三環系/四環系抗うつ薬(トフラニール、テトラミドなど)

医薬品各種(三環系/四環系抗うつ薬)

三環系抗うつ薬は、第1世代抗ヒスタミン薬のプロメタジンと類似構造(よく似た三環)を持つ。
抗ヒスタミン作用を示し、BBBを通過する。
つまり、眠気がある。
そのほか、抗精神病薬の中にはプロメタジンと同じ三環を持つものがある。
クロルプロマジン、クエチアピンなどである。(実践薬学2017,p.416)

三環系/四環系抗うつ薬は、CYP2D6の基質薬となるものが多い。

慢性疼痛治療に対する使用薬剤:
「慢性疼痛治療ガイドライン2018」頭痛・口腔顔面痛

  • アミトリプチリン:2A(使用することを弱く推奨する)(緊張型頭痛と片頭痛)
  • デュロキセチン、2C(使用することを弱く推奨する)
  • そのほかの抗うつ薬:2D(使用しないことを弱く推奨する)
    アミトリプチリン以外は、積極的適応とはなっていない。

(注:実践薬学2017,p.316「片頭痛の予防薬(グループ別)」は、「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」,p.150(日本頭痛学会)、つまり古い版からの引用である)

⇒「片頭痛、慢性頭痛治療薬(トリプタン系薬など)」

トリプタノール(一般名:アミトリプチリン)

三環系抗うつ薬(TCA):
「鎮静が強く、不安・焦燥や希死念慮が強い場合に用いられる」。(今日の治療薬,p.873)

  • 抗コリン作用リスクスケール、3点。(実践薬学2017,p.115)
  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

トリプタノール添付文書参照

【用法・用量】
〇うつ病・うつ状態:
アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人1日30~75mgを初期用量とし、 1日150mgまで漸増し、分割経口投与する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〇夜尿症:
アミトリプチリン塩酸塩として、1日10~30mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
〇末梢性神経障害性疼痛:
アミトリプチリン塩酸塩として、通常、成人1日10mgを初期用量とし、その後、年齢、症状により適宜増減するが、1日150mgを超えないこと。

アミトリプチリンの適応外使用(不眠症-海外で使用)

適応外処方として、「≪慢性疼痛におけるうつ病・うつ状態。片頭痛、緊張性頭痛≫、慢性疼痛、歯科治療後神経因性疼痛、繊維筋痛症、しびれ」が挙げられている。(今日の治療薬,p.873)

海外においては、睡眠薬としても使用されている。以下のとおりである。

「(アミトリプチリンは)2002年に不眠のために米国で使われた薬剤の相対処方頻度の調査で、トラゾドン、ゾルピデムに続いて第3位にランクインしている(ちなみに4位はミルタザピンで6位はクエチアピン)」。(実践薬学2017,p.41)

「ただし、せん妄のハイリスク患者の場合、GABAa受容体作動薬とともに三環系抗うつ薬のアミトリプチリンも避けておきたい薬剤の1つだ。脳内のアセチルコリン低下はせん妄発症のリスクとなる」。(同上,p.41)

その点、同じく適応外処方ながら、「トラゾドンやミアンセリン、ミルタザピンはGABAa受容体作動薬の代替薬となり得る」。(同上,p.41)⇒(ミアンセリン、下記参照)

⇒「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(レンドルミンなど)」

アミトリプチリンは、CYP2D6の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    アミトリプチリン:CR(CYP2D6)0.58、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、極めて軽度である。
    アミトリプチリン:CR(CYP3A4)0.25VW、(PISCS2021,p.46)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2C19のCRおよびIR値
    アミトリプチリン:CR(CYP2C19)0.28、(PISCS2021,p.55)、CYP2C19基質薬

トフラニール(一般名:イミプラミン)

三環系抗うつ薬(TCA):(今日の治療薬,p.874)

  • 抗コリン作用リスクスケール、3点。(実践薬学2017,p.115)
  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

イミプラミンは、CYP2D6の基質薬(影響を中等度に受けやすい)である

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    イミプラミン:CR(CYP2D6)0.51、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

デシプラミンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    デシプラミン:CR(CYP2D6)0.87、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

なお、デシプラミンは、イミプラミンの活性代謝物である。

アナフラニール(一般名:クロミプラミン)

三環系抗うつ薬(TCA):
「セロトニン再取り込み阻害作用が非常に強い」。(今日の治療薬2020,p.872)

  • 抗コリン作用リスクスケール(実践薬学2017,p.115)にはリストアップされていない。
    しかしながら、添付文書の【禁忌(次の患者には投与しないこと)】では、強い抗コリン作用があることを示している。

注射剤(劇薬)

クロミプラミンは、CYP2D6の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2C19のCRおよびIR値
    クロミプラミン:CR(CYP2C19)0.42、(PISCS2021,p.55)、CYP2C19基質薬

テトラミド(一般名:ミアンセリン)

四環系抗うつ薬:
「心血管系への影響が少ない。鎮静が強く睡眠薬としても使用可」。(今日の治療薬2020,p.875)

  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    S-ミアンセリン:CR(CYP2D6)0.47、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

ミアンセリンの適応外使用(せん妄、不眠症)

「適応症:うつ病・うつ状態。適応外使用:せん妄、不眠症」。(今日の治療薬2020,p.875)

四環系抗うつ薬で、主にノルアドレナリン系神経に作用して抗うつ効果を示すが、その効果は弱い。
一方で、比較的強い鎮静作用を持ち、睡眠薬代わりに使われることが多い。(実践薬学2017,pp.39-40、以下要約)

「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」-出⼝を⾒据えた不眠医療マニュアル-(2013年6⽉25⽇初版、10月22日改訂)⇒適応外処方

うつ病性不眠に対しては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)よりもミアンセリン、トラゾドン、ミルタザピンなどの催眠鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。原発性不眠症に対して抗うつ薬を使⽤することは適応外処⽅であり薦められない。ただし、睡眠薬が奏功せず、抑うつ症状がある患者に対しては催眠・鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。その場合にも、持ち越し効果など副作⽤に留意すべきである。【推奨グレードB】

睡眠障害に使用する場合は、10~30mgを就寝前に用いる。
ただし、持ち越し効果に加え、起立性低血圧による転倒にも注意を要する。

5HT2a受容体遮断作用により睡眠の質を、H1受容体遮断作用により睡眠の量を改善すると考えられる。
特に高齢者の不眠で、BZD系薬を使用するとせん妄や軽度意識障害が誘発されるような場合に適している。

⇒「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(レンドルミンなど)」

ミルタザピンとミアンセリンは、化学構造がよく似ている。ミルタザピン=6位がN(窒素)、ミアンセリン=6位がC(炭素)となっている。ただし半減期は、ミルタザピン(半減期31.7時間)の方がミアンセリン(半減期18時間)よりも長いことは注意が必要だろう。(実践薬学2017,pp.411-412「ミルタザピンとミアンセリンの6位近傍の結合様式の模式図」)

なお、両者の構造式中には、メチル基(-CH3)が含まれている。血液脳関門(BBB)を通過しやすくするため、脂溶性を高めていると考えられる。それに対して、よく似た構造のエピナスチン(抗アレルギー薬)では、BBBを通過しないように、親水性のアミノ基(-NH2)が採用されている。(実践薬学2017,pp.414)

テシプール(一般名:セチプチリン)

四環系抗うつ薬:(今日の治療薬2020,p.876)

ノリトレン(一般名:ノルトリプチリン)

三環系抗うつ薬(TCA):
「ノルアドレナリンに作用するため意欲向上に効果的」。(今日の治療薬2020,p.873)

  • 抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

ノルトリプチリンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    ノルトリプチリン:CR(CYP2D6)0.79、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

スルモンチール(一般名:トリミプラミン)

三環系抗うつ薬(TCA):(今日の治療薬2020,p.874)

散剤(劇薬)

トリミプラミンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    トリミプラミン:CR(CYP2D6)0.61、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2C19のCRおよびIR値
    トリミプラミン:CR(CYP2C19)0.49、(PISCS2021,p.55)、CYP2C19基質薬

ルジオミール(一般名:マプロチリン)

四環系抗うつ薬:(今日の治療薬2020,p.875)

マプロチリンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    マプロチリン:データ無し、(PISCS2021,p.50)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(抗うつ薬)

高齢者のうつ病の治療には、心理社会的要因への対応や臨床症状の個人差に応じたきめ細かな対応が重要である。高齢者のうつ病に対して三環系抗うつ薬は、特に慎重に使用する薬剤に挙げられている。
(抗うつ薬(スルピリド含む))

  • 痙攣、緑内障、心血管疾患、前立腺肥大による排尿障害などの身体症状がある場合、多くの抗うつ薬が慎重投与となる。
  • 三環系抗うつ薬(アミトリプチリン[トリプタノール]、アモキサピン[アモキサン]、クロミプラミン[アナフラニール]、イミプラミン[トフラニール]など)は、SSRIと比較して抗コリン症状(便秘、口腔乾燥、認知機能低下など)や眠気、めまい等が高率でみられ、副作用による中止率も高いため、高齢発症のうつ病に対して、特に慎重に使用する。
  • 三環系抗うつ薬とマプロチリン[ルジオミール]は、緑内障と心筋梗塞回復初期には禁忌であり、
  • 三環系抗うつ薬とエスシタロプラムはQT延長症候群に禁忌である。
  • スルピリド[アビリット、ドグマチール]は、食欲不振がみられるうつ状態の患者に用いられることがあるが、パーキンソン症状や遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状発現のリスクがあり、使用はできるかぎり控えるべきである。
  • スルピリドは使用する場合には50mg/日以下にし、腎排泄型薬剤のため腎機能低下患者ではとくに注意が必要である。
  • 褐色細胞腫にスルピリドは使用禁忌である。
  • SSRI(セルトラリン[ジェイゾロフト]、エスシタロプラム[レクサプロ]、パロキセチン[パキシル]、フルボキサミン[デプロメール、ルボックス])も高齢者に対して転倒や消化管出血などのリスクがある。
  • SSRIは急な中止により離脱症状が発現するリスクがあることにも留意する。
  • SSRIの使用に当たっては、CYPの関与する相互作用などを受けやすいため、併用薬に注意が必要である。特にフルボキサミンはCYP1A2を、パロキセチンはCYP2D6を強く阻害し、併用禁忌の薬剤もあることから、注意が必要である。
  • 三環系抗うつ薬とエスシタロプラムはQT延長症候群に禁忌である。

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(抗コリン薬)

【抗うつ薬】

  • 三環系抗うつ薬(イミプラミン[イミドール、トフラニール]、クロミプラミン[アナフラニール]、アミトリプチリン[トリプタノール]など)
  • パロキセチン[パキシル]

高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015に列挙されている抗コリン作用のある薬剤、Anticholinergic risk scale にstrongとして列挙されている薬剤およびBeers criteria 2015のDrugs with  Strong Anticholinergic Propertiesに列挙されている薬剤のうち日本国内で使用可能な薬剤に限定して作成。

  • 抗コリン作用を有する薬物のリストとして表にまとめた。
    列挙されている薬剤が投与されている場合は中止・減量を考慮することが望ましい。
  • 抗コリン系薬剤の多くは急な中止により離脱症状が発現するリスクがあることにも留意する。
  • 抗コリン作用を有する薬剤は、口渇、便秘の他に中枢神経系への有害事象として認知機能低下やせん妄などを引き起こすことがあるので注意が必要である。
  • 認知機能障害の発現に関しては、ベースラインの認知機能、電解質異常や合併症、さらには併用薬の影響など複数の要因が関係するが、特に抗コリン作用は単独の薬剤の作用ではなく服用薬剤の総コリン負荷が重要とされ、有害事象のリスクを示す指標としてAnticholi-nergic risk scale(ARS)などが用いられることがある。

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

CYP2D6

【基質】
デキストロメトルファン(中枢性非麻薬性鎮咳薬、メジコン)
ノルトリプチリン(三環系抗うつ薬(TCA)、ノリトレン)
マプロチリン(四環系抗うつ薬、ルジオミール)
メトプロロール(β遮断薬(β1選択性ISA(-))、ロプレソール、セロケン)
アトモキセチン(ADHD治療薬(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ストラテラ)
トルテロジン(頻尿・過活動膀胱治療薬、デトルシトール)

【阻害薬】
パロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、パキシル)
テルビナフィン(深在性・表在性抗真菌薬(アリルアミン系)、ラミシール)
シナカルセト(腎疾患用剤(Ca受容体作動薬)、レグパラ)
ミラベグロン(頻尿・過活動膀胱治療薬、ベタニス)
デュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、サインバルタ)

【誘導薬】
なし

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。
  • ベンゾジアゼピン系薬やCa拮抗薬は主にCYP3Aで代謝される薬物が多い。本リストでは、そのなかでもCYP3Aの寄与が高いことが良く知られている薬物を例示した。
  • 消化管吸収におけるCYP3A、P糖蛋白の寄与は不明瞭であることが多く、また両方が関与するケースもみられることに注意を要する。またCYP3Aの阻害薬については、P糖蛋白も阻害する場合が多い。

薬物動態学から

分布容積の大きな薬物の例(山村ほか2016,p.22など)

ジゴシン錠(一般名:ジゴキシン)、9.51L/kg
アンカロン錠(一般名:アミオダロン)、106L/kg
トリプタノール錠(アミトリプチリン)、15.0L/kg
トフラニール錠(一般名:イミプラミン)、11.1L/kg
パキシル錠(一般名:パロキセチン)、17.2L/kg
セレネース錠(一般名:ハロペリドール)、1,300L
ジプレキサ錠(一般名:オランザピン)、954L

ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)

ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)概要

副作用(抗コリン作用、眠気)が少なく、治療の基本となる

第二世代の抗ヒスタミン薬では、副作用としての眠気や、抗コリン作用(口渇、便秘、尿閉や眼圧上昇など)による副反応は少なくなっている。
季節性のアレルギーやアトピー性皮膚炎のガイドラインでは、第一選択薬とされている。

第2世代抗ヒスタミン薬は、基本的な化学構造は第一世代と同じである。
例えば、セチリジン(第2世代)は、ヒドロキシジン(第1世代)とよく似た構造をしている。
セチリジンでは、カルボキシル基(-COOH)を導入することによって、血液脳関門(Blood-brain barrier:BBB)の通過性を低下させている。

カルボキシル基などの親水性官能基の導入によって、脂溶性が低下して中枢移行が悪くなる。
カルボキシル基が導入された第二世代抗ヒスタミン薬は、P-gp(p糖蛋白質)の基質となる。
そこで、脳内からくみ出されることによって、脳内移行性を弱めていると考えられる。

第2世代抗ヒスタミン薬では、ヒスタミン受容体に対する選択性が改善されている。
その結果、副反応が少なくなる。
また、血漿タンパク結合率は高くなっている。

脳内H1受容体占拠率

脳内H1受容体占拠率が20%以上になると、インペアードパフォーマンス(眠気を自覚しているかどうかにかかわらず、集中・判断力、作業効率が低下すること)が起こりやすくなる。(鎮静性薬物:20%以上、非鎮静性薬物:20%以下)

ケトチフェン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、d-クロルフェニラミンの脳内H1受容体占拠率は50%を超えており、投与に際して慎重さが求められる。(オキサトミド、販売中止)

参考)実践薬学2017,p.415「各抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率」
(Hum Psychopharmacol.2011;26:133-9.より引用)

眠気の強さ=効果の強さではない

抗ヒスタミン薬の効果を比較する場合、「効果の強さは眠気の強さに比例する」と勘違いされていることが多い。

抗ヒスタミン薬による眠気(鎮静作用)は、同薬物が血液脳関門(Blood-brain barrier:BBB)を通過して、脳内の神経細胞やグリア細胞に存在するH1受容体に結合することによって生ずる。

これに対して、アレルギー症状(くしゃみ、鼻水、かゆみ、腫れ)に関係するのは、末梢(気管支や腸管などの平滑筋、血管内皮細胞、あるいは副腎髄質細胞など)に分布しているH1受容体である。

つまり、抗ヒスタミン薬による眠気(中枢)と抗アレルギー反応(末梢)との間には、何の因果関係も無いことが分かる。

ヒスタミン受容体は,生体アミンの一種であるヒスタミンを受容する GPCR で,ヒトには機能の異なる4種類のヒスタミン受容体(H1R,H2R,H3R,H4R)が存在する.H1R は全身に分布し,主に花粉症などのアレルギー反応に関わっている.体内にアレルゲンが侵入すると肥満細胞からヒスタミンが放出される.そのヒスタミンが平滑筋や血管内皮細胞などに存在する H1R に結合すると H1R は活性化状態に平衡を偏らす.その結果,平滑筋収縮・血管拡張・血管透過性亢進などが引き起こされ,かゆみや鼻水などのアレルギー症状が発生する.一方,脳に発現しているH1R は,脳内で神経伝達物質として働いているヒスタミンを受容し,睡眠覚醒サイクルの制御や記憶に関与している.H1R のインバースアゴニストである抗ヒスタミン薬は,H1R を不活性化状態で安定化し,アレルギー症状を抑える.

島村達郎「ヒト由来ヒスタミン H1受容体の結晶構造の決定」生化学 第84巻 第9号,772-776,2012.

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お薬手帳の工夫:
熱性痙攣の既往がある患児のお薬手帳の表紙に「熱性痙攣の既往あり、抗ヒスタミン剤の投与に注意」等のシールを貼る。http://www.kmpa.or.jp/com/keiren-a-4.html

医薬品各種(ヒスタミンH1受容体拮抗薬、第二世代)

アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.353)

眠気のない抗ヒスタミン薬の代表である。(1日2回投与)
アボイド・インペアードパフォーマンスに優れる。

くしゃみ・鼻水・かゆみの原因となる「ヒスタミン」を抑えることで、アレルギー症状を抑える。
ただし、単独では鼻づまりには十分な効果が得られない。
⇒ディレグラ

食事やグレープフルーツジュースなどの影響

【 用法及び用量 】
通常、成人にはフェキソフェナジン塩酸塩として1回60mgを1日2回経口投与する。
(アレグラ錠添付文書)

添付文書によれば、投与のタイミングについて特に記載はないものの、食後投与時のAUCは、空腹時に比べて15%減少している(外国人健康成人のデータ)。
つまり、食前(空腹時)投与の方が適していると思われる。
ただし、実際の処方では、飲み忘れや精神的な負担の少ない食後が圧倒的に多い。

フェキソフェナジンの血中濃度は、グレープフルーツジュース、オレンジジュースあるいはリンゴジュースと共に摂取すると、低下することが知られている。
作用機序としては、OATP(OATP-B、OATP-Aなどの関与が考えられている)やP糖タンパクの阻害作用が考えられている。
ただし、添付文書上の記載は特に何も無い。

腎機能低下時の用法・用量

「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
尿中排泄率(11%)、ESKDでのクリアランス(-65%)、ESKDの用量(1/4から1/3に減量)
⇒参照(デュロキセチンと尿毒素の蓄積)

ディレグラ(一般名:フェキソフェナジン/プソイドエフェドリン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「鼻閉に有効。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.354)

プソイドエフェドリン(α刺激薬)を配合することで、鼻粘膜の血管を収縮させて充血や腫れを抑え、鼻づまりの症状を改善する。

プソイドエフェドリンは、交感神経に作用するため長期間の使用を避けることが望ましい。
添付文書では、「鼻閉症状の緩解がみられた場合には、速やかに抗ヒスタミン剤単独療法等への切り替えを考慮すること」としている。
投与期間の目安は、2週間程度と考えられる。

鼻づまりがひどい場合には、一般的には、抗ヒスタミン薬と一緒に抗ロイコトリエン薬やステロイド点鼻薬を使うことが多い。

ディレグラの錠は非常に大きく飲みにくい。
しかしながら、有効成分を徐放層から少しずつ放出する製剤となっているため、かみ砕いたり割ったりしないように気を付けること(薬の溶出速度が変わり、薬の吸収に影響を与える)。

プソイドエフェドリンは、食後に服用すると吸収が低下することが知られており、ディレグラは空腹時投与となっている。

ディレグラは、ドーピング禁止薬物である。

「プソイドエフェドリン塩酸塩」は尿中濃度150μg/mLを超えた場合には、WADA(World Anti-Doping Agency)禁止表内のカテゴリー「競技会(時)に禁止される物質と方法」の禁止物質「S6興奮薬」の「特定物質」に該当します。

この検定ラインは、プソイドエフェドリン塩酸塩240mg/日を服用した場合の検出量として設定されています。

橋村孝博「第1回うっかりドーピングを防ぎましょう!」

腎機能低下時の用法・用量

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1回2錠を1日2回、朝夕の空腹時
  • CCr(60mg/dL未満、透析患者を含む)
    プソイドエフェドリンの尿中未変化体排泄率のデータに幅があるため、至適投与量が定めにくいが1回1錠を1日1~2回

アレジオン(一般名:エピナスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「LTC4・PAF拮抗作用」。(今日の治療薬,p.354)

エピナスチン(抗アレルギー薬)とよく似た構造式を持つ薬物に、ミルタザピン(NaSSA)とミアンセリン(四環系抗うつ薬)がある。(実践薬学2017,pp.414)

それぞれ、以下のような特徴を有する。

ミルタザピンとミアンセリンの構造式中には、メチル基(-CH3)が含まれている。
血液脳関門(BBB)を通過しやすくするため、脂溶性を高めていると考えられる。
それに対して、エピナスチン(抗アレルギー薬)では、BBBを通過しないように、親水性のアミノ基(-NH2)が採用されている。

アレロック(一般名:オロパタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ケミカルメディエーターなどの産生・遊離抑制作用」。(今日の治療薬,p.356)

鼻づまりが強いときに有効とされている。
眠気の程度は、ジルテックと同程度(多少眠気が強い)と考えられる。
1日2回投与。

1回5mg単回投与時:
Tmax:1.00±0.32(h)、Cmax:107.66±22.01(ng/mL)、t1/2:8.75±4.63(h)

投与間隔/消失半減期
=12/8.75≒1.37 ⇒ 定常状態のある薬物
消失半減期×5
=8.75×5=43.75時間(約2日で体内から消失する)

作用機序(アレロック添付文書)

「オロパタジン塩酸塩は、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし、更に化学伝達物質(ロイコトリエン、トロンボキサン、PAF等)の産生・遊離抑制作用を有し、神経伝達物質タキキニン遊離抑制作用も有する」。

ヒスタミンが中枢神経に存在するH1受容体に結合することで、覚醒や興奮が保たれている。
H1受容体拮抗薬によってヒスタミンのH1受容体への結合が阻害されると、眠気・倦怠感などが起こる。

中枢神経に存在するH1受容体は、痙攣の抑制系にも関わっている。
H1受容体の遮断作用が強くなると、痙攣の抑制系が抑えられなくなり、痙攣が起きてしまうこともある。
⇒不随意運動(顔面・四肢等)、頻度不明

「GABA(γ-アミノ酪酸)などによる中枢神経の抑制系が十分に発達していない乳幼児では、ヒスタミン系が神経の抑制系として働いています。特にてんかん素因のある小児や脳内の神経細胞の未熟な乳幼児では痙攣等を誘発するため注意しましょう」。(どんぐり2019,p.64)

ただし、オロパタジンは、脳内H1受容体占拠率20%以下であり、重大な副作用(痙攣)などの添付文書上の記載は無い。

オロパタジンの用法・用量を考える

(どんぐり2019,pp.128-251)

56歳女性、体重45kg、血清クレアチニン1.0mg/dL
アレルギー性鼻炎で初めての処方、配送関係の仕事(鼻炎症状が悪化すると運転に支障あり)
オロパタジン塩酸塩錠5mg、1回1錠、1日2回朝夕食後、14日分

Cockcroft&Gaultの式より、

CCr={(140-56)/(72×(1.0+0.2))}×45×0.85
=(84/86.4)×45×0.85
=37.1875⇒37.2mL/min

腎機能低下患者(血液透析導入前)
クレアチニンクリアランスが2.3〜34.4mL/minの腎機能低下患者にオロパタジン塩酸塩10mgを朝食後単回経口投与した場合の平均血漿中濃度の推移は下記のとおりである。健康成人と比較して、腎機能低下患者のCmaxは2.3倍、AUCは約8倍であった。(測定法:RIA法)(アレロック添付文書)

添付文書の基準は上回っているが、日常的に車を運転しており、眠気の副作用もできる限り避けたいところである。
減量や、肝消失型薬物への変更などを処方提案する。

クラリチン(一般名:ロラタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「LTC4遊離抑制作用、好酸球浸潤抑制作用。自動車運転の注意記載なし」。【レディタブ錠】舌の上で瞬時に崩壊。【DS】3歳以上の小児に適応」。(今日の治療薬,p.356)

眠気のない抗ヒスタミン薬の代表である。(1日1回投与)
アボイド・インペアードパフォーマンスに優れる。

抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

デザレックス(一般名:デスロラタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ロラタジンの活性代謝物。催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし」。(今日の治療薬,p.357)

代謝活性物:CYP3A4やCYP2D6による活性化を必要としないため、遺伝的体質による個人差が生じにくい。(児島2017,p.141)
食後でも空腹時でも吸収に大きな差がないため、食事の時間に縛られることがない。
グレープフルーツジュースとの相互作用はない。

ジルテック(一般名:セチリジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「好酸球遊走・活性化抑制作用」。(今日の治療薬,p.355)

多少眠気が強い。

ラセミ体(S+R)である

ラセミ体(S+R)である。⇒レボセチリジン(R体)
抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

第一世代抗ヒスタミン薬のヒドロキシジンに構造式が似ている。
カルボキシル基(-COOH)を導入することによって、BBB通過性を弱めている。
(冒頭記事参照)

腎機能低下時の用法・用量(セチリジン)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

ザイザル(一般名:レボセチリジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「セチリジンの光学異性体」。(今日の治療薬,p.355)

眠気が少なく、効果が確実な薬物である。(1日1回投与)
6か月の子どもから使用でき、セチリジンよりもやや眠気が少ない傾向にある。
また、食事の影響を受けることが無いため、食前・食後を気にすることなく服用できる。

セチリジンの光学異性体である

光学異性体(R体)⇔セチリジン(ラセミ体:S + R)

  • 抗ヒスタン作用(効力):R体>S体(約30倍)
  • 抗ヒスタミン作用(持続時間):R体>S体(約17倍)

レボセチリジンは、R体のみを抽出した薬物である。
常用量は、セチリジン1日1回10mg、レボセチリジン1日1回5㎎となる。
つまり、レボセチリジンは、セチリジンの半分量で同等の効果を発揮する。

効果の増強(実践薬学2017,p.24、児島2017,p.137)

腎機能低下時の用法・用量

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)、下記データとほぼ同等。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(80mg/dL以上)、常用量
    1日1回5mg、就寝前、最大1日10mg
  • CCr(50~80mg/dL未満)
    1日1回2.5mg
  • CCr(30~50mg/dL未満)
    1回2.5mgを2日に1回
  • CCr(15~30mg/dL未満)
    1回2.5mgを週2回(3~4日毎)
  • CCr(15mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(腎機能正常者に比しAUCが1.8~5.7倍増加する)

ザイザル・インタビューフォーム(以下)より
腎排泄型薬物と考えられる。

  • 健康成人男女 20 例にレボセチリジン塩酸塩 5mg を空腹時単回経口投与したときの投与後 48 時間までのレボセチリジン塩酸塩の累積尿中排泄率は約 73%であった。(外国人データ)
  • レボセチリジンは主に尿中に未変化体として排泄される。
  • 分配係数(log P):1.32(pH7.4、1-オクタノール/水系)

腎機能低下患者では、レボセチリジンの排泄遅延が起こり、血中濃度が上昇する。
薬理作用の副作用である眠気、めまい、ふらつきが起きる可能性がある。

成人患者の腎機能に対応する用法・用量の目安(外国人データ)では、
CCr(50~80mg/dL未満)1日1回2.5mgとなっている。
つまり、軽度の腎機能低下患者あるいは高齢者では、ザイザル錠5mg1錠投与は過量となる。

ビラノア(一般名:ビラスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「催眠作用少ない。自動車運転の注意記載なし。空腹時内服」。(今日の治療薬,p.357)

くしゃみ・鼻水が止まらない「くしゃみ・鼻漏型の鼻炎」や蕁麻疹、皮膚炎が適応となる。

食事の1時間前から食後2時間までの間、服用を控える。
就寝前の服用指示はよく見かける。
ただしこの場合、晩ご飯を食べてすぐ寝る人、就寝前に夜食を取る人などは、条件に当てはまらないことになる。(児島2017,p.143)

【空腹時投与のこと】(食後投与で吸収低下)

健康成人男性20例にクロスオーバー法で空腹時及び食後(高脂肪食)に本剤20mgを単回経口投与したとき空腹時に比べ食後投与時のCmax及びAUC0-tはそれぞれ約60%及び約40%低下した。

【グレープフルーツジュース】(吸収を阻害する)

健康成人12例に本剤20mgをグレープフルーツジュース240mLで投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-infはそれぞれ約0.6倍及び約0.7倍に低下した。この血漿中ビラスチン濃度の低下はグレープフルーツジュースによるビラスチンの消化管からの吸収阻害に起因すると推察されたが機序は不明である。

(参考:ビラノア錠添付文書)

ルパフィン(一般名:ルパタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「抗PAF作用を有する。活性代謝産物デスロラタジンへ変化する」。(今日の治療薬,p.357)

抗PAF作用⇒鼻閉の改善が期待できる。

タリオン(一般名:ベポタスチン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「好酸球機能抑制作用。IL-5産生抑制作用」。(今日の治療薬,p.355)

ニポラジン、ゼスラン(一般名:メキタジン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代)。(今日の治療薬,p.353)

ザジテン(一般名:ケトチフェン)

ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第二世代):
「ケミカルメディエーター遊離抑制、好酸球活性化抑制。抗ヒスタミン・抗PAF作用」。(今日の治療薬,p.352)

ケトチフェンの用法・用量を考える

(どんぐり2019,pp.174-179、服薬指導例・薬歴記載例有り)

2歳(男性)、体重12kg、アトピー性皮膚炎
ケトチフェンシロップ0.02%、1回4mL、1日2回朝食前および寝る前、28日分
3週間前、熱性けいれんを起こした。
数日前、再度熱性けいれんを起こした。

ケトチフェンは、ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代)にもかかわらず、脳内移行性の非常に高い薬物である。
参考)実践薬学2017,p.415「各抗ヒスタミン薬の脳内H1受容体占拠率」
(Hum Psychopharmacol.2011;26:133-9.より引用)

ケトチフェンには、下記のような禁忌及び慎重投与の項目がある。(ザジテン添付文書より)

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.てんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕

【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕(【禁忌】の項参照)
6.小児等への投与
乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。〔痙攣、興奮等の中枢神経症状があらわれることがある。〕

レボセチリジンシロップ(脳内移行性低い、痙攣に関する添付文書上の記載無し)などへの変更を考える。

ケトチフェンは、定常状態のある薬物である。(下記ザジテン添付文書参考)
そして、薬物が体内から消失するまでには、1.67日かかる。

以下のとおりである。

投与間隔12時間/消失半減期8時間=1.5<3.0
消失半減期8時間×5=40時間(1.67日)

したがって、ヒドロキシジンシロップからレボセチリジンシロップに変更した後も、1日半以上は今までと同様のリスクがあると考えられる。

1.血中濃度
健康成人に本剤10mL(ケトチフェンとして 2 mg)を 1 回経口投与した場合の薬物動態は、下表及び図のごとくであり、ザジテンカプセルとほぼ同じと推定された。
また、本剤を小児患者に投与した場合、健康成人に比べやや吸収が遅く、血中からの消失が速いことが示された。

T1/2(hr)=8.03±1.24(表の一部のみ転記)

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)そのほか

抗うつ薬(SNRI、そのほか)概略

  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):
    SNRI(serotonin/noradrenaline reuptake inhibitors)
  • ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA):
    NaSSA(noradrenergic and specific serotonergic antidepressant
  • セロトニン拮抗・再取り込み阻害薬(SARI)
    SARI(serotonin antagonist/reuptake inhibitor)

うつ病患者では、神経伝達物質であるモノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)の濃度が減少しているとされている。

  • セロトニンは、精神の安定(安心感や落ち着き)をもたらす。
  • ノルアドレナリンは、意欲・関心(やる気や気力など)を高める。
  • ドーパミンは、興味や楽しみなどを高める。

SNRIは、セロトニンやノルアドレナリン濃度を高めることによって、抗うつ効果を発揮すると考えられている。
SNRIは、セロトニンやノルアドレナリンのシナプスでの回収(再取り込み)を阻害して、シナプス間隙のセロトニンやノルアドレナリン濃度を高める作用を有する。

NaSSAは、セロトニンとノルアドレナリンの分泌を促して、両者の濃度を高める。

セロトニン、ノルアドレナリンは、消化管の活動にかかわっている。
吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が現れることがある。

ノルアドレナリンは、交感神経の情報伝達に関与する神経伝達物質である。
したがって、「交感神経のかかわる心臓・前立腺などに対する悪影響や、不眠の副作用も出やすい」→特にサインバルタ。(児島2017,p.268)

ノルアドレナリンには痛みを軽減する作用もあるため、慢性的な痛みがある患者に使われることも多い。
例えば、サインバルタがそうである。

なお、多くの抗うつ薬は、痙攣、緑内障、心血管疾患、前立腺肥大による排尿障害などの身体症状がある場合、慎重投与となる。

SSRIとSNRI

入院・外来にかかわらず、うつ病の第一選択薬は、SSRI若しくはSNRIである。
入院・外来にかかわらず、「不眠、食思不振がある」場合は、ミルタザピンが第一選択薬となる。
外来対応が可能で「不安症を併せ持つ」場合、エスシタロプラムとセルトラリンが第一選択薬となる。
(今日の治療薬2020,p.845)

元住吉こころみクリニック
「抗うつ剤の副作用と安全性の比較」
cocoromi-cl.jp/knowledge/psychiatry-medicine/antidepressant/dep-side/

⇒「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」

医薬品各種(SNRIなど)

  • サインバルタ(SNRI):
    ノルアドレナリン作用強い(慢性疼痛に適応、前立腺肥大・高血圧・心疾患注意)
    肝消失型薬物だが、高度腎機能障害のある患者では尿毒素が蓄積。
    CYP1A2(強い基質薬)、CYP2D6(中程度の阻害薬)。
  • トレドミン(SNRI):
    脂溶性だが腎排泄(尿細管から分泌)。
  • イフェクサーSR(SNRI):
  • リフレックス、レメロン(NaSSA):
    不眠、食思不振(第一選択薬)
  • レスリン、デジレル(SARI):
    もっぱら睡眠薬として使用される。

サインバルタ(一般名:デュロキセチン)

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):
「投与早期の胃腸症状に注意。肝障害患者への投与は控える。さまざまな疼痛に効果」。(今日の治療薬2020,p.878)

サインバルタ・カプセル(20mg、30mg)

「(SNRIは)セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みに選択的に働く。SSRIよりも意欲に効果が期待。消化器症状、血圧上昇あり。循環器疾患には慎重投与」。(同上,p.858)

【効能・効果】
〇うつ病・うつ状態
〇下記疾患に伴う疼痛
糖尿病性神経障害
線維筋痛症
慢性腰痛症
変形性関節症

【用法・用量】
〈うつ病・うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛〉
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。
投与は 1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
なお、効果不十分な場合には、1日60mgまで増量することができる。
〈線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛〉
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして60mgを経口投与する。
投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。

ノルアドレナリンに対する作用が強い

  • 前立腺肥大症等排尿困難のある患者:
    ノルアドレナリン再取り込み阻害作用により症状が悪化することがある。
  • 高血圧又は心疾患のある患者:
    本剤投与前に適切にコントロールし、定期的に血圧・脈拍数等を測定すること。
    心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼがあらわれることがある。

(サインバルタ添付文書)

腎機能低下時の用法・用量(デュロキセチン)

  • 「末期腎不全(ESKD)で減量が必要な非腎排泄型薬剤」(実践薬学2017,p.190)
    尿中排泄率(0%)、ESKDでのクリアランス(-62%)、ESKDの用量(禁忌)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1)うつ病・うつ状態,糖尿病性神経障害に伴う疼痛:1日40mgを分1、朝食後。1日20mgより1週間以上の間隔を空けて1日20mgずつ増量、最大1日量60mg
    2)線維筋痛症に伴う疼痛、慢性腰痛症に伴う疼痛、変形性関節症に伴う疼痛:1日60mgを分1、朝食後。1日20mgより1週間以上の間隔を空けて1日20mgずつ増量
  • CCr(30~60mg/dL未満)
    中等度腎障害では薬物動態に変化が認められないため減量は不要(Clin Pharmacokinet 49:311-321,2010)
  • CCr(30mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(ほとんど尿中排泄されず、半減期も延長しないものの、AUC、Cmaxが約2倍に上昇する)

デュロキセチンと尿毒素の蓄積

デュロキセチンは、肝消失型の薬物である。
それにもかかわらず、高度腎機能低下のある患者(CCr<30mL/分)及び透析患者には禁忌である。

「糞中及び尿中にデュロキセチンはほとんど存在せず、投与量の72.0%は代謝物として尿中に排泄され、18.5%は糞中に排泄された(外国人によるデータ)」⇒肝消失型であることを示す。(サインバルタ添付文書)

高度の腎機能障害のある患者では、健康成人と比べて、CmaxとAUCが約2倍に増大する(それぞれ有意差有り)。(サインバルタ・インタビューフォームより)

「腎機能が正常から中等度の障害の範囲ではデュロキセチンの血漿中濃度変化に及ぼす腎機能の影響は大きくないと考えられた」⇒高度腎機能障害のある患者のみ問題となる。(サインバルタ審査報告書(2010年01月20日)2 申請資料概要)

ところで、「実践薬学2017,p.191」では、同じく審査報告書からの引用として「正常~中等度障害の腎機能の範囲では、本剤の血漿中未変化体濃度に対する腎機能の影響は大きくない」と記載している。

それはともかくとして、実践薬学2017では、「高度の腎機能障害のある患者で問題となるのは尿毒素の蓄積である」として、その機序について考察している。
大変参考になる意見である。

「(尿毒素の蓄積によって)CYPやトランスポーターなどの機能性蛋白質の翻訳後修飾の阻害を引き起こし、結果として、デュロキセチンやワルファリンの代謝が遅延してしまう。つまりそれらの血中濃度が上昇する」⇒腎機能低下患者ではCYP活性などが低下する。(実践薬学2017,p.191)

デュロキセチンは、CYP1A2の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)

フルボキサミン(CYP1A2阻害薬)とは、併用注意である。
チザニジン、ラメルテオン(CYP1A2の強い基質薬)は、フルボキサミンと併用禁忌である。

デュロキセチンは、CYP2D6阻害薬である(中程度)

  • 「医療現場における薬物相互作用へのかかわり方ガイド」日本医療薬学会(2019年11月)p.45→「CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例(特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)」
  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    デュロキセチン:IR(CYP2D6)0.84、(PISCS2021,p.50)、120mg/day投与
    デュロキセチン:IR(CYP2D6)0.84、(PISCS2021,p.50)、60mg/day投与
    デュロキセチン:CR(CYP2D6)0.37、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

トレドミン(一般名:ミルナシプラン)

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI):(今日の治療薬2020,p.879)

トレドミン錠(12.5mg、15mg、25mg、50mg)

【効能・効果】
うつ病・うつ状態

【用法・用量】
通常、成人には、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ただし、高齢者には、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2~3回に分けて食後に経口投与する。

腎機能低下時の用法・用量(ミルナシプラン)

  • 脂溶性が高い薬物であるが、腎排泄型である。⇒「腎排泄型薬物と肝消失型薬物あるいは胆汁排泄型薬物」

尿細管分泌によって腎排泄されている。アマンタジンとプラミペキソールは有機カチオントランスポーター(OCT)の基質であり、ミルナシプランの輸送系は明らかになっていない。(実践薬学2017,p.165)

  • 「腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例」(実践薬学2017,p.163)
    尿中未変化体排泄率(60%)、減量法の記載無し(高齢者への減量法有り)。
    ⇒参照(デュロキセチン)

イフェクサーSR(一般名:ベンラファキシン)

セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI):
「少量ではSSRI的に、高用量ではノルアドレナリンが作用する。用量の幅は広い」。(今日の治療薬2020,p.879)

イフェクサーSR徐放カプセル(37.5mg、75mg)

【効能・効果】
うつ病・うつ状態

【用法・用量】
通常、成人にはベンラファキシンとして1日37.5mgを初期用量とし、1週後より1日75mgを1日1回食後に経口投与する。
なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75mgずつ行うこと。

腎機能低下時の用法・用量(ベンラファキシン)

  • 「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

ベンラファキシンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    R-ベンラファキシン:CR(CYP2D6)0.92、(PISCS2021,p.50)
    R,S-ベンラファキシン:CR(CYP2D6)0.80、(PISCS2021,p.50)
    S-ベンラファキシン:CR(CYP2D6)0.59、(PISCS2021,p.50)

リフレックス、レメロン(一般名:ミルタザピン)

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA):
「α2受容体を遮断し、セロトニン・ノルアドレナリン放出を促進。SSRI、SNRIで問題となる胃腸症状や性機能障害が少ない。体重増加と眠気に注意」。(今日の治療薬2020,p.880)

リフレックス錠(15mg、30mg)

  • 抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    ミルタザピン:CR(CYP2D6)0.19、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6阻害薬

SSRIやSNRIなどとは異なり、受容体を遮断し、シナプス間隙の遊離アドレナリンやセロトニンを増加させることで抗うつ効果を示す。(実践薬学2017,p.40)
つまり、直接分泌を増やす作用を持つ。(児島2017,p.268)

【効能・効果】
うつ病・うつ状態

【用法・用量】
通常、成人にはミルタザピンとして1日15mgを初期用量とし、15~30mgを1日1回就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状に応じ1日45mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として15mgずつ行うこと。

(リフレックス添付文書)

ミルタザピンは、入院・外来にかかわらず、「不眠、食思不振がある」患者では、第一選択薬となる。

ミルタザピンの作用機序

  1. ミルタザピンは、NA細胞体(及び神経線維)のα2自己受容体を遮断することで、ノルアドレナリンの遊離を促進する
  2. 放出されたノルアドレナリンの刺激が、α1自己受容体を介して5-HT細胞体に伝わり、5-HT神経活動を促進する
  3. ミルタザピンは、5-HT神経前シナプスのα2ヘテロ受容体を遮断することで、セロトニンの遊離を促進する
  4. ミルタザピンは、後シナプスの5-HT2、5-HT3受容体を遮断するため、増加したセロトニンは5-HT1受容体への刺激を選択的に増強する
  5. その結果、抗うつ効果をもたらす

(実践薬学2017,p.412-413「ミルタザピン(NaSSA)の作用機序の模式図」)

ミルタザピンの適応外使用(不眠症)

「適応症:うつ病・うつ状態。適応外使用:不眠症」。(今日の治療薬2020,p.880)

「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」-出⼝を⾒据えた不眠医療マニュアル-(2013年6⽉25⽇初版、10月22日改訂)⇒適応外処方

うつ病性不眠に対しては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)よりもミアンセリン、トラゾドン、ミルタザピンなどの催眠鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。原発性不眠症に対して抗うつ薬を使⽤することは適応外処⽅であり薦められない。ただし、睡眠薬が奏功せず、抑うつ症状がある患者に対しては催眠・鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。その場合にも、持ち越し効果など副作⽤に留意すべきである。【推奨グレードB】

米国では、トラゾドンと同様に、不眠に対して多く処方されている。
睡眠薬として用いるならば、0.25~0.5錠など(1錠の規格は15mg錠)からスタートした方がよいだろう。

⇒「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(レンドルミンなど)」

ミルタザピンとミアンセリンは、化学構造がよく似ている。ミルタザピン=6位がN(窒素)、ミアンセリン=6位がC(炭素)となっている。ただし半減期は、ミルタザピン(半減期31.7時間)の方がミアンセリン(半減期18時間)よりも長いことは注意が必要だろう。(実践薬学2017,pp.411-412「ミルタザピンとミアンセリンの6位近傍の結合様式の模式図」)

なお、両者の構造式中には、メチル基(-CH3)が含まれている。血液脳関門(BBB)を通過しやすくするため、脂溶性を高めていると考えられる。それに対して、よく似た構造のエピナスチン(抗アレルギー薬)では、BBBを通過しないように、親水性のアミノ基(-NH2)が採用されている。(実践薬学2017,pp.414)

腎機能低下時の用法・用量(ミルタザピン)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日15mgを初期用量とし、1日15~30mgを分1、就寝前、最大1日量45mg。増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量15mgずつ
  • CCr(15~60mg/dL未満)
    本剤のCLが低下する可能性があるため2/3に減量
  • CCr(15mg/dL未満)
    本剤のCLが低下する可能性があるため1/2に減量
  • HD(血液透析)・PD(腹膜透析)
    本剤のCLが低下するため1/2以下に減量。
    ただし、透析患者で薬物動態に影響ないという症例報告もある(Pharmacopsychiatry 41:259-260,2008)

レスリン、デジレル(一般名:トラゾドン)

その他の抗うつ薬:
「5HT2a受容体を遮断し、またセロトニン再取込みを抑制。抗コリン作用弱く、鎮静が強い」。(今日の治療薬2020,p.880)

弱いセロトニン再取り込み阻害作用と強い5-HT2受容体遮断作用を併せ持つ。(実践薬学2017,p.39)

  • 抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)

レスリン錠(25mg、50mg)

【効能・効果】
うつ病・うつ状態

【用法・用量】
トラゾドン塩酸塩として、通常、成人には1日75~100mgを初期用量とし、1日200mgまで増量し、1~数回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

トラゾドンの適応外使用(不眠症、せん妄)

「適応症:うつ病、うつ状態。適応外使用:不眠症、せん妄」。(今日の治療薬2020,p.880)

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の発売以降は抗うつ薬として使われることは少なくなり、精神科ではむしろ睡眠薬として汎用されている。
米国では第一選択薬の1つである。

「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」-出⼝を⾒据えた不眠医療マニュアル-(2013年6⽉25⽇初版、10月22日改訂)⇒適応外処方

うつ病性不眠に対しては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)よりもミアンセリン、トラゾドン、ミルタザピンなどの催眠鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。原発性不眠症に対して抗うつ薬を使⽤することは適応外処⽅であり薦められない。ただし、睡眠薬が奏功せず、抑うつ症状がある患者に対しては催眠・鎮静系抗うつ薬を⽤いる価値がある。その場合にも、持ち越し効果など
副作⽤に留意すべきである。【推奨グレードB】

トラゾドンは、全体の睡眠時間を増加させ、何度も持続する悪夢による覚醒やレム睡眠量を減らすといわれている。
睡眠障害に使用する場合は、25~50mgを就寝前に用いる(100mgとしている報告もある)。

⇒「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(レンドルミンなど)」

リーマス(一般名:炭酸リチウム)

気分安定薬:
「双極性障害の再発予防、治療抵抗性うつ病に効果」。(今日の治療薬2020,p.881)

リーマス錠(100mg、200mg)

【効能・効果】
躁病および躁うつ病の躁状態

【用法・用量】
炭酸リチウムとして、成人では通常1日400~600mgより開始し、 1日2~3回に分割経口投与する。
以後3日ないし1週間毎に、1日通常1200mgまでの治療量に漸増する。
改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200~800mgの1~3回分割経口投与に漸減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

(リーマス添付文書)

炭酸リチウムは、双極性障害患者に対して、うつが前景の場合でも躁が前景の場合でも第一選択薬となる。
ただし、腎障害に不可であり、また定期的な採血を必要とする。

腎機能低下時の用法・用量(リチウム)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日400~600mg分2~3より開始し、以後3日ないし1週間毎に1日1,200mgまで漸増。改善後は、維持用量1日200~800mgを分1~3
  • CCr(15~60mg/dL未満)
    50~75%に減量(腎障害ではリチウムが体内貯留しやすいため禁忌)
  • CCr(15mg/dL未満、透析患者を含む)
    25~50%に減量(腎障害ではリチウムが体内貯留しやすいため禁忌)
    1回600mgを週3回HD後という報告あり(Am JPsychiatry 167:1409-1410,2010)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(抗うつ薬)

高齢者のうつ病の治療には、心理社会的要因への対応や臨床症状の個人差に応じたきめ細かな対応が重要である。高齢者のうつ病に対して三環系抗うつ薬は、特に慎重に使用する薬剤に挙げられている。
(抗うつ薬 (スルピリド含む))、ただし、SNRIは含まれていない?

  • 痙攣、緑内障、心血管疾患、前立腺肥大による排尿障害などの身体症状がある場合、多くの抗うつ薬が慎重投与となる。
  • 三環系抗うつ薬(アミトリプチリン[トリプタノール]、アモキサピン[アモキサン]、クロミプラミン[アナフラニール]、イミプラミン[トフラニール]など)は、SSRIと比較して抗コリン症状(便秘、口腔乾燥、認知機能低下など)や眠気、めまい等が高率でみられ、副作用による中止率も高いため、高齢発症のうつ病に対して、特に慎重に使用する。
  • 三環系抗うつ薬とマプロチリン[ルジオミール]は、緑内障と心筋梗塞回復初期には禁忌であり、
  • 三環系抗うつ薬とエスシタロプラムはQT延長症候群に禁忌である。
  • スルピリド[アビリット、ドグマチール]は、食欲不振がみられるうつ状態の患者に用いられることがあるが、パーキンソン症状や遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状発現のリスクがあり、使用はできるかぎり控えるべきである。
  • スルピリドは使用する場合には50mg/日以下にし、腎排泄型薬剤のため腎機能低下患者ではとくに注意が必要である。
  • 褐色細胞腫にスルピリドは使用禁忌である。
  • SSRI(セルトラリン[ジェイゾロフト]、エスシタロプラム[レクサプロ]、パロキセチン[パキシル]、フルボキサミン[デプロメール、 ルボックス])も高齢者に対して転倒や消化管出血などのリスクがある。
  • SSRIは急な中止により離脱症状が発現するリスクがあることにも留意する。
  • SSRIの使用に当たっては、CYPの関与する相互作用などを受けやすいため、併用薬に注意が必要である。特にフルボキサミンは CYP1A2を、パロキセチンはCYP2D6を強く阻害し、併用禁忌の薬剤もあることから、注意が必要である。
  • 三環系抗うつ薬とエスシタロプラムはQT延長症候群に禁忌である。

別表3.代表的腎排泄型薬剤(精神・神経疾患治療薬)

  • 炭酸リチウム(気分安定薬)
  • スルピリド(ベンザミド系抗精神病薬)
  • リスペリドン(抗精神病薬、セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA))
  • アマンタジン塩酸塩(パーキンソン病治療薬、ドパミン遊離促進薬)
  • メマンチン塩酸塩 他(抗認知症薬(NMDA受容体アンタゴニスト))

別表4.CYPの関与する基質、阻害薬、誘導薬の代表例

( 特に高齢者での使用が想定され注意が必要な薬物)

CYP1A2

【基質】
チザニジン(中枢性筋弛緩薬、テルネリン)
ラメルテオン(メラトニン受容体作動薬、ロゼレム)
デュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、サインバルタ)

【阻害薬】
フルボキサミン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ルボックス、デプロメール)
シプロフロキサシン(ニューキノロン系薬)
メキシレチン(抗不整脈薬(Naチャネル遮断薬)、メキシチール)

【誘導薬】
なし

CYP2D6

【基質】
デキストロメトルファン(中枢性非麻薬性鎮咳薬、メジコン)
ノルトリプチリン(三環系抗うつ薬(TCA)、ノリトレン)
マプロチリン(四環系抗うつ薬、ルジオミール)
メトプロロール(β遮断薬(β1選択性ISA(-))、ロプレソール、セロケン)
アトモキセチン(ADHD治療薬(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ストラテラ)
トルテロジン(頻尿・過活動膀胱治療薬、デトルシトール)

【阻害薬】
パロキセチン(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、パキシル)
テルビナフィン(深在性・表在性抗真菌薬(アリルアミン系)、ラミシール)
シナカルセト(腎疾患用剤(Ca受容体作動薬)、レグパラ)
ミラベグロン(頻尿・過活動膀胱治療薬、ベタニス)
デュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、サインバルタ)

【誘導薬】
なし

  • 基質(相互作用を受ける薬物)は、そのCYP分子種で代謝される薬物である。
    基質の薬物は、同じ代謝酵素の欄の阻害薬(血中濃度を上昇させる薬物等)、誘導薬(血中濃度を低下させる薬物等)の薬物との併用により相互作用が起こり得る。
    一般に血中濃度を上昇させる阻害薬との組み合わせでは基質の効果が強まって薬物有害事象が出る可能性があり、血中濃度を低下させる誘導薬との組み合わせでは効き目が弱くなる可能性がある。
    なお、多くの場合、基質同士を併用してもお互いに影響はない。
  • 上記薬剤は2倍以上あるいは1/2以下へのAUCもしくは血中濃度の変動による相互作用が基本的に報告されているものであり、特に高齢者での使用が想定され、重要であると考えられる薬剤をリストアップしている。
    抗HIV薬、抗HCV薬、抗がん薬など相互作用を起こしうる全ての薬剤を含めているものではない。
    組み合わせによっては5倍以上、場合によっては10倍以上に血中濃度が上昇するものもある。
  • 本表はすべてを網羅したものではない。
    実際に相互作用に注意すべきかどうかは、医薬品添付文書の記載や相互作用の報告の有無なども確認して個別の組み合わせごとに判断すること。

抗精神病薬(統合失調症治療薬など)

統合失調症治療薬(概要)

(今日の治療薬2020,pp.843-857)

統合失調症は、陽性症状(妄想、幻覚等)および陰性症状(感情の平板化、意欲の欠如等)を主症状とする慢性の精神疾患であり、長期にわたる維持療法を必要とする。
維持療法中の重要な治療目標として、精神症状の再発、再燃防止と患者のQOL向上が挙げられる。

「(統合失調症の)原因としてドパミンやその受容体の異常が考えられており、ドパミン神経路のうち幻覚妄想に関係するとされる中脳―辺縁系路のドパミンD2受容体の遮断効果のある抗精神病薬が治療の中心となる」。(今日の治療薬2020,p.843)

抗精神病薬(統合失調症治療薬)は、一般的には、薬効よりも副作用の状況をみながら使い分けられる。
副作用としては、錐体外路症状や高プロラクチン血症などが重要である。

各剤の副作用リスクの違いについては、受容体親和性(Ki値,nM)から考えることができる。
D1、D2、D3、D4、5-HT1a、5-HT2a、5-HT2c、α1、H1、M1
(参考:「Next Challengeプログラム」Webサイト,「抗精神病薬と耐糖能障害、脂質代謝異常」大塚製薬)

錐体外路症状

ドパミン神経の過剰な遮断によって、日常の動作が障害されてスムーズな体の動きができなくなる症状のこと。
振戦・歩行困難などの運動機能障害のことをいう。

  • ジスキネジア:無意識に口が動く、手足が勝手に動く、など
  • ジストニア:目が上を向いたままになる、ろれつが回らなくなる、首が反り返る・つっぱる、など
  • パーキンソン様症状:手がふるえる、小刻みに歩く、など
  • アカシジア:身体(足)がムズムズしてじっと座っておれない(絶えず歩き回る)、など

抗精神病薬共通の副作用として、「ドパミン神経の黒質―線状体路を遮断することでEPSが出現する」。
抗精神病薬によるEPS(錐体外路症状)そのほかの副作用には、以下のようなものがある。
(同上,pp.847-848参照)

  • 治療早期の急性ジストニア(首や上肢の筋肉のつっぱりや眼球上転)。
  • パーキンソニズム(筋強剛や振戦など)。
  • 長期投与で出現する遅発性ジスキネジア(舌や口唇、下顎の不規則な不随意運動や四肢の粗大な振戦)。
  • プロラクチン値上昇(ドパミン神経の漏斗―下垂体路を遮断→月経異常や乳汁分泌、射精不能)。
  • ヒスタミンH1受容体やセロトニン5-HT2c受容体遮断に伴う肥満。
  • 抗コリン作用に伴う慢性便秘、多飲水(口渇)。

クロルプロマジン換算値(CP換算値)=薬の処方量÷等価換算×100
適正値は300mg~600mgであり、1,000mg以上は過剰投与の疑いがある。

「主な抗うつ薬の副作用、相互作用における比較」。(同上,p.853)

第一世代(定型)抗精神病薬ほか(従来薬)

定型抗精神病薬(フェノチアジン系、ブチロフェノン系)は、錐体外路症状が出やすい薬物である。
ただし、体重や血糖への影響は少ない。

  • フェノチアジン系(ウインタミンなど)
    抗コリン作用、アドレナリンα1作用が強い。
  • ブチロフェノン系(セレネースなど)
    ドパミンD2受容体に拮抗することで、妄想・幻覚などの陽性症状を改善する。
    抗コリン作用は弱いが、EPSやプロラクチン値上昇作用が強い。
  • ベンザミド系(ドグマチールなど)
    ドグマチール(スルピリド)は、抗潰瘍薬である。
    低用量(50~150mg)では抗うつ作用、高用量(300mg以上)では抗精神病作用が認められる。
    脳内移行が悪いため、高プロラクチン血症が出やすい。
    高齢者では、ESPが出やすい。

第二世代(非定型)抗精神病薬(第一選択薬)

非定型抗精神病薬は、定型抗精神病薬の副作用である「錐体外路症状」(EPS:extrapyramidal symptom)を軽減した薬物である。
ただし、体重増加や血糖・脂質上昇などの代謝系副作用がある。

薬剤間での治療効果には差がないとされている。
副作用の出やすさによって使い分けられる。
例えば、眠気、体重増加や性機能障害などである。

  • セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)
    リスパダールなど:ドパミンD2受容体に加えてセロトニン5-HT2受容体にも拮抗して、意欲低下などの陰性症状も改善する。
    セロトニン5-HT2受容体に対する拮抗作用は、EPSを減らす要因ともなる。
    高プロラクチン血症←血液脳関門を通過しにくいため、血液脳関門の外にある下垂体に影響しやすい。
  • 多元受容体作用抗精神病薬(MARTA:Multi-Acting Receptor-Targeted Antipsychotics)
    ジプレキサなど:セロトニン・ドパミン以外のコリン、ヒスタミン、アドレナリンなど、多くの受容体に作用する。
    鎮静効果があるため睡眠薬の代わりに使用されることもある。
    EPSやプロラクチン値上昇はほとんどない。
    体重増加、脂質代謝異常や血糖上昇が問題となる。
  • ドパミンD2受容体部分作動薬(DPA:Dopamine D2 receptor partial agonist)
    エビリファイ:ドパミンD2受容体を部分的に刺激する部分作動薬である。
    ドパミン神経路を過度に遮断することがないので、EPSやプロラクチン値上昇はほとんどない。
    ただし、鎮静効果が弱い。

眠気と化学構造

クロルプロマジン、クエチアピンなどは、第1世代抗ヒスタミン薬のプロメタジンと類似構造(全く同じ三環)を持つ。
抗ヒスタミン作用を示し、BBBを通過する。
つまり、眠気がある。
そのほか、三環系抗うつ薬もよく似た構造の三環を持っている。(実践薬学2017,p.416)

医薬品各種(定型・非定型型精神病薬)

  • セレネース(一般名:ハロペリドール)、第一世代抗精神病薬
    錐体外路障害があり、第一選択薬とはならない。
  • リスパダール(一般名:リスペリドン)、第二世代抗精神病薬(SDA)
    第一選択薬である(世界100か国以上での使用実績が豊富)。
    入院・外来を問わず、鎮静が必要な場合、ジプレキサと共に第一選択薬。
    高プロラクチン血症に注意。
  • ジプレキサ(一般名:オランザピン)、第二世代抗精神病薬(MARTA)
    入院・外来を問わず、鎮静が必要な場合、リスパダールと共に第一選択薬。
    糖尿病に禁忌、体重増加に留意。
  • エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)、第二世代抗精神病薬(DPA)
    外来(鎮静不要)、入院(鎮静不要あるいは短期の鎮静でよい)の場合、第一選択薬。

セレネース(一般名:ハロペリドール)

ブチロフェノン系抗精神病薬:
「抗幻覚妄想作用は強いが、錐体外路症状多い。抗α1作用があり、静注でのQT延長に注意」。(今日の治療薬2020,p.861)

  • 抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)
  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

【禁忌】パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者〔錐体外路症状が悪化するおそれがある〕

(セレネース添付文書)

リスパダール(一般名:リスペリドン)

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):
「抗幻覚妄想作用は強い。非定型薬の中では錐体外路症状やプロラクチン値上昇を来しやすい」。(今日の治療薬2020,p.864)

  • 抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)
  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

入院・外来を問わず、鎮静が必要な場合、ジプレキサと共に第一選択薬となる。
高プロラクチン血症に注意する。

【効能・効果】
〈リスパダール錠1mg、リスパダール錠2mg、リスパダール細粒1%〉
○統合失調症
○小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
〈リスパダール錠3mg〉
統合失調症

【用法・用量】
6.1 統合失調症
通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg 1日2回より開始し、徐々に増量する。
維持量は通常1日2~6mgを原則として1日2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
但し、1日量は12mgを超えないこと。

(リスパダール添付文書)

【適応外処方】

厚生労働省 保医発0928第1号「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」(2011)
原則として、「リスペリドン【内服薬】」を「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」、「パーキンソン病に伴う幻覚」に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める。

リスパダールは、剤形が豊富である。
そして、それらはいずれも食事の影響を受けない。
体調不良で食事が取れない日や、服薬時間がズレてしまった日でも、病状のコントロールをしやすい。
(参考:児島2017,p.281)

リスパダール細粒(1%)
リスパダール錠(1mg、2mg、3mg)
リスパダールOD錠(0.5mg、1mg、2mg)
リスパダール内用液(1mg/1mL、包装各種有り)
リスパダールコンスタ(筋注用:25mg、37.5mg、50mg)

リスペリドンは、CYP2D6の基質薬である

  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    リスペリドン:CR(CYP2D6)0.85、(PISCS2021,p.50)
    リスペリドン:CR(CYP2D6)0.16、(PISCS2021,p.50)
    (リスペリドンと代謝物の9-ヒドロキシリスペリドンに活性がある)

薬物相互作用ガイドライン、そのほかの資料では挙げられていない。

併用注意(併用に注意すること):
CYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン2)等
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。
これらの薬剤の薬物代謝酵素阻害作用による。

相互作用:
本剤は主としてCYP2D6で代謝される。
また、一部CYP3A4の関与も示唆される。

(リスパダール添付文書)

リスペリドンは、代謝酵素CYP2D6によって代謝活性体のパリペリドンに変換され、薬効を発揮する。
ところが、代謝酵素CYP2D6の働きには、遺伝的素因による個人差が大きい。
したがって、リスペリドンの薬効は個人差が大きくなり、薬の効果や副作用が安定しないという問題がある。
⇒「インヴェカ」(改良品の開発)

腎機能低下時の用法・用量(リスペリドン)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1)統合失調症:1回1mgを1日2回より開始し、維持量1日2~6mgを分2、最大1日量12mg
    2)その他の適応は添付文書参照
  • CCr(60mg/dL未満、透析患者を含む)
    活性代謝物が蓄積するため、1日1mgを分2より開始し、維持量2~6mg を分2、最大1日量6mg

インヴェカ、ゼプリオン(一般名:パリペリドン)

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):
「リスペリドンの代謝産物。鎮静は弱い。プロラクチン値上昇に注意」。(今日の治療薬2020,p.865)

パリペリドンは、以下の場合、アリピプラゾールなどと並んで第一選択薬となる。
外来対応が可能(特に鎮静が不要な場合)。
入院が必要(鎮静不要、あるいは短期の鎮静でよい場合)。
(鎮静が必要ならば、バルプロ酸を加える)

高プロラクチン血症に注意する。

パリペリドンは、リスペリドンの代謝活性体そのものであり、代謝酵素CYP2D6による代謝を必要としない。
代謝酵素CYP2D6の働きには、遺伝的素因による個人差が大きい。
代謝酵素CYP2D6を必要としないパリペリドンは、薬効に個人差を生じにくい。

インヴェカの錠剤は、浸透圧放出システム(OROS:Osmotic Controlled Release Oral Delivery System)を採用した徐放製剤になっている。
したがって、1日1回の服用で、24時間にわたって安定した血中濃度を維持することができる。

インヴェカは、朝食後に服用する。
空腹時服用では、吸収量が低下する。
Cmax(最高血中濃度)36%、AUC(血中濃度時間曲線化面積)37%、それぞれ低下する。
「夕食後などに服用すると、睡眠中の副交感神経優位の状態で腸の蠕動運動が活発になり、まだ錠剤が有効成分を放出している状態で排泄されてしまう恐れ」がある。(児島2017,p.286)

ゼプリオン(一般名:パリペリドンパルミチン酸エステル)
パリペリドンの注射薬。
1回の注射で効果が4週間持続する。

腎機能低下時の用法・用量(パリペリドン)

「腎機能低下患者さんへの投与量記載がある薬剤例(内服のみ)」(どんぐり2019,pp.108-111)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(80mg/dL以上)、常用量
    1日1回6mg,朝食後より開始。1日12mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は5日間以上の間隔をあけて1日量として3mgずつ行うこと
  • CCr(50~80mg/dL未満)
    1日用量として3mgから開始し、1日用量は6mgを超えないこと
  • CCr(50mg/dL未満、透析患者を含む)
    禁忌(本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある)

ルーラン(一般名:ペロスピロン)

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):
「5-HT1a受容体に働くため、抗不安効果もあり、錐体外路系副作用は弱い」。(今日の治療薬2020,p.866)

ペロスピロンは、SDAの中では唯一「セロトニン5-HT1a受容体」にも作用する。
その結果、錐体外路障害を軽減するとともに、抗不安効果・抗うつ効果を発揮する。
ペロスピロンは、5-HT1a受容体への親和性が非常に高い。
(Ki値:nMは、極端に小さい)

ペロスピロンは半減期が短く(5~8時間)、せん妄の治療にも使いやすい。
持ち越し効果のリスクが少ない。
なお、「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」は適応外処方(保険適応有り)となる。→リスペリドン参照。

空腹時に服用すると、吸収が大きく低下する。
日本国内のみで発売。

ロナセン(一般名:ブロナンセリン)

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA):
「5-HT2a受容体にも働くが、ドパミンD2D3受容体により働く。錐体外路症状は出やすいが、メタボリックな副作用は少ない。鎮静は弱い」。(今日の治療薬2020,p.866)

ブロナンセリンは、以下の場合、アリピプラゾールなどと並んで第一選択薬となる。
外来対応が可能(特に鎮静が不要な場合)。
入院が必要(鎮静不要、あるいは短期の鎮静でよい場合)。
(鎮静が必要ならば、バルプロ酸を加える)

錐体外路症状(EPS)に注意する。

ブロナンセリンは、リスペリドンと比べて、起立性低血圧や食欲増進・体重増加といった副作用が少ない。
これは、アドレナリンα1やヒスタミンH1受容体への親和性が低いことによる。
(Ki値:nMは、極端に大きい)

空腹時に服用すると、吸収が大きく低下する。
日本・韓国・中国などで発売。

ブロナンセリンは、CYP3Aの基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、極めて高度である。
    CR(CYP3A4)0.94VS、(PISCS2021,p.46)
  • 「経口アゾール系抗真菌薬の併用禁忌」(実践薬学2017,p.124)
    併用禁忌:ミコナゾール(フロリード)・CYP2C9、CYP3A阻害薬
    併用禁忌:イトリゾール(イトリゾール)・CYP3A、P-gp阻害薬

グレープフルーツジュース(200mL)の飲用で、Cmax、AUCはそれぞれ約1.8倍まで上昇した。
(要約:ロナセン・インタビューフォーム)

ジプレキサ(一般名:オランザピン)

多元受容体作用抗精神病薬(MARTA):
「鎮静作用が強い。錐体外路症状を生じにくい。気分安定効果あり。体重増加、血糖上昇が問題」。(今日の治療薬2020,p.867)

  • 抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

入院・外来を問わず、鎮静が必要な場合、ジプレキサと共に第一選択薬となる。
双極性障害(躁が前景の場合)の第一選択薬の一つである。(今日の治療薬2020,p.845)
→【効能・効果】双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善

糖尿病に禁忌、体重増加に留意する。

【警告】著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
【禁忌】糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者

(ジプレキサ添付文書)

オランザピンは、CYP1A2の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)

セロクエル、ビプレッソ(一般名:クエチアピン)

多元受容体作用抗精神病薬(MARTA):
「抗幻覚妄想効果は弱いが、鎮静は強い。錐体外路症状は生じにくい。抗うつ効果もあり。体重増加と血糖上昇が問題」。(今日の治療薬2020,p.867)

セロクエル細粒(50%)
セロクエル錠(25mg、100mg、200mg)
クエチアピン錠(12.5mg有り)
ビプレッソ徐放錠(50mg、150mg)

【効能・効果】
統合失調症

【用法・用量】
通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。
通常、 1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。
なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。
ただし、1日量として750mgを超えないこと。

(セロクエル添付文書)

なお、「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」は適応外処方(保険適応有り)となる。→リスペリドン参照。

第1世代抗ヒスタミン薬のプロメタジンと類似構造(全く同じ三環)を持つ。(実践薬学2017,p.416)
抗コリン作用リスクスケール、1点。(実践薬学2017,p.115)

クエチアピンは、米国においては睡眠薬として処方されることがある。(実践薬学2017,p.41)
不安・焦燥(イライラ)が強い場合、少量の抗精神病薬を用いる。(児島2017,p.253)
⇒「ベンゾジアゼピン系睡眠薬(レンドルミンなど)」

【警告】著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
【禁忌】糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者

(セロクエル添付文書)

ビプレッソ徐放錠(クエチアピンの徐放製剤)は、双極性障害(うつが前景の場合)の第一選択薬の一つである。(今日の治療薬2020,p.845)
→【効能・効果】双極性障害におけるうつ症状の改善

クエチアピンは、CYP3A4の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、高度である。
    CR(CYP3A4)0.85S、(PISCS2021,p.46)、CYP3A基質薬

クロザリル(一般名:クロザピン)

多元受容体作用抗精神病薬(MARTA):
「効果は強いが体重増加、血糖上昇、無顆粒球症の危険があり、指定施設での入院治療を要する」。(今日の治療薬2020,p.868)

  • 抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)

クロザピンの適応は、以下のとおりである。
「どの抗精神病薬でも効果が得られない(反応性不良)、副作用の問題で必要量を増やせない(耐容性不良)といった場合」。(児島2017,p.276)

クロザピンは、CYP1A2の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)

シクレスト(一般名:アセナピン)

多元受容体作用抗精神病薬(MARTA):
「舌下錠。舌への刺激あり。比較的速く効く。鎮静作用あり。メタボリック系副作用は軽度」。(今日の治療薬2020,p.869)

エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)

ドパミン受容体部分作動薬(DPA):
「ドパミンD2受容体の部分アゴニスト。錐体外路症状やプロラクチン値上昇はほとんどみられない。鎮静は弱いが、投与早期の不安、焦燥、アカシジアに注意」。(今日の治療薬2020,p.869)

  • 基質薬の経口クリアランスに対するCYP3A4の寄与率CRは、軽度である。
    アリピプラゾール:CR(CYP3A4)0.45W、(PISCS2021,p.46)、CYP3A基質薬
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    アリピプラゾール:CR(CYP2D6)0.31、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6基質薬

アリピプラゾールは、外来対応が可能な場合、特に鎮静が不要であれば、第一選択薬となる。
また、入院では、鎮静不要あるいは短期の鎮静でよい場合には、第一選択薬となる。
(鎮静が必要ならば、バルプロ酸を加える)

双極性障害(躁が前景の場合)の第一選択薬の一つである。(今日の治療薬2020,p.845)
→【効能・効果】双極性障害における躁症状の改善(高用量)

レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)

ドパミン受容体部分作動薬(DPA):
「アリピプラゾールよりセロトニン5-HT2a受容体遮断を持ったため、アカシジアやパーキンソン症状が出にくい。用量の幅は狭い」。(今日の治療薬2020,p.870)

ブレクスピプラゾールは、以下の場合、アリピプラゾールなどと並んで第一選択薬となる。
外来対応が可能(特に鎮静が不要な場合)。

オーラップ(一般名:ピモジド)

その他の抗精神病薬:

細粒(劇薬)

ピモジドは、CYP3A4の基質薬である(影響を中程度に受けやすい)

「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)
(実践薬学2017,pp.146-147)

ドグマチール(一般名:スルピリド)

ベンザミド系抗精神病薬:
「低用量で抗うつ作用、高用量で抗精神病作用。潰瘍治癒促進効果あり。プロラクチン値上昇に注意」。(今日の治療薬2020,p.862)

カプセル、50mg錠を除く(劇薬)

腎機能低下時の用法・用量(スルピリド)

「腎機能低下時に特に注意が必要な経口薬の例」(実践薬学2017,p.163)
尿中未変化体排泄率(90%)、減量法の記載無し。

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1)胃・十二指腸潰瘍:[50mg]1日150mgを分3
    2)統合失調症:[50, 100, 200mg]1日300~600mgを分割投与。1日1,200mgまで増量可
    3)うつ病・うつ状態:1日150~300mgを分割投与。1日600mgまで増量可
  • CCr(15~60mg/dL未満)
    1日25~300mgを分3
  • CCr(15mg/dL未満)
    1日25mgを分3
  • HD(血液透析)・PD(腹膜透析)
    1日25mgを分1。HD患者ではHD日はHD後

グラマリール(一般名:チアプリド)

ベンザミド系抗精神病薬:(今日の治療薬2020,p.863)

腎機能低下時の用法・用量(チアプリド)

「腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧」日本腎臓病薬物療法学会(2019年4月1日改訂(32版))⇒注)2021年改訂34.1版有り

  • CCr(60mg/dL以上)、常用量
    1日75~150mgを分3。パーキンソニズムに伴うジスキネジアの患者では、1日1回25mgから開始
  • CCr(15~60mg/dL未満)
    1日50~75mgを分2~3
  • CCr(15mg/dL未満、透析患者を含む)
    1日25~50mgを分1

ウインタミン、コントミン、(一般名:クロルプロマジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(プロピル側鎖):
「鎮静作用強い」。(今日の治療薬2020,p.859)

  • 抗コリン作用リスクスケール、3点。(実践薬学2017,p.115)
    第1世代抗ヒスタミン薬のプロメタジンと類似構造(全く同じ三環)を持つ。(実践薬学2017,p.416)
  • 「QT延長を来す主な薬剤」(実践薬学2017,p.212)

ウインタミン細粒(フェノールフタリン酸塩、10%)
コントミン糖衣錠、筋注
(劇薬:12.5mg錠、25mg錠を除く)

ヒルナミン、レボトミン(一般名:レボメプロマジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(プロピル側鎖):
「鎮静作用強い。催眠作用もあり、少量で睡眠薬としても使用。注射剤は筋注で鎮静に使用」。(今日の治療薬2020,p.859)

  • 抗コリン作用有り。
    抗コリン作用リスクスケール(実践薬学2017,p.115)にはリストアップされていない。
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    レボメプロマジン:IR(CYP2D6)0.67、(PISCS2021,p.50)、CYP2D6阻害薬

散(50%)
細粒(10%)
錠(5mg、25mg、50mg)
筋注(塩酸塩、25mg/1mL)
(劇薬:5mg錠、25mg錠を除く)

ピーゼットシー、トリラホン(一般名:ペルフェナジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(ピペラジン側鎖):
「中力価。錐体外路症状は定型薬の中では少ない」。(今日の治療薬2020,p.860)

  • 抗コリン作用リスクスケール、3点。(実践薬学2017,p.115)

散剤、注射剤(劇薬)

ペルフェナジンは、CYP2D6の基質薬である(影響を強く受けやすい)

  • 「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」(2016年7月)、(実践薬学2017,pp.146-147)
  • 臨床試験における血中濃度変化から推定されたCYP2D6のCRおよびIR値
    ペルフェナジン:CR(CYP2D6)0.86、(PISCS2021,p.50)

フルメジン、フルデカシン(一般名:フルフェナジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(ピペラジン側鎖):
「抗幻覚妄想作用は強力」。(今日の治療薬2020,p.860)

  • 抗コリン作用リスクスケール、3点。(実践薬学2017,p.115)

錠剤を除く(劇薬)

ノバミン(一般名:プロクロルペラジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(ピペラジン側鎖):(今日の治療薬2020,p.860)

抗コリン作用リスクスケール、2点。(実践薬学2017,p.115)
制吐作用有り。

ニューレプチル(一般名:プロペリシアジン)

フェノチアジン系抗精神病薬(ピペラジン側鎖):(今日の治療薬2020,p.861)

高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(BPSD)

BPSDの原因となりうる心身の要因や環境要因を検討し、対処する。薬剤がBPSD を引き起こすこともあるため、関連が疑われる場合、まずは原因薬剤の中止を検討する。これらの対応で十分な効果が得られない場合は薬物療法を検討する。
(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)

  • 薬物療法としては、症状に応じた薬剤の使用を検討する。
  • 抗精神病薬は、幻覚、妄想、焦燥、興奮、攻撃などの症状に対して使用を考慮してもよいが、抗精神病薬のBPSDへの使用は適応外使用であることに留意する。
  • 定型抗精神病薬(ハロペリドール[セレネース]、クロルプロマジン[コントミン]、レボメプロマジン[ヒルナミン、レボトミン]など)の使用はできるだけ控え、
  • 非定型抗精神病薬 (リスペリドン[リスパダール]、オランザピン[ジプレキサ]、アリピプラゾール[エビリファイ]、クエチアピン[セロクエル]など)は必要最小限の使用にとどめる。
  • 抑肝散が使用されることがあるが、甘草が含まれるため、偽アルドステロン症による低カリウム血症に注意する。
  • 抗うつ薬が認知症のうつ状態に用いられる場合がある。三環系抗うつ薬は、認知障害のさらなる悪化のリスクがあるためできる限り使用は控えるべきである。
  • 抗精神病薬は、認知症患者への使用で脳血管障害および死亡率が上昇すると報告があるため、リスクベネフィットを考慮し、有害事象に留意しながら使用する。認知機能低下、錐体外路症状、転倒、誤嚥、 過鎮静等の発現に注意し、低用量から効果をみながら漸増する。効果が認められても漫然と続けず、適宜漸減、中止できるか検討する。半減期の長い薬剤は中止後も有害事象が遷延することがあるので注意が必要である。
  • 非定型抗精神病薬には血糖値上昇のリスクがあり、クエチアピンとオランザピンは糖尿病患者への投与は禁忌である。
  • ブチロフェノン系(ハロペリドールなど)はパーキンソン病に禁忌である。
  • 抗精神病薬や抗うつ薬の多くは肝代謝であり、高齢者では通常量より少ない量から開始することが望ましい。また、てんかん発作の閾値の低下を起こすことがある。
  • 抗精神病薬や抗うつ薬の多くは主にCYPによる肝代謝を受け、 CYPの関与する相互作用に注意が必要である。
  • スルピリド[アビリット、ドグマチール]は、食欲不振がみられるうつ状態の患者に用いられることがあるが、パーキンソン症状や遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状発現のリスクがあり、使用はできるかぎり控えるべきである。
  • スルピリドは使用する場合には50mg/日以下にし、腎排泄型薬剤のため腎機能低下患者ではとくに注意が必要である。
  • 褐色細胞腫にスルピリドは使用禁忌である。

別表1.高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点(抗コリン薬)

高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015に列挙されている抗コリン作用のある薬剤、Anticholinergic risk scale にstrongとして列挙されている薬剤およびBeers criteria 2015のDrugs with  Strong Anticholinergic Propertiesに列挙されている薬剤のうち日本国内で使用可能な薬剤に限定して作成。

  • 抗コリン作用を有する薬物のリストとして表にまとめた。
    列挙されている薬剤が投与されている場合は中止・減量を考慮することが望ましい。
  • 抗コリン系薬剤の多くは急な中止により離脱症状が発現するリスクがあることにも留意する。
  • 抗コリン作用を有する薬剤は、口渇、便秘の他に中枢神経系への有害事象として認知機能低下やせん妄などを引き起こすことがあるので注意が必要である。
  • 認知機能障害の発現に関しては、ベースラインの認知機能、電解質異常や合併症、さらには併用薬の影響など複数の要因が関係するが、特に抗コリン作用は単独の薬剤の作用ではなく服用薬剤の総コリン負荷が重要とされ、有害事象のリスクを示す指標としてAnticholi-nergic risk scale(ARS)などが用いられることがある。

【抗精神病薬】

  • フェノチアジン系抗精神病薬(クロルプロマジン[コントミン]、レボメプロマジン[ヒルナミン、レボトミン]など)
  • 非定型抗精神病薬 (オランザピン[ジプレキサ]、クロザピン[クロザリル])

【制吐薬として】

  • プロクロルペラジン[ノバミン]

別表3.代表的腎排泄型薬剤(精神・神経疾患治療薬)

  • 炭酸リチウム(気分安定薬)
  • スルピリド(ベンザミド系抗精神病薬)
  • リスペリドン(抗精神病薬、セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA))
  • アマンタジン塩酸塩(パーキンソン病治療薬、ドパミン遊離促進薬)
  • メマンチン塩酸塩 他(抗認知症薬(NMDA受容体アンタゴニスト))

薬物動態学から

分布容積の大きな薬物の例(山村ほか2016,p.22など)

ジゴシン錠(一般名:ジゴキシン)、9.51L/kg
アンカロン錠(一般名:アミオダロン)、106L/kg
トリプタノール錠(アミトリプチリン)、15.0L/kg
トフラニール錠(一般名:イミプラミン)、11.1L/kg
パキシル錠(一般名:パロキセチン)、17.2L/kg
セレネース錠(一般名:ハロペリドール)、1,300L
ジプレキサ錠(一般名:オランザピン)、954L