に経口投与する。

錠(12mg)

アローゼン(一般名:センナ)

大腸刺激性下剤:
「よく使用されている」。(今日の治療薬,p.801)

【効能・効果】
便秘(ただし、痙攣性便秘は除く)
駆虫剤投与後の下剤

  • アローゼン顆粒(センナ製剤、0.5g、1g)
    通常成人1回0.5~1.0gを1日1~2回経口投与する。
  • ピムロ顆粒(センナ製剤、0.5g)
    通常成人1回0.5~1.0gを1日1~2回経口投与する。
  • ヨーデルS糖衣錠(センナ製剤、80mg)
    センナエキスとして、通常成人1回80㎎を就寝前に経口投与する。

ラキソベロン(一般名:ピコスルファート)

大腸刺激性下剤:
「腸内細菌叢由来のアリルスルファターゼにより発生するジフェノール体の大腸刺粘膜刺激によって下剤作用。液剤は内服量調整に便利」。(今日の治療薬,p.802)

「ピコスルファートナトリウム水和物は、胃、小腸ではほとんど作用せず、大腸細菌叢由来の酵素アリルスルファターゼにより加水分解され、活性型のジフェノール体となる(ラット)。
ジフェノール体は、腸管粘膜への以下の作用により瀉下作用を示す。
1. 腸管蠕動運動の亢進作用(ラット)
2. 水分吸収阻害作用(ラット)」。(ラキソベロン・インタビューフォーム)

アミティーザ(一般名:ルビプロストン)

上皮機能変容薬(クロライドチャネルアクチベーター)。
「腸管内への腸液の分泌を増加させ便を柔軟化、排便を促進」。(今日の治療薬,p.798)

「ルビプロストンは、小腸上皮頂端膜(腸管内腔側)に存在する ClC-2 クロライドチャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高めて排便を促進する。ルビプロストンの作用は腸管局所にて発現し、吸収された後速やかに代謝される」。(アミティーザ・インタビューフォーム)

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
通常、成人にはルビプロストンとして1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。
なお、症状により適宜〈減量〉する。

「承認時における安全性評価対象例(1日48μg投与例)315例中、196例(62%)に臨床検査値異常を含む
副作用が認められました。主な副作用は下痢95例(30%)、悪心73例(23%)等でした」。(アミティーザ総合製品情報概要,p.30)

「副作用の発現率は用量依存的でしたが、薬理作用によると考えられる消化器症状が主で、減量や投与中止による回復がみられました。以上のことから、至適な用法・用量は48μg/日(24μg×2回/日)と考えられました」。(同上,p.13)

カプセル(12μg、24μg)

グーフィス(一般名:エロビキシバット)

胆汁酸トランスポーター阻害薬:
「回腸で胆汁酸の再吸収を阻害。大腸に流入した胆汁酸が大腸管腔内への水分分泌・消化管運動を促進」。(今日の治療薬,p.803)

慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
通常、成人にはエロビキシバットとして10mgを1日1回食前に経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、最高用量は1日15mgとする。

エロビキシバットは、「大腸内に流入する胆汁酸の量を増加させ、排便を促す」。(以下、グーフィス・インタビューフォームから引用)

エロビキシバットは、「胆汁酸の再吸収に係わるトランスポーターであるIBAT(ileal bile acid transporter)を阻害する作用を持つ低分子化合物である」。

エロビキシバットは、「回腸末端部においてIBATを阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸内に流入する胆汁酸の量を増加」させる。

エロビキシバットは、「大腸に流入した胆汁酸により、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用(Dual Action)で排便効果を促す」。

錠(5mg)

新レシカルボン(一般名:炭酸水素ナトリウム/無水リン酸ナトリウム)

大腸刺激性下剤(坐剤):
「腸内で炭酸ガスを発生し蠕動運動を亢進することにより排便を促進」する。(今日の治療薬,p.798)

テレミンソフト(一般名:ビサコジル)

大腸刺激性下剤(坐剤):
「結腸・直腸の粘膜に選択的に作用し、蠕動運動を促進」する。(今日の治療薬,p.798)

グリセリン(一般名:グリセリン)

浣腸剤:

スインプロイク(一般名:ナルデメジン)

オピオイド誘発性便秘症治療薬:
「末梢性μオピオイド受容体拮抗薬」。(今日の治療薬,p.803)